その後①
「おはよう遊星!」
朝、学校に着くと佐倉が話しかけてくる。
「ああ、おは...」
「ゆうくん!!」
俺が挨拶をしようとすると、愛梨沙が横から足を軽く蹴ってくる。
そうだ、俺は昨日より、女子との接触を禁止されたのだ。
「あれ?その人は?」
佐倉は俺の横に立っている美少女に驚いている様子だ。
そりゃそうだ。なぜなら昨日までは前髪で目を隠し、さらに根暗なオーラを放っていた愛梨沙が、いきなり美人になると誰もわかるはずがない。
「どうも、私は風見愛梨沙です!」
「えっ?おい」
愛梨沙は佐倉に向かって、俺の苗字と自分の名前を言う。
まあ確かに家族になったので間違ってはないが、学校には前の苗字では通しているはずだ。
「風見...遊星と同じ苗字なの?」
ほら怪しまれてる。
「はい!私はゆうくんの彼女兼妻なので!」
違う。彼女ではあるがまだ妻ではない。まだ...
「うぇっ⁉︎遊星の彼女⁉︎」
佐倉は妻という言葉よりも彼女という言葉に過剰に反応している。
そんなに意外なのだろうか。
「はい!なので今後一切ゆうくんには関わらないでください!」
愛梨沙は至って笑顔で佐倉に言う。
しかし、その笑顔からは少し圧力のようなものを感じ怖いとも思ってしまった。
「な、なんで?喋るくらいはいいじゃん」
「ダメです!ゆうくんには私がいれば十分なので!ね?ゆうくん!」
「う、うん」
「な、何言ってるの?そんなのおかしいよ?」
佐倉は俺たちに困惑しながらも、反論しようとする。
「おかしい?どこかでしょう?私たちは愛し合ってお互いがいればそれ以外は不要という考えですよ?」
流石にそんな考え方はしてないが、今の俺は愛梨沙を1番愛しているということは確かだ。
「そ、そんなのって...」
佐倉は今にも泣き出しそうなくらい、暗い表情をしていた。
そんなに俺と喋りたかったのだろうか。
「はい!じゃあホームルームを始めるぞ!」
先生が入ってきて、ここで俺たちは席へ戻るしかなかった。
ホームルームが終わると、愛梨沙の周りには沢山の人だかりができていた。
主に男子たちだ。
「なぁ、放課後俺たちと遊びに行かね?」
「...」
「私と連絡先交換しよー!」
「...いいですよ」
男子の言葉には全く答えず、女子の言葉は少し面倒臭そうにしながらも何かしら返していた。
本当に男子とは一切口を聞かないらしい。
「ねえ遊星!流石におかしいでしょ!」
そんな光景を眺めていると、佐倉がこっちへやってくる。
「仕方ないよ、俺は愛梨沙が好きだし愛梨沙も実際男子とは話してない、だから俺も女子とは喋らない」
「っ〜!で、でも遊星と喋れないなんて...そんなの、あんまりだよ!」
「ゆうくん!授業が始まるまでイチャイチャしてよ〜ね〜!」
佐倉と軽く話している俺を見てか、それを見せつけるように、愛梨沙は俺の肩から腕を回して俺に抱きついてくる。
すると当然、俺の頭のあたりには愛梨沙の大きな胸が当たり、柔らかく形を変えていく。
「っ〜⁉︎⁉︎ちょっと学校でそんなことしちゃダメでしょ!」
佐倉は俺と愛梨沙を制止しようとするが、愛梨沙がそれに応じるはずがなく
「森さん、私のゆうくんに気安く話しかけないでくださいね?」
「っ⁉︎な、なにが私のゆうくんよ〜!」
佐倉か顔を真っ赤にして怒っている。
「私のゆうくんですよ?だってゆうくんは昨日あんなに私を求めて...‼︎」
愛梨沙は昨日のことを思い出したのか、顔を真っ赤にして悶えている。
「〜っ!もういい!!!」
佐倉は遂にブチギレてしまい、席に戻っていってしまう。
「ふふ、ゆうくんに付く虫を排除できました」
そして、愛梨沙は俺の前に回って俺の膝の上に対面する形で乗ってくる。
「ゆうくん...キスして...」
「こ、ここで?」
「うん、もちろん!」
愛梨沙はその美しい顔を近づけて、俺を待つように目を瞑る。
「愛梨沙...」
「んっ..はぁ...んぁ..ゆうくん..」
愛梨沙とキスをしていると、かなりの量の視線を感じる。
そりゃそうだ。学校でキスをしている男女を見ると、いやでも注目してしまう。
それに愛梨沙はおそらく学校で、いや俺にとっては世界で一番可愛い、そんな美少女が俺みたいな平凡な男とキスをしていると、男子たちの妬みの視線が沢山向いている。
「ぷはっ..ゆうくん可愛い...」
「可愛いのは愛梨沙だろ?」
「ありがとうゆうくん...好き」
「俺もだよ...愛梨沙」
正直俺はもう他の視線なんて関係なかった。
それよりも俺の体は愛梨沙を求めていた。
家に帰ると、親は両方今日は帰らないという手紙が残され、料理だけが置かれてあった。
そして、俺たちがそれを食べようとすると
「はい!ゆうくんあ〜ん!」
「あ⁉︎愛梨沙⁉︎」
愛梨沙は口の中に食べ物を入れた状態で、俺の口へ移そうとしてくる。
愛梨沙は家に帰ると、外で制御している衝動を解放して遠慮がなくなる。
「はひゃくたへて〜」
「わ、わかった、あ〜ん」
愛梨沙の唾液が混ざったご飯は、俺の男を目覚めさせるのには十分すぎるくらいだった。
「愛梨沙...」
俺は愛梨沙を見つめる。
すると、愛梨沙は目をトロンとさせて俺に抱きついて言う。
「ゆうくん...ベッド行こ?」
「愛梨沙..好きだ」
そのまま俺と愛梨沙は存分にベッドを軋ませた。
「良かったよ...ゆうくん..」
「俺も...愛してるよ、愛梨沙...」
俺たちはお互いの愛を伝え合い、抱き合いながら、俺は愛梨沙だけいれば十分に幸せだと改めて実感し、眠りに落ちていった。
あと1、2個はその後の話を上げようかと思います。
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