第25話 危険な旅路
出発の日、俺は早朝に目を覚まして朝食の準備をしていた。
「まったく、ビルデの奴眠れないからって俺の背中に乗りながら寝るとは……」
「おはよう。随分お疲れみたいね。少し話したいことがあるんだけど、いいかしら」
突然後ろからフェイが現れ、俺の肩を叩いた。先程まで寝ていたはずだが、いつの間に起きたのか。
「別に構わないぞ、なんの話だ?」
「あー、大した話じゃないわ。あたしは趣味で財宝集めてるの、それの協力をしてほしいだけ」
「それぐらいならお安いご用だ。いくらでも協力する」
俺は大きく頷く。仲間の頼み事だ、断るわけがない。
「ありがとう。それと、ビルデのことなんだけど、今度あの子に魔法のことちゃんと教えるわ。あのまま成長したら破壊兵器になるわよあの子」
「おお、ありがとう! ぜひ頼む!」
ビルデの魔力の成長速度は凄まじい。毎日魔力が増えていっている。魔法の威力を調節できないままでいたら大変危険だ。
*
俺達は朝食を取ると、次の街――マリンロードへと出発した。ビルデは眠いのか目をしきりに擦っていて、俺は少し不安だった。
「うーん、近くにモンスターはいないみたいですね」
「そうだな。この辺はもうギルドが軒並み狩ってるみたいだ。でも油断するなよ、この辺のモンスターは強いらしいから」
俺はハンマーをいつでも構えられるように警戒しながら進む。フェイは暇そうに頭の後ろに腕を乗せていた。
「あ、噂をすれば来たわよ。空からね」
「げげ、頼んだ二人とも!」
俺は空を飛ぶ敵は苦手だ。ここは二人に任せよう。
「プラズマショット!」
「ほいっと」
ビルデは電撃を、フェイは炎をそれぞれ放ち、空飛ぶモンスターを叩き落とす。
「よし、ありがとう。地上のモンスターは俺が片付ける」
俺は地上からもブルームピッグが来ているのに気づき、ハンマーを振って迎撃する。この辺りはこうやって色んな場所から攻撃が来るのが怖い。
「あ、今度は地中から来てるわね。二人とも気をつけて」
フェイがそう言った途端地中からメタルモグラが姿を現し、俺達の腹に穴を開けようと襲ってくる。
「うおっ! こうなったらモグラ叩きだ!」
俺は地面に向けてハンマーを何回も打ち込み、手数でゴリ押しメタルモグラを倒す。本当に気が抜けない。
「うぅ……いきなりモンスターの攻撃が激しくなってきましたね」
「そうね。二人とも潜伏系スキルはある?」
フェイの声がどこかから聞こえるが、どこにいるのか分からないので俺は辺りを見回した。
「ここだよ。炎で透明化してるのよ、あんた達も潜伏スキルがあるなら使った方がいいわよ」
「分かった。ビルデ、あれ使うぞ!」
「はい!」
俺達はスキル「影泳」を使用し地面に潜る。フェイは一瞬「おー」と間抜けた歓声を上げると、先に進んでいった。
俺達はそれを追いかけ、モンスター達をやり過ごしながら進んでいった。
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