第7話 結束

 「ぷはっ! 影泳切れちゃいましたね。ここから先は歩いていきましょうか」


 「そうだな。でもその前に昼食をとろう。この辺はモンスターもいないみたいだからな」


 俺はそう言ってリュックから携帯食を取り出す。そして俺はビルデにそれを渡して一緒に食べる。


 携帯食は俺の自作で、一個食べればそれだけで体力が回復できる優れものだ。


 味の方も気を使ってはいるが、所詮携帯食、そこまでおいしくはない。だが、ビルデはとてもおいしそうにそれを食べている。


 俺はビルデのことをじっと見つめる。俺達はまだ出会って数日だ。これからパートナーとして動くことだし、色々聞いて見るか。


 「なあビルデ。お前のこと、もっと教えてくれないか? 俺はまだ正直ビルデのことを全然知らないんだ」


 「うーん、そう言われましても、私自身も分からないんですよ。まだ生後一週間ですので」


 ビルデは困惑した表情で俺のことを見る。言われてみれば、彼女にそれを聞くのは酷だった。


 「私にはマグリスさんとは違って親もいません。だから私は自分の生まれた理由も方法も知らないんです」


 ビルデはそう言って寂しそうに笑った。俺はその姿を見て声を出さずにはいられなかった。

 

 「親なら俺がなってやる! お前が生まれた理由も方法も俺が見つける! なけりゃ作ってみせる! だから……そんな顔するなよ……」


 ビルデは俺の大声を聞き、きょとんとした顔をした。どう見ても何言ってんだこいつという顔である。


 しまった、とんでもなく恥ずかしい台詞を吐いてしまった。もう駄目だ死にてえ!


 「う、うぅ……うわーーん!!」

 

 傷ついた俺の心に追い打ちをかけるようにビルデは泣き始めてしまった。俺はビルデに土下座をし、全力で謝罪する。


 「ビルデ、本当にすまない!」


 「ち、ちが、違うんです! その、とても、とても嬉しくて……」


 ビルデは泣きながら首を横に振って否定する。そして俺の方に近づくと、勢いよく抱きついてきた。


 「ふふ、マグリスさんの体はあったかいですね。よく寝れそうです」

 

 「いやー、寝られるのは困るなぁ」


 俺は内心ホッとしながらビルデを抱き返す。今思えば、俺にやたらと懐いてくれているのもその辺の事情も関係しているのかもしれない。


 「でもマグリスさん。私はあなたのことももっと知りたいです!」


 「俺の話でよければいくらでも話すぜ。だが、次の街に着いてからだ!」


 「はい!」


 こうして俺達は残りの道すじを歩いていった。途中モンスターにも遭遇したが、気合の入った俺達に敵う相手はいなかった。

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