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 しかし、その願いは叶わない。

「クヒ、クヒヒヒ。……ここかなぁ?」

 次の瞬間、私を覆い隠していた布団は宙に舞い、虚ろな目をした男と目が合った。

「そんな……あなたが?」

 そこにいたのは、昨晩も神府町からの帰りに立ち寄った、行きつけのコンビニの店員であった。

「お願い、やめて……」

 私の助けを求める呟きは、しかしその男の耳には届かない。

「ミイツケタ……」

 男はその場でにたりと、気味の悪い笑みを浮かべた。

 そして両手をすっと私の首元に近づけたかと思うと、突然、尋常ではない力で私の首を締め付け始めた。

 私の両足が、宙に浮かぶ。

 プールの底に沈められたかのように、息ができない。

 苦しい。

 私は、薄れゆく意識の中、なおも必死に祈り続けた。

 助けてくれるなら、誰だっていい。神でなくても、人でなくても。

 例えそれが、悪魔であっても……。

 ――ガンッ。

 鉄パイプか何かで人の頭を殴りつけたような、鋭い金属音が室内に鳴り響く。

 その後、ひと呼吸ほどの間をおいてから、ドスンという何かが倒れる音とともに、私はベッドへと放り出された。

 恐る恐る瞼を開けて、床の方に視線を移すと、先ほどまで私の首を締め付けていた男が、白目を剥いて仰向けに倒れている。

 そして、上方に顔を上げると、

 「どうやら、間に合ったみたいだな」

 血痕の付着した杖を右手に構えて、悠然と佇む遊間の姿がそこにあった。

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