いつもと違うあなたと
最寄駅に向かうと、麦わら帽子を被った先生がいた。しかめ面には全然似合っていなくて、思わず頬が緩む。
「変ですかね」
「いいんじゃないですか。川に行くんだし」
Tシャツにハーフパンツ、サンダル。今日の先生は、学校にいるときより近い感じがする。近所のお兄さんだと言っても、誰も疑わないだろう。
川へ向かうバスには、俺たちしか乗っていなかった。元々利用者が少ないバスだが、俺は少しほっとした。
「結構時間かかったんじゃないですか、先生の家から」
「まあ、少し。でもきみがどういうところで育ったのか、見てみたかったので。来られて良かったです」
先生は眩しそうに目を細めた。見慣れた田舎道が、いつもとは違う景色に見えた。
(298文字)
2022/11/05
第92回お題:来る
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