第4話:親の反対 ①
2人が付き合いを始めてから3年が経った頃、2人は「お互いの両親に挨拶に行かないとね」と結婚を前提にした交際が続いていたが、まだお互いの両親には結婚の報告も2人の子供たちの事も話しておらず、そろそろ言わないと結婚を反対されないか心配だった。
なぜなら、友香の場合は前夫と結婚報告のために両親に会ったときに父親から「本当に結婚して、幸せな家庭を築けるのだろうな?」と前夫に対して釘を刺すような言葉をかけられていた事があり、離婚することになった時も「だから言っただろう。あんなやつと結婚するからこういう結果になったの。分かるか?」とまるで父親が2人の離婚を予測していたかのような口ぶりで話を始めたのだ。
しかも、父親は厳格な祖父と祖母に育てられてきたため、中途半端なことや筋が通っていないことに対してかなり厳しく、2人の娘を取られたのも父親からの“頭を冷やせ”という無言のエールだったのかもしれないと思っていたが、今は来年中学生になる優菜と小学校3年生になった桃菜は以前通っていた学校が3校と統合したため、同居はしているが、平日は学校があるため母親と朝早く家を出て、バスで通学している。
今は区の児童手当が4人分入ってくるが、来月末に“児童手当支給対象年齢改定”という来年度からの支給終了年齢が15歳になるか12歳になるかが決まる区議会審議がある。
仮に12歳で支給対象年齢から外れると3人分になり、現行維持になると15歳になるため、まだ4人分が振り込まれることになる。
実は友香は1年前に以前住んでいた部屋から近くに出来た新築の3LDKのマンションに引っ越した。そのため、住宅手当が会社から6万円出るが、家賃が11万のため、自腹で5万円を支払うと以前から積み立てていた子供たちの教育貯蓄が出来なくなる。
そのため、上2人の児童手当が無くなった場合には元夫からの養育費を積み立てなくてはいけないのだが、元夫との取り決めにより貯蓄は認められているが、使用用途を相手に開示しなくてはいけないため、教育貯蓄にすることでトラブルが起きる可能性がある。
そして、竜典も両親との確執が強くなり、恭子と離婚して以降は一度も会っていない。
実は彼もまた恭子との結婚に対して両親からかなり反対の声があった。
当時20歳の恭子と23歳の竜典は結婚を前提に交際していたが、両親からは「でき婚だけは勘弁してくれ」と言われていた。
なぜなら、竜典の兄である宏典は18歳の時に17歳の同級生・由美との間に女の子が生まれていた。
その時に宏典と由美の前で父親が「お前らいい加減にしろ!まだ子どもなのに子どもを作るとは何を考えている!」と二人に対してかなり激怒していたことがあった。
そして、宏典と由美は年中無休でバイトをして、子どものミルク代やおむつ代など必要なお金を工面していた。
しかし、この事が発覚してから父親が「お宅の宏典君に子ども出来たって聞いたけど、本当?」といわれたことや「まだ高校生なのに何で親が止めなかったの?」と父親が攻撃されることが増えたことやこの話が近所の噂の中心になっていて、会う人からこの話題に対する答えを求められてしまったことで父親はかなり恥ずかしい思いをしていた。
この苦い経験からまだ中学生だった竜典にはくどいほどに言われていたため、彼にとっては恋愛というのがどういうものか理解していたが、両親から言われていたことを考える事は難しかった。
結局、高校生の時はでき婚にはならなかったが、大学生の時に出会った愛優との間に子どもが出来たことで父親から「この子たちの母親と責任を持って結婚しろ!」と言われたが、彼は「彼氏・彼女の関係が自分たちにとっては良い関係性だからこれ以上はない」と言いきったのだった。
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