第5話 旅の準備は綿密に!
日が高く昇ったころ、俺達は武器屋へとやって来ていた。
ビルデは興味深そうに周りの武器を見ている。武器にも
「うーん、私はやっぱり杖がいいですね。私の体格だと精々ナイフぐらい使えないし」
「そうだな。値段は気にしなくていいから気に入ったのを買ってくれ」
こういう武器で大事なのは値段だけではない。値段もたしかに重要ではあるが、それ以上に本人の手に馴染む方が重要だ。
「え、いいんですか!? それならその……これが欲しいのですが」
ビルデはモジモジしながら俺に小さめな金属製の杖を見せてきた。杖の上部分には魔法石が埋め込まれている。
「うん、いいぞ。それにしてもそんな小さい杖よくあったな」
「なんか端っこの方にありました。
「なるほど。それじゃ買うか」
俺は杖を購入すると、ビルデに手渡す。ビルデは目を輝かせて杖を見ていた。よっぽど気に入っていたのだろう。
俺達はその後ビルデの防具や食料を買うと昼食を取っていた。すると、何やら気になる話が聞こえてきた。
「ねえ聞いた? ここ最近モンスターの数が増えてきたらしいわよ。そのせいでこの前ダンジョンに行ったパーティーが壊滅しかけたらしいわ」
「へー、そうなんだ。まあ私達にはそこまで関係ないね」
モンスターの増加か。俺はハンマー使いで集団戦には強いんだが、少し怖いな。ビルデは戦闘に慣れてないし、もう一人誰か仲間が必要かもな。
俺がそんなことを考えていると、ビルデが俺の服の裾を引っ張ってきた。
「その、もしかして旅するの危ないですか?」
「大丈夫だ、旅ならモンスターと戦う必要はないからな。とはいえ二人だと少し心もとないし、仲間を見つけた方がいいとは思う」
「そう……ですか。なら私の正体は隠すべきですね。やっぱり悪魔っていいイメージありませんから」
ビルデは少し落ち込んだような顔をする。きっと彼女は悪魔として生活したいのだろう。
「うーん、ビルデの正体を受け入れてくれるような人がいればいいんだけどな。まあ中々いないよな」
「そうですね……実際マグリスさんに会うまで十回契約を断られましたから。しかも魂なしでもです」
ビルデの顔が更に暗くなっていく。まずい、なんとかしなければ。
「まあ気にするな。ここから次の街までは本来一人でも行けるしなんとかする」
俺はそう言って、ビルデの手を握った。ビルデは少しだけ顔を上げると、はいと言って微笑をした。
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