その後③

月日は流れ、今は高校の卒業式が終わったところだ。


「ゆうくん!早く帰ろぉ!」


解散と同時に愛梨沙が俺の方に来て、手を繋いでくる。


「ゆ、遊星!」


しかし、俺たちがさっさと帰ろうとした時、誰かに呼び止められる。


「ん?佐倉?」


その声の方を見ると、そこにはなぜか顔を赤くした佐倉が立っていた。


「ちょ、ちょっと来て」


「え?」


最近、佐倉とは話す機会が少なくなっていたはずだ。

そんな佐倉が何故?

俺はどうしたらよいのかわからず、ふと愛梨沙の方を見ると


「行ってあげて、私は信じてるから」


「?、わかった、行ってくるよ」


愛梨沙は少し含みのある言い方をしたが、俺はあまり気にせず、佐倉について行くことにした。




俺は佐倉に連れられ、人通りが少ない屋上付近の階段に来た。


「どうしたんだ?話って」


「そ、それはね...えっと」


佐倉は何故か緊張したように、視線を俺と合わせようとせずにどこかに泳がせている。

しかし、深呼吸をした後に衝撃の発言をする。


「ゆ、遊星のことがずっと好きでした!!!」


「...え?」


「だからその...付き合ってください...!」


「...」


正直、佐倉の発言には驚いたが今まで俺とは少し距離が近かったような気がする。

それも俺に好意があったらなら納得がいく。

しかし...


「ごめん、佐倉の気持ちには応えられない」


「っ...」


今の俺にはもう愛梨沙という彼女がいる。

なので佐倉と付き合うことはできない。


「だ、だよね!ごめんねこんなこと言って!」


佐倉は笑いながら走り去って行く。

だが、これだけは伝えておきたい。


「待ってくれ」


「な、なに?私もう行かなきゃ」


「嬉しかった、ありがとう」


「っ⁉︎」


佐倉は驚いたように目を見開いた後


「うぅ...ばかぁ、大嫌い...でも、大好き」


佐倉は涙を浮かべながら再び走っていった。




「森さんの話は何だったの?」


「...好きだって言われた」


家に帰ると、愛梨沙は俺と佐倉の話を聞いてくる。


「ふふ、ゆうくんはやっぱりモテるね!それで?返事はどうしたの?」


「もちろん断ったよ」


「ふふ、いい子だねぇよしよししてあげないとね」


愛梨沙は俺の顔を胸に抱いて、頭を撫でてくれる。

愛梨沙の胸は本当に落ち着く。

後何時間いても、これには飽きることはないだろう。


「愛梨沙ぁ」


「甘えん坊なゆうくんも大好きだよ」


少しの間、愛梨沙に癒してもらうと


「いい?ゆうくん、これからも浮気は絶対にしちゃだめだからね?」


と、忠告するように言ってくる。


「わかってるよ、俺には愛梨沙がいるし」


「そうだね」


そして、俺は愛梨沙に頭を離してもらい、次は俺が愛梨沙を抱きしめる。


「ん...ゆうくん、好きだよ」


「俺もだよ...ずっと側に居てくれよ」


「ふふ、プロポーズ?」


愛梨沙は茶化すようにそんなことを言う。


「...そうだよ、愛梨沙...俺と結婚してくれ」


「えっ...ちょ..ホントに?」


「うん、ホントに」


愛梨沙は顔を真っ赤にしながらも、期待した目で俺を見てくる。


「う..うん、いいよ、ずっとゆうくんのものになる...ゆうくんのお嫁さんになるね?」


「うん、よろしく...愛梨沙」


俺は愛梨沙の唇を奪い、そのままお互いを深く愛し合った。



〜完〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

義姉に愛され堕とされる 朝霧 紅魔 @SIROKA0329

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ