#2

 立ち直れない…。

 毎回、そんな気持ちで悔しいって気持ちもあって、だから、きっとこの仕事が好きで、続いているんだろうと思う…。

 次こそは。って毎度思うよ。もう二十年くらい同じことしてるのに。

「……ん?」

「お客だけど…?」

「そうだな」

 相変わらず、俺にだけそういう態度で接するこの店の店主、元・同僚の桶浦おけうらさん。

みお。少しはお客っぽく来れないのか?」

「いや、来てるし」

「そうか…?」

「桶浦さんこそ、少しは無駄に接客してくれてもいいんじゃないですか?」

 少し考えて、

「無理だな…」

「そうですねぇ…」

 桶浦さんが、俺に気を遣うだなんて有り得ない話だな…。

「気持ち悪いだろ…」

「確かに…」

 納得できるから、前と同じノリで接してもらえてありがたい…。

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