第58話 そして地球へ
◇◇◇◇◇
レベッカはワシントンD.C.の元S級ダンジョン入場口のあった場所で目が覚めた。
『レベッカ!』
『あー、戻って来たのか。』
『すぐに迎えに行くから待ってて!』
『あー、頼む。』
イースでのあれは一体なんだったの?
ハヤテが天使長と会話していた。
会話からすると、ハヤテの命と引き換えにすべての瘴気を浄化したってことだろうか。
ここのダンジョン入場口も消えている。
ハヤテの仲間たちは、事情を知ってるはず。
あの子たちはどうなったんだろうね。
とにかく、戻って確認しなきゃね。
その他のS級探索者も同様にフランス、ロシア、中国と元の国に戻って来ていた。
状況はレベッカと同様によくわからないまま。世界ランキング1位のハヤテ・タチバナが影響していること以外は。
◇◇◇◇◇
世界探索連盟ウオールームにて。
状況を監視していた映像からスタンピードによって発生した魔物が突然現れた光の粒によって完全に消滅した。
「ん。なんだ!一体、どういうことなんだ!」
「イースで何かあったんじゃないかしら?」
「宗方首相、藤堂大臣!イースに潜っていた松田さん、静さん、朱美さん、麗奈さん、桜さん、若葉さんが渋谷に戻ったのことです。
現在、早見さんたちが、迎えに向かってます。」
「いよいよ、何かあったわね!
颯ちゃんはどうしたの?」
「渋谷には、戻っていません。
詳しいことはまだわかっていませんが、颯さんがこの状況に関係している模様です。」
「わかったわ。白石!咲夜ちゃんにこっちに向かうように伝えてくれる?」
「承知です。伝えます。」
。。。。。
「WSF議長のー!宗方だ!
加盟各国に告ぐー!
世界の超巨大魔物がすべて消滅した!
各国は全国民にこの状況を伝えてくれー!
これにより世界異常事態宣言を解除する!
各国の国軍および探索者は、自国に戻るように伝達だ!
なお、今回の収束に関しては、S級ダンジョン内での活動が影響している模様だが、現在調査中だ!詳しいことは、後で伝える!
以上だ!」
滅亡を覚悟していた各国の国民は、危機が去ったことに安堵し、歓喜に満ち溢れていた。
国軍、探索者たちも同様に安堵し、涙を流し自国への帰路についた。
◇◇◇◇◇
「宗方首相!藤堂大臣!松田さんたちが到着しました。
大会議室に入ってもらいましたので、お越し願えますか?」
「ん。わかった。」
「ありがとう。じゃあ、行きましょう。」
◇◇◇◇◇
「松田!」
「宗方。美咲。」
大会議室には、松田の他、静たち5人もいるが、全員が颯の形見である日本刀を抱きしめて、無言で涙が止まらない。
「颯ちゃんはどうしたの?」
この言葉に5人は声を上げて泣き出してしまった。
「美咲。この5人は、休ませてあげてくれ。
俺が知っていることは全て話す。」
「……。そういうことね。颯ちゃんなのね。
咲夜ちゃん!みんなを送っていってあげて。
みんな、呼んでごめんなさいね。」
「……お話しします。お兄ちゃんの…こと。」
桜が涙を堪えながら、ゆっくりと話し始めた。
◇◇◇◇◇
全員が涙を流し、桜が話すイースでの最後を聞いた。
「うおー!橘ー!お前ってやつはー!」
「橘……。」
「そういうことなのね……。」
「お兄ちゃんは……。」
「桜ちゃん、ありがとう。
颯ちゃんはすべてを救ってくれたわ。
あなたたちは、知らないと思うけど、地球も滅亡寸前だったの。超巨大魔物が大量に現れてね。私たちの力では対応できないほどの圧倒的な脅威でね。それも消滅したわ。」
「そうだったのか。俺も知らなかったぞ。」
「そうね。龍作ちゃんも向こうにいたからね。」
「あいつは地球も救ったんだな。」
◇◇◇◇◇
WSFウォールームより、議長の宗方から、S級ダンジョン内での出来事を天使や悪魔の存在は伏せた内容で、ほぼあった通りの説明が行われた。
ハヤテ・タチバナの功績は全世界に伝えられ、各国から感謝の意が宗方の元に伝えられた。
後ほど、S級国家の5国に関しては、S級探索者も参加した常任理事会にて、イースでの全容が伝えられた。
S級探索者は、その内容に腑に落ちた様子だった。
特にレベッカに至っては、シズカたちに会いたいと日本へのチャーター機を準備するように大統領に依頼した。拒否できないほど強く。
◇◇◇◇◇
それから、各国で復旧作業が開始された。
特に南半球の国に関しては、世界探索者協会からの支援により、他の国からも技術者が派遣される予定である。
地球上にS級ダンジョンが消滅したことにより、探索者ランクからS級の削除が決定されて、現在のS級探索者はレベッカを中心に、世界の各国とは完全独立の機関である世界監視団体『サーベイランス』が発足されることとなった。
これは、レベッカの意向である。
ハヤテの意志を無駄にしないために。
イースの最後を経験した他の元S級探索者も賛同してサーベイランス入りが決定した。
総勢5名の最強独立機関である。
また、今まで通り、E級〜A級ダンジョンは存在しており、探索者制度はそのまま継続されることとなる。
◇◇◇◇◇
地球は復興に向けて走り出した。
世界各国の要望もあって、今から1週間後に英雄『タチバナハヤテ』の世界葬を執り行なうことが決定。この告別式の中で、議長国より世界安全宣言が発令されることとなった。
目立ちたくないと日頃から言っていた颯は、亡くなったのち、世界一目立つ存在となってしまうのであった。
史上最大の成り上がり!の物語。ここに完結?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます