本音はお酒と共に……?

御厨カイト

本音はお酒と共に……?



カタカタカタカタ



今日も俺の家には、タイピング音が響く。

昨今の事情リモートワークが主になったため、俺は今日もパソコンを開いて仕事をする。


やはり会社で仕事をするのとは勝手が違うため、戸惑うことも多かったが今では「逆にオンラインの方が楽なのでは?」と思うようになってきたほどだ。

毎朝、満員電車で通勤しなくて良いし、なんなら着替えなくても良い。


でもやっぱり一番は……同棲している彼女の楓さんの仕事姿を見ることが出来ること!

これに尽きる!


普段の彼女も勿論良いのだが、このようにキリッとした顔で仕事をしている彼女も姿も物珍しくて良いのだ。

対面で座っているため、ふと顔を上げるとすぐ目の前にかっこいい彼女の顔がある。

そして、そのままポォーと見続けてしまうのが常だ。



「……何?何か用?ずっと見られていると集中できないんだけど。」


「あ、ごめん。あまりにも楓さんの顔が綺麗でつい見惚れちゃった。」


「何それ、いつも言うけど暇なの?暇ならちょっとコーヒー注いできてよ。」


「りょ、了解です。」



……という風に少し冷たい彼女にはこのようにあしらわれて、いつも終わる。

こんな毎日である。



確かに、いつも冷たくあしらわれるため、悲しく感じるところはほんの少しだけある。

……がお酒が入った時の彼女の様子及び本心を知っているため、正直に言うと気にしていない。


多分今日も晩酌するはずだから、楽しみだ。





















「……ごめんね、朝冷たく当たっちゃって。」


缶チューハイを片手に、いつになくしゅんとした様子で言う彼女。

そんな彼女の頭をゆっくり撫でながら、俺は慰める。


「うぅん、大丈夫だよ。こっちこそごめんね?お仕事の邪魔しちゃって。」


「いや、君は悪くないよ。いつも私が冷たく当たってばかりだから……。」


「でも、今こうやって謝ってくれてるじゃん。それでいいよ。ねっ?」


「ホントに?それでいいの?」


「うん!いいんだよそれで!」


「そっかぁ、えへへ、ホントありがと!君の事、世界で一番愛してる!」


「アハハ、俺もだよ!」


にへらぁと赤い顔を崩しながら、満足そうにお酒を飲む彼女。

そんな様子の彼女に、俺は思わず頬が緩む。


いつものクールな彼女と違って、お酒が入るとまるで子供のように幼く見える。

その可愛すぎるギャップに俺は毎回死にそうになるのだ。



そんな事を考えながら、俺は彼女が飲んだお酒の空き缶をキッチンへと持って行く。


……ん?

あれ、今日ミスってノンアルコールの奴を買ってんな。

スーパーで買うときに、間違えてカゴに入れちまったのか。



……えっ?ノンアルコール……?



俺は首を傾げながら、彼女の方へ振り返る。

そこには美味しそうに缶チューハイを飲む彼女。



「……あれっ?」
















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本音はお酒と共に……? 御厨カイト @mikuriya777

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