視線の先
「お前って、もっと真面目なヤツだと思ってた」
「うるせー、たまたまだって、これは」
プリントの数字をぐっと睨む。今日の授業で提出する宿題だったが、すっかり忘れてしまっていた。帰るまでに出せばセーフにしてくれるらしい。
「つーか、なんでお前まで残ってんだよ」
「別に。暇だから。居残りなんて滅多にしねえし」
栄浪はおかしそうにくつくつと笑った。頬をふにゃりと緩めるような笑顔は、いつもより幼く見える。
普段は本に落とされている視線が、今はおれの手元に注がれている。少し前までろくに喋ったこともなかったのに、不思議だ。ほんの少し優越感を抱きながら、おれはペンを走らせた。
(300文字)
2021/09/04
第79回お題:残る
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