【5千字版】第六感ラブレター

シカンタザ(AI使用)

【5千字版】第六感ラブレター

「お兄ちゃん、おはよー」

今日も妹が可愛い。朝から俺のハートを鷲掴みにしてくる。

「おはよう。……ん? お前ちょっと顔赤くないか?」

「えっ!?︎……いやぁ~昨日あんまり寝れなくてさ~」

「なんでだ?」

「だって明日だよ! お兄ちゃんと私が初めて会った日!」

そうだったな。懐かしいな。あの時は確か俺が小学校に入学したての頃だから……4年前か。

「そりゃ楽しみにもなるわよね~」

「まあな」

……実はちょっとだけ不安もあるけど。

「でもお兄ちゃんなら大丈夫だよ!」

「ありがとよ。頑張るよ」

「うん!頑張ってね!」

よし!元気が出たぞ!気合いを入れて学校に行くか!教室に入ると既に何人かいた。いつものように自分の席に着く。でもなんだか落ち着かない。第六感からすると、なんか嫌な予感しかしないんだよな……。……おっ!来たか。

「おはよう!今日もいい天気だねぇ」

「ああ、そうだな」

声をかけてきたのは従妹だ。

「あれぇ?何かテンション低いねぇ。どうしたの?」

「別になんでもねえよ」

「ふぅーん。あっそぉ。じゃあいいけどさぁ。……はいこれあげる」

と言って手渡してきたのは一枚の紙切れだった。

「なんだこりゃ」

そこには『今日の放課後に体育館裏に来てください』と書かれていた。……うわぁ〜ラブレターですかぁ。こんなん貰ったこと無いんだけど。しかも相手の名前も無いし。イタズラかな。

「それねぇ~。多分告白だと思うんだぁ。まあ頑張ってねぇ」

……えっ?マジすか?第六感からすると、これは本当にヤバそうな気がするんですけど。何この展開。全く予想してなかったよ。いや待てよ。もしこれが本当だとしたら…………。

「おい!お前ら!」

俺は大声でクラスの連中に呼びかけた。

「なんだ?今忙しいんだけど」

「うるせえ!ちょっと来てくれ」

「なんだよ。いきなり……」

文句を言いながらも付いてきてくれた。よしこれで全員揃ったな。

「いいか。これから大事な話をする。心して聞いてくれ」

「おう」

「分かったぜ」

みんな真剣な顔をしている。よしここからが勝負所だ。

「まず最初に言っておくことがある。……それは絶対に断ってくれということだ」

シーンとした空気が流れる。誰も何も言わない。

「俺には好きな人がいる。だから他の奴からの告白なんて受けられない」

俺の言葉を聞いて、クラスメート達がざわつき始めた。

「嘘つけ!そんな話聞いたこと無いわ!」

「そうだ!それにお前モテねえじゃん!」

「ふざけんな!俺達を騙してんのか!」

まあ当然の反応だろうな。でもここまできたら後には引けない。

「いや、確かに今まで言ったことは無かったかもしれない。だが今回だけは違う。俺に好きな人がいることを信じて欲しい」

「……信じられるかよ!」

「そうだ!嘘をつくんじゃねえ!」

ダメなのか……。くそっ!もうこうなったら最終手段を使うしかないな。

「じゃあ証拠を見せてやるよ」

そう言うと俺はポケットからスマホを取り出し、とある写真を表示させた。その写真とは、俺が女の子と一緒に歩いている姿だった。

「おい!誰だよその子は!?︎」

一人の男子生徒が声を上げる。そしてそれに続くように次々と声が上がる。

「まさか彼女持ちとかじゃないだろうな?」

「許せん!」

おお……なんか凄いな。これだけの人数を相手にするのは初めてだから少し緊張してきたぞ。でもここで引くわけにはいかないからな。最後まで頑張ろう。

「まだ彼女じゃないけど俺が好きな子なんだ」

「まあ一緒に歩いてる写真を保存するほどなんだからわかるけどさぁ……」

「ほら、こういうのってあんまり公にしない方がいいだろ?だから言い出せなくてさ」

「なるほどねぇ」

なんとか納得してくれたようだ。……良かった。正直かなり危ない橋を渡ったと思う。でも上手くいったから良しとするか。でもこの方法を使えば、告白されるのを防ぐことが出来るかもな。今後も使えるかもしれん。……でもこれを使う度に修羅場になりそうだな。

「この写真どうやって撮ったんだ?誰かが撮ったのを送ってもらったの?」

男子生徒の一人が質問した。

「ああ、実は最近よく話すようになった子がいてさ。その子から送られてきたんだよ。それでその子が送ってきた写真の中にこの写真があったんだよ」

「なんかその子って変わってるな~」

その場の話を終えると俺は人目を避けて紙切れを捨てた。……なんか疲れたな。まあいいか。とりあえず授業の準備でもしよう。……ん?なんか教室の外が騒がしいような……。何かあったのかな?そう思いドアを開けると、そこには二人の女子がいた。……え?もしかして告白? マジ? うわぁ~どうしよ!…………はっ!しまった。つい興奮してしまった。冷静になれ俺。落ち着け。まずはこの状況を何とかしないとな。

「あの……どうしたんですか?」

「あっ!あのね、一組の男の子に呼び出されたんだけど、どこにいるか知らない?」

……はい? どういうこと?

「あっ!私も私も!」

……なんですかこれは。

「いや……知りませんけど」

「そっかぁ……残念。じゃあね〜」

……一体なんだったんだ。さっきの紙切れといい今のこの状況といい……。……ん?なんか廊下に紙切れが落ちてる。さっきの二人が落としたのかな。どれどれ……。

『今日の放課後に体育館裏に来てください』

これにも?もしかして悪ふざけでいろんなところに配られてるのか?……うーん。考えてても仕方ないか。とりあえずこの手紙は捨てておこう。

翌日は朝から雨が降っていた。天気予報では一日降り続けるらしい。

「はぁ……」

憂鬱だ。別に学校に行きたくない訳じゃないけど、気分的にテンションが上がらない。例のラブレターは結局無視しちゃったけど大丈夫かなあ?はあ……気が重いぜ。でも行かないともっと気まずくなるよな。よし行くか。俺は傘を差して家を出た。

「あれ?今日は早いじゃん。おはよう」

従妹が声をかけてきた。

「おう。……昨日はよく眠れたか?」

「うん。ぐっすり寝れたよ」

「それは良かった」

……この感じだと大丈夫そうだな。

「それじゃあ行こうぜ」

「おっけー!」

俺達は一緒に登校することにした。いつもより少しだけ早く出たせいか、周りにはあまり人がいなかった。

「ねえねえ、今度の土曜日デートしよ!」

突然そんなことを言われた。

「何言ってんだよ!?」

「だってさあ……ずっと家にいても暇だし……」

「まあそうだけど……。でもなぁ」

「いいじゃん!お願い!」

はあ……しょうがないな。

「分かったよ。いつにする?」

「やった!じゃあさじゃあ!明日の午前中なんてどうかな!?」

「オッケー。了解です」

俺は適当に返事をした。

「ありがとう!楽しみにしてるからね!じゃあまた後でメールするから!バイバーイ!」

そう言うと彼女は走って行った。

「おい待てよ!」

俺も学校まで走った。

土曜日になり、待ち合わせ場所に行くと従妹がいた。

「ごめん、待った?」

「ううん。全然」

俺達はすぐに出発した。

「ねえねえどこ行きたい?私は映画見に行きたい!」

映画館か……。なんか久々だな。

「まあそれで良いんじゃないか」

「本当!?︎じゃあ決まりね!ポップコーン買ってこようっと」

そうして俺達は近くのショッピングモールに向かった。映画を見終わり、今は喫茶店にいる。映画の感想を話していたら結構時間が経ってしまった。もう昼過ぎだ。何か食べることにしてナポリタン2つを注文した。

「おいしいじゃん!」

従妹が笑顔になる。

「そうだな。……なあ、これからどうする?」

「うーん……。服屋さんとか行ってみたいかも」

「わかった。じゃあそっちにしよう。確かこの近くにあったはずだ」

会計をして外に出ると、急に強い風が吹いた。そして雨も降ってきた。俺たちはここでデートを終えることにした。

月曜日に教室に入るとクラスメートの男子が駆け寄ってきた。

「おい見たぞ!お前従妹とデートしてたな!」

「まあ……そうだよ」

周りの男子がざわつく。

「羨ましいなちくしょー!俺もあんな可愛い彼女欲しいわぁ……」

なんかすごい言われようだ。

「まあそういうことだからさ。俺達ちょっと付き合うことになったんだ。だから悪いけど、あんまり話しかけないでくれな」

「……マジかよ」

俺の言葉を聞いた男子生徒は落ち込んでしまった。

「あの……その、ごめんなさい」

従妹が謝り、男子生徒が言った。

「いや、別に気にすんな。お前が悪い訳じゃないしな。話は変わるけど、お前の机の上にまた『今日の放課後に体育館裏に来てください』ってラブレターが置いてあったぞ」

確認してみると本当にあった。いたずらだとしたら意地の悪いものだな。

その日の授業が終わった後、俺はトイレに行った帰りに体育館裏に通りかかった。するとそこには二人の女子の姿があった。……あれ?なんか様子がおかしいような……。

「ねえ……好き……だよ」

「私も好きだよ……愛してる」

「えへへ。嬉しいなぁ」

「ふふっ。照れちゃうね」

「じゃあ……キス……しよっか」

「うん……」

……やばい。見てられないぞこれ。早くここから離れないと。……ん?この声どこかで聞いたことあるような。それに顔もなんとなく見覚えがある気がする。誰だ?俺は気になってこっそり二人の様子を伺った。そこで俺は衝撃的な光景を目の当たりにしてしまったのだ。いちゃついてる片方の女の子は俺と付き合ってるはずの従妹だったのだ。……どういう事だこれは?俺は混乱していた。そしてしばらく見ているうちに、俺は完全に頭に血が上っていた。こんなことをしている奴がいるのかと思うと、許せない気持ちになった。

「ふざけんじゃねぇ!」

気づいた時には大声で叫んでいた。二人は驚いてこちらを見た。

「えっ!?︎どうしてここに!?︎」

従妹が叫んだ。

「そんな事はどうでもいいんだよ!どういうことだよ!?」

俺は怒鳴った。

「ち、違うの……。これには事情があって……」

従妹は焦っている様子だ。

「何が違うっていうんだ!?」

「それは……」

「とにかく来てくれ!話したいことがある!」

「う、うん」

俺は2人を引き離して従妹と話すことにした。

「説明してくれないか?」

「うん……」

従妹はゆっくり話し出した。

「実は……あの子に告白されて……。それでつい……。ごめんなさい……。あなたとは別れます……。今までありがとう……」

従妹は逃げるように走り去った。呆然としながら学校の敷地内をうろついているとたまたま体育館裏につき、そこに1人の女の子が立っていた。

「あの……ラブレター見ましたか?付き合ってください!」

俺は、その子のことを全く知らなかったが

「はい……。いいですよ……」

こうして俺は、恋人にふられてまた別の恋人と結ばれてというのを1日で体験した。

翌日、学校に行くとクラスの男子達が一斉に駆け寄ってきた。昨日のことが広まったらしい。みんな俺の事を冷やかしてきたが、そんなことはどうでもよかった。ただショックだった。従妹の事が頭に浮かんで仕方がなかった。今頃あいつはどんな気持ちだろう。俺の事なんてもう忘れてるかもしれないな……。スマホを確認すると従妹からメールが来ていた。内容はこうだ。

「休みの日に会えるかな?」

俺はすぐ返信した。

「ああ、大丈夫だ。どこで会う?」

日曜日に俺は彼女と話をする事にした。まずはお互いの近況について話す事にしたが、中々会話が続かなかった。しばらくして、彼女が口を開いた。

「あの……あの時の話だけど……」

来たか。俺は身構えた。従妹は続けた。

「やっぱり……無理だよ……。あなたの事は大好きだし……すごく大事に思ってるけど……でも……やっぱりだめなんだよね……」

……まあそうなるか。

「そっか……」

「うん……。ごめんね」

彼女は申し訳なさそうにしている。

「いや、こっちこそ悪かったな」

「う、ううん。私が悪いから……」

「じゃあ……そういうことで……」

「……わかった」

「……じゃあな」

「……さよなら」

こうして俺は従妹と完全に別れた。というか付き合ってる人がいるのに未練を残しているなんて我ながら最低だな。

それから従妹と会話することもなくなり卒業後も連絡を取ることはなくなった。月日は流れ大学生となり、従妹と別れた後付き合うようになった子とは今でも関係が続いている。ある日、俺はとある人物に呼び出された。その人物は元クラスメートの男子である。彼はいつも教室では目立たない存在だったのだが、今日に限っては妙に張り切っていた。何かあったのだろうか? 彼がいきなり俺の腕を掴んだ。そして、人気のない路地裏に連れていかれた。一体何どうしたんだ? 彼は俺の目を真っ直ぐに見つめてきた。彼の目は真剣そのものだった。俺は彼に何か嫌な予感を感じた。だが、ここで逃げてはいけない気がして、その場に留まった。すると、彼は突然地面に膝をつけて土下座をした。え……?なにこれ?なんでこんなことに……?意味がわかんないぞ……。

「頼む!俺と付き合ってくれ!」

は?どういうことだ?付き合ってって……まさか告白されたのか!?︎そんなバカな……。あり得ないだろ。なんで俺なんかに……。俺は混乱していた。

「ごめんなさい!」

俺は一目散に逃げだした。その後すぐに引っ越した。

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