第1話 「結婚記念日」(陽夜編)

今日は結婚記念日だ。

でも俺は最低事をしている。

「陽夜。待ってた。」

「今日結婚記念日でさ。急がないと。」

それは浮気だ。

でも俺はちょっと違う。ゲイだから。

「俺さ、陽夜にギューってして欲しい。」

「未夢。ダメ。もう行かないと。」

「ギューぐらい良いでしょ?」

「はぁ。仕方ないな。はい、ギューッ。

じゃあ、行くね。」

「ふっ。離すわけないじゃん。この俺が。」

「ちょっ!お前!」

俺は最低だ。3時に仕事を終えたのに6時まで未夢の家にいたんだから。

「ねえ。キスだけでよかったの?」

未夢はそういいながら俺の服のボタンをひとつ外した。

「それはまだダメ。」

「…わかった。じゃあ最後にキスさせて。そしたら帰す。」

「わかったよ。」

「フフッ——。」

そういいながら未夢はキスした。

そして未夢の家から出た。

「やべ!ケーキも取りに行かなきゃ…6時10分!急げ!」

ケーキを受け取ったりして俺は7時に家に着いた。

そしてケーキを食べてお祝いした。

でも俺はこの時間が苦痛で仕方なかった。

早くこの時間が終わればいいのに。

21時。奈由はパジャマで寝っ転がっていた。

「奈由もう寝るの?」

「うん。明日ね、糸と8時から駅前のカフェの前で待ち合わせなの。だから早く寝ないといけなくて。」

「そっか。おやすみ。」

「うん。」

弥生糸。奈由の女友達で、俺らの同級生だ。

いつもならおやすみのキスぐらいしたのに今はキスの代わりに相槌だけ。

「奈由、もう寝た?」

「…」

「寝たんだ。じゃあ俺、仕事行ってくるね。じゃあ、起きたらいないかもしれないけど楽しんで来いよ。」

そう言いながら俺は家を出て未夢の家に行った。

「あー、陽夜遅いよー」

「言っただろ。今日は結婚記念日だったの。」

「あ、そっか。」

何も面白くない会話をしていた時、チャイムが鳴った。

「誰だろ。陽夜行ってきて。」

「あー、わかったよ。」

面倒くさがりながらもドアに向かって鍵を開けた。すると

「え…あなた誰ですか…?」

知らない男が俺にそう言った。

「えっと………あなたも誰ですか…?」

この男に見覚えがあるのか、未夢が信じられない顔でこっちに来た。

「え……か、花珠…?なんでここに?」

「言ったじゃないか。僕は「未夢の夫」だって。」

花珠?もしかしてあの花珠?

なんでここに…?しかも未夢の…夫!?


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