第4話 修羅場の後に待つもの




 さて、ここで皆さんにクエスチョン!


 7人の恋人が繰り広げる修羅場から逃げた男は、結局どうなったでしょうか?



 答え:捕まった



 というわけで、俺はいま喫茶店の床の上に正座している。


 俺は数時間の逃亡劇の末、見事に捕まってしまった。


 正直みんなを舐めてたよ。


 女性だから、男の俺には足では勝てないと思って油断していた。



 でも違ったんだ。

 走りでは勝てなくとも、俺を捕まえる方法などいくらでもある。


 頭脳明晰なクールビューティーの結野さんはその頭脳から俺の逃げる先を推測した。


 ヤンデレ気質なお嬢様の上村さんは実家の使用人を使って人海戦術を開始。


 元不良の加藤さんは自分の昔所属していたチームのメンバーを使って同じように人海戦術を行っていた。


 他にギャルの青山さん、女優の篠原さん、アイドルの星川さん、モデルの吉井さんも俺の居場所をそれぞれ探し回っていた。


 そんな彼女たちの捜索から逃げきれるはずもなく、俺は捕まって喫茶店まで連行された。



「……」



 7人の目の前で正座をする俺。


 俺を睨みつけて仁王立ちする女性陣。


 帰って欲しいという視線を投げつける喫茶店の店主。


 状況はカオスだ。


 黙りこくるその場の人たちで、口火を開いたのは結野さんだ。



「問題なのは、誰が貴方と付き合うのかということよ」


「はい」


 結野さんの言葉にうなずく。



 俺は選ばなければいけない。

 この中から、たった一人の恋人を。


 それが俺の義務であることはわかっている。


 わかっているのだが、でもこれ一人選んで幸せになれるか?


 例えば一人を選んだとしよう。

 その一人と関係を続け、他の6人には俺との関係を諦めてもらったとしよう。


 でもこんな状況になった以上、必ず選んだその一人ともしこりが残る。


 あの時浮気をしたのだというしこりが絶対に残るのだ。


 それが最初の告白時から浮気をしていたというのであればなおさらの話。


 そんなことになるくらいなら、誰とも付き合わずに全員と別れた方がいいと思う。


 そもそもが、始まりから間違っていたのだ。

 複数の女子に告白すれば何人がOKしてくれるのか、なんて最低なことをやったのが問題だったのだ。


 別れるしかない。


 全員と別れて、クズな奴だったと嫌われて、そして彼女たちの前には姿を現さない。


 そう決めて、全員に別れてくださいと土下座してお願いした。



 その結果。



「あんたみたいな最低のクズ野郎なんてこっちから願い下げよ。死ね!」


 とはならなかった。




「わかりました。弄ばれたことはショックですし、貴方を許す気にはなりませんが、それでも別れるという選択しかないでしょうね」


 ともならなかった。



 全員の回答は、「絶対に別れない」だった。


 誰一人として譲る気はないし、誰一人として恋人になることをあきらめない。


 そうはっきりと告げられ、もうどうしようもなくなった。

 


「埒があかないわね」



 そんな中、口を開いたのは女優の篠原さんだ。


「ここでこうしていても話は進まないわ。確認だけど」


 篠原さんが他の6人を見渡す。



「全員が全員、京介と別れる気はないのよね?」



「はい」

「もちろん」

「無理」

「絶対に認めねえ」

「別れません」

「大好きだからね」


 その言葉に6人が頷く。


「そうよね。もちろん私も別れるつもりはないわ。正直もう、一生好きなままだと思うし」


 ポツリとすごいことを言った後、篠原さんは俺の方を見て続ける。


「でも当の京介はこの中の誰か一人を愛しているわけじゃない、と」


「はい」


 その言葉に俺が頷く。


 ひどい話だが、実際にそうだ。


 確かにみんなが魅力的な女性ではあるが、俺は彼女たちを愛しているわけじゃない。


 そんな気持ちがあったらそもそもこんなことをやっていない。


 他の6人に恨まれてでも1人を選ぶだけのエゴあいはなかった。



「それじゃあ、方法は一つね」


「一つ、って?」


 茫然とする俺と他の6人に向かって篠原さんが言う。


「全員と付き合いなさい。そして全員を愛するのよ」


 京介、と名前を呼ばれた。





「貴方には、ハーレムしか残されていないわ」



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