#3

「ただいま…」

 そう言えば、寝室はひとつではないから加登かどが寝る場所はココではない…。でも、いつもいるんだよな…。

「おかえり…」

 寝惚けながらハグをしようとする加登に、距離を置く。

「うーん…」

 俺とハグ出来なかったからと言って、そんな顔はコイビトにしようか。って、俺だ…。

「加登、寝たいんだけど…」

 退いてくんない?とケツを叩いた。

「いやぁ…ん…」

「あのな…」

 感じる触り方してねぇだろ。おい。

 と思いつつ、退く気がない加登の隣に寝転がる。

「お風呂入ってよ…」

「わかってるよ…」

 少し横になりたいだけなのに…。

「この匂いは嫌いじゃないけどね…」

「やめろ…」

 いつの間にかギュッと抱きしめられていて、もがく俺に、

「やめない…」

「こんなオッサンにそんなことして誰得なの?」

「俺得…?」

「そっか…」

 離れなさい。と言って、顔を近付ける加登に顔を背けた。

「こんなこと許されたら、いいかと思うじゃない…?」

「そうなの…?」

「もういいよ…」

 そう言って、俺の部屋から出て行った…。

 冷めた顔だったな…。俺、嫌われたな。何かショックかも…。

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