第35話 登校します

朝です!!


本日も学園です!


今朝も王城の美味しい朝食をいただきました!


この世界で16年生きてきたので、パン食、パスタ食にもだいぶ慣れて来ました!が、やっぱりそろそろ白米食べたいです!水田作り、早く本格的に考えたいです!!



…テンションがおかしいですか?許して下さい。



「あの、この、王家の馬車で四人で登校となると…かなり目立つのでは…?」


失念しておりましたが、学園に行くためには登校せんといかんのです。当たり前だけど。


「エマ嬢は聖女認定されてるんだから、そもそも目立つじゃない」


昨夜のことなど無かったかのように、さらっと宣うラインハルト殿下。


「いや、そういう問題ではなくてですね…」


時はすこーし遡る。



◇◇◇



「ごめんね、エマ。うちの馬車が来る予定だったのに…メンテナンスって、普段はあまり無いタイミングなのだけれど」


困惑気味のローズ。


そう、イベレスト家の馬車で、ローズと私は登校するはずだったのだ。


それがよりによって今朝急に、3台の馬車全てをメンテナンスに出すことになったと連絡が入った。


「何か作為的な気もするけれど…」


後からボソッとつぶやいた一言は私には聞こえなかったが、ローズはチラッとラインハルト殿下を見た。そして殿下はにこやかな笑顔を返す。


「普段動かない子が動くと、これだから……」


「ローズ?」


「何でもないわ、エマ。申し訳ないけれど、王家に甘えましょう」


「えっ、私は辻馬車でもいいよ!」


「バカ言うな。国の宝の聖女をそんな扱いしたら、王家が民に怒られる」


ジークに速攻否定された。


「でも……」


で、冒頭に戻る。



◇◇◇



「同じ所に行くんだから、一台でいいじゃん。使用人の仕事も減らせるよ?他のことができるよ?」


「うっ、確かに」


それに王家のひろーい馬車は、四人乗っても余るくらいだ。それを2台で大袈裟に行くのも憚れる。


「……分かりました」


私は諦めて言った。


「うん、よろしい」


すっごいいい笑顔のラインハルト殿下。何だか負けた気がして悔しい。くそう。


「そうと決まったら、そろそろ行こう!のんびりしてると遅刻しちゃうよ!」


「お前はいつもギリギリだろうが」


「いいだろー、今朝はレディのエスコートがあるんだから、早めに行動だよ」


「全く……」


なんやかんや、ジークも嬉しそうだな。兄弟仲良しだわ。ローズとも一緒に行けるしね。


「…全部、ちゃんと考えての行動か?責任を取る気があるのだな?」


「もちろんだよ、兄上」


「…ならもう、何も言わん。手強いと思うが、頑張れ」


「!ありがとう、兄上!!」


内容は「?」だけど、ラインハルト殿下の破顔一笑!これは……


「落ちる人、多そう」


思わず一人言る。大変キラキラしております。


「言いつつ、エマは落ちないのよね……」


「何?ローズ。聞こえなかった」


「何でもないわ」


「ふうん?」



「二人とも、そろそろ行こう」


「「はーい」」


ジークに促され、私達は馬車に向かった。


今日も勉強頑張るぞ!



…と、私はチョロく押し切られてしまったけれど、無理矢理にでも辻馬車にすべきだったと、後で思い知ることになるのだ。

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