第50話 一時帰界します!

 ◇◇◇◇◇


「サランディーテ様!戻りました!」


「ハヤテ!お疲れ様でした。

 なんとか、ハヤテのおかげで瘴気の拡大スピードは抑えられてるみたいです。

 逆を言うと、瘴気の面積自体はあまり変化がないようですね。それでもすごい効果ですけど、減少傾向にはないですね。

 やはり、効率は悪いですよね?」


「はい、魔物の大群に囲まれてのお掃除になるので、ちょっと効率が悪いですね。」


「すいません。もう少し早くに戻ってもらうべきでしたね。ちょっと傾向を見たかったので、そのまま継続してもらいましたが、次の作戦に移りましょう。」


「なんですか?次の作戦って?」


「はい。みんなで一緒に頑張っていきましょう!共同作業作戦です!」


「さらに言ってることがわかりませんが……。」


「簡単ですよ。ハヤテには一時帰界してもらって、仲間を連れてきてもらえればオーケーです。

 そして、またここに来てください。

 詳しいことはそのときに話しますから。」


「仲間って、同居人の5人のことですよね?」


「はい、その通りです!正解!!」


「え?え?彼女たちはもうS級探索者になってるんですか?こんなに早く?しかも、第二覚醒?どういうこと?」


「いえいえ、彼女たちはまだ条件は満たしてません。あなたのルームで連れてくるんです。」


「うおー!斜め上から来た〜!

 そんなことで出来るんですか!?」


「出来ますよ!

 彼女たちがルームに入った状態で、ハヤテが境界門に入れば、ルームが門を越えることができます。というか、すでにルーム自体が異次元に存在するので、関係ないんです。

 ただし、彼女たちはまだ条件を満たしていないので、外に出るとき、すなわちこのイースに来るときには、必ずスーツ着用です。これだけは必ず守ってください。ルームの中は自由です。」


「なるほど!わかりました!

 彼女たちに話して相談してきます!」


「はい。ではお待ちしてますよ!

 帰るには、そこの境界門ですからね。」


「ありがとうございます!行ってきます!」


 颯は、るんるんで境界門から日本に戻って行った。



 ◇◇◇◇◇



 うおー!戻って来た〜!

 渋谷の入り口だ!もうこれだけで感無量!


『橘さん!』


『あ!早見さん?』


『戻って来たんですね!おかえりなさい!お疲れ様でした。すぐに迎えに行きます!管理局で待っててくださいね!』


『わかりました!』


 久しぶりに早見さんの声聞いた。

 もう涙出そう。



 ◇◇◇◇◇



 颯は一人で渋谷特別管理局に入っていく。


「すいません!」


「はい!橘さん!お待ちしてました。お疲れ様でした。こちらにどうぞ。」


 職員の方に連絡が入ってたらしく、すぐに案内されて、まず、大量に持って帰って来た魔心とデータを渡して、それから応接室みたいな豪華な部屋でくつろぎ中。


 日本茶美味しい。絶対これ高級なやつ!


 ガチャ!


「橘さん!おかえりなさい!」

「颯ちゃん!お疲れ様!」


「え?藤堂さんも?白石さんも?」


「そうよ。顔が見たくてね。ふふふ。」


「ありがとうございます。ちょうど良かったですよ。いろいろ話があるんです。」


「へぇ。いいわね。いろいろあったのね。」


「もう、ありすぎて大変でした。

 俺の同居人にも話しなきゃいけないんで、今から一緒に行けますか?

 ダメなら、また今度伺いますけど。」


「今から?全然いいわよ。スケジュール全部キャンセルするわ。白石!秘書に連絡しておいてくれる?今日に予定は全てキャンセルよ。」


「今日はあの方との……。」


「白石ちゃん。代わりによろしくね。」


「……承知致しました。」


「あのー、俺の方は今度でもいいんです。」


「いいのよ。颯ちゃんの話より大事なことなんてないわ。行きましょうか?

 咲夜ちゃん。よろしくね。」


「はい、喜んで!」



 ◇◇◇◇◇



 早見さんの車に乗って我が家に向かう。

 連絡するとみんな家で待ってるとのことだった。なんか、嬉しすぎて、心がムズムズします!


 車の中では、藤堂さんに核心以外のことを少し話しておいた。天門宮のことはすでに知っているみたいだが、今のところ天使の存在は認識されていないようでした。

 松田さんは、一度帰界したらしいが、また潜っているらしい。本当にオタク。でも向こうで会わなかったな。いろいろ廻ってるんだろうね。


 なんやかんやお話してるうちに我が家に到着!


 もう心臓が爆発しそう!

 こんなに嬉しいんだなー。

 会ったらどうなるんだろう?



 ◇◇◇◇◇



「みんな!ただいま!」


「お兄ちゃん!」

「颯ー!」

「颯さーん!」

「颯くーん!」

「颯兄〜!」


 うわー!一斉に抱きつかれた〜!

 もう!最高です!嬉しい!気持ちいい!

 やっぱり、我が家最高です!


「颯。無事で良かった。」

「連絡取れないから、すごく心配してたんだよ!でも、大丈夫と思ってたけどね。」


「ありがとう。無事に帰ってきました!

 って、朱美!どこ触ってんだ!」


「えー。いいじゃん。減るもんじゃないし〜。」


「減らないけど……。」


「颯さん!S級ダンジョンはどうだった?」


「うん、いろいろあってね。

 でも、危ないこととかはなかったから。

 みんなは、どうだった?」


「うん、毎日レベル上げ頑張ってるよ。

 それとね。お兄ちゃんにいない間になんと歌手デビューしたんだよ。」


「おー!すごいじゃん!」


「私たち5人グループでね。『迷宮HAPPY』っていうグループなんだよ。デビュー曲が『キズナズッキーニ』って曲なの。聞いてみる?」


「なんか、変な名前の曲だね(笑)」


「私たちも最初はそう思ったんだけど、いい曲だよ。ね?」


「うん、曲はいいのよ。聞いてみてよ!

 このミツべでMVが見られるから。」



「あなたたち。盛り上がってるところ悪いんだけど、私もいるんだけどね。」


「え?あ!藤堂大臣?」

「え?本物?」


「うん、本物だよ。みんなと一緒に聞いてもらいたいことがあったんで、藤堂さんにも来てもらったんだよ。」


「お兄ちゃん!先言いなさいよ!もう!

 藤堂大臣!失礼しました!

 どーぞ、お掛けください!」


「ありがとう。お邪魔するわね。」


「みんなも座ってよ。ちょっとS級ダンジョン絡みで話があるんだ。」


 藤堂さんと同居人の5人がソファに座った。

 早見さんたちは、みんなの分のコーヒーを持って来てくれている。こういうところも手際がいい。


「橘さん、私たちマネージャーたちも聞いていい話ですか?」


「そうですね。ちょっと重い話になるけど、聞いてもらってもいいかな。ただ、他言無用でお願いしますね。」


「はい。」


 それから、イースで起こっている核心の話をみんなに話しはじめた。

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