図書室のあなたへ

 びっくりさせてごめんなさい。こんな手紙を渡されて、驚いたと思います。私でさえ、手紙を書いていることが信じられません。でも会えなくなる前に、どうしても伝えたかったんです。卒業したら、この学校にはもう来ません。だから、これが最初で最後の手紙です。

 いつも図書室で、私を迎えてくれてありがとう。逃げるように駆け込む私に、嫌な顔ひとつせず微笑んでくれてありがとう。私を拒まない場所がある。それがとても嬉しかった。

 あなたがいたから、私は学校に通えたんだと思います。あなたのかわいい笑みは、私の癒しで、光でした。


 追伸。図書室のぬいぐるみ・ほんちゃんの前でこれを拾った方へ。誰にも言わずに、この手紙を捨ててください。



(300文字)


2022/04/02

第85回お題:紙


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