第13話 友情崩壊の危機?
あれからもう一度撮った動画は、今までのより大分マシな出来映えとなり、俺はめでたく、二回目のミッションから開放されたのだった。
「撮った動画は、編集して後でL○NEに送りますね?」
と笠原さんに言われ、俺は『☆嘘コクミッション☆』というワケの分からないグループに入らされた。
「いや、別に動画いらんよ。」と俺は言ったのだが、次のミッションの為に連絡をとるためにもぜひ入ってくれという事だった。
明日のお昼休みは芽衣子ちゃんは予定があるらしく、久々に友人とのゆったりした時間を過ごせそうだった。
休み時間、俺はクラスメイトで、ポッチャリしたお腹がチャームポイントのフツメン=福富正樹(16)に、怒られていた。
「京太郎!最近、お前昼休みどこ行ってんだ?俺、危うくボッチ飯になるところだったぞ。」
「ごめん、マサ。ちょっとここ2日くらい野暮用で。」
「ん?もしかして、例の嘘コクか?」
友人の鋭い指摘に俺は苦笑して答える。
「ああ、後輩の女子にな。
こっちは嘘コクのプロだとか言ってヤバい奴を装って、やり過ごそうとしたんだが、相手が、それ以上の強者で、しばらく絡まれる事になりそうだ。」
「後輩にまでからかわれて…。お前も大変だな。」
マサは俺に同情の目を向けてきた。
「ん?ボッチになりそうって、スギはいなかったのか?あれ?今もアイツいねーな。」
もう一人の友人でパッツン前髪と眼鏡が目印のフツメン=杉崎義隆(16)について言及すると、
「あいつ、隣のクラスの女子と出来ちゃったみたいでよぉ!何日も前から、二人で中庭で食べてんの!休み時間もずっと隣の教室だよ!」
マサは憤懣やるかたなしと言った表情で
拳を振り回した。豊かなお腹がポヨンと揺れた。
「嘘だろ!?あのメガネ、女子にモテる要素何一つなかったろ?なんで彼女なんか…。」
俺はあまりにもショックで友人に言いたい放題言っていた。
「あいつ、頭だけはいいからな。勉強教えてやってるうちに、仲良くなったらしい。」
「そういえば、学年5以内に入ってたな。
許せんな、あいつ!」
カースト底辺の俺達にとって、リア充への階段を駆け上がる=彼女を作ることは、友人への裏切りを意味する。
俺はマサに謝った。
「悪かったな。マサ。明日のお昼は独り身同士一緒にメシ食おうな!」
俺は、残りモノ同士のより固い結束を心に誓ったが…。
「あっ。ごめん、明日の昼は俺、予定あるんだわ。」
マサはバツが悪そうな顔をして謝った。
「あっ。そうなのか?そしたら、今日の放課後、久々にラーメン屋でも行かねーか?」
「あー、それもごめん。俺、昨日ラーメン屋行ったばっかりなんだ。金欠だし、しばらくはちょっと…。」
??
「そ、そうなのか?」
「うん。またの機会にでも。」
「ああ…、そうだな。」
あれ?こいつ俺たち以外に一緒にメシくいに行く奴いたっけ?
それにスギも俺もいなかったのに、今日のお昼も結局ボッチ飯ではなかったという事だよな?
一体誰と…?
俺はマサの態度に腑に落ちないものを感じながら、丁度予鈴がなって、自分の席に戻ろうとした時…。
「なぁ、京太郎…?」
「ん?」
「よく食べるぽっちゃり系女子ってどう思う?」
???
「い、いいんじゃないか?」
「へへ、そうだよな。いいよな…。」
「お、おう。じゃな。」
嬉しそうに、ニマニマしているマサに、不穏なものを感じながら、俺は自分の席へと戻った。
*あとがき*
いつも読んで頂き、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます
m(_ _)m
今後ともよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます