第48話 瘴気からの悪魔⁉︎

 ◇◇◇◇◇


 お!見えてきた!真っ黒。真っ暗。

 これは禍々しい。黒い地平線。


 やっぱり、魔物も同様に禍々しい。

 瘴気を吸ったらこうなるのか。


 まずは、この辺りの魔物を一掃しないと作業に支障が出そうなんで、いっちょがんばりますか!


 パシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ!


 多すぎじゃないですか?どんどん出てくるねえ。うーん、困った。これは大変だ。

 もう、強引に進んでいくか!



 ◇◇◇◇◇



 ふう。やっと瘴気のところまで来たぞ。

 でも、完全に魔物に囲まれてるんですけど。


 戦闘を継続しつつ、初めてのバキュームに取り掛かった。忙しい!すごく忙しい!


 バキュームってどうやるんやろ。まあ、やってみるか!


 バキューム!


 うおー!すげー!


 颯は、バキュームを使いながら、瘴気の中に入っていく。


 これって俺の周りの瘴気を吸い取っていくんだね。すごい威力!吸い取る範囲は周囲10mくらいかなぁ。


 お掃除ロボットのルンバっぽく、移動したところの瘴気を吸い取っていく。ロボット俺!


 わぁ!これ楽しい!けど、魔物を狩りながらだから、やっぱり忙しい。戦闘マシーン俺!


 それから、試行錯誤しているうちに吸い取る強度を上げられることがわかった。

 出力を『強』にすると周囲100mくらいの瘴気を吸い取ることができた。ただし、魔法力の消費が半端ない。


 これは出力を考えてやらないと魔法力切れを起こして、バキューム使えなくなったら、とんでもない大惨事になるぞ!

 効率も気をつけないといけないな。

 あと、魔法力を上げるためにコツコツとレベル上げも大事だな。

 魔法力ってあんまり気にしてなかったけど、結構重要かも!


 ちなみに、スキルを使用する際に消費するのが魔法力で、これが切れるとスキルが使えなくなる。いまさら説明。


 余談だが、低レベル者がいくらスキルをガン積みしても、使える回数が限られてくるので、最初のうちはセーブして使わざるを得ない。

 なので、探索者全般の戦闘に関しては、物理攻撃や物理防御がメインになってくる。

 そういう意味では、優秀なスキルを持っていても、物理が弱いと戦闘に負けてしまう。

 戦闘においてのスキルはあくまで補助もしくは最終手段なのである。まあ、昔の俺のようにスキルが全くないとどうしようもないけどね。

 

 だから、俺や同居人がもらったチート武器やチート装備は、まさにチートオブザチートと呼ぶにふさわしい優れたアイテムなのである。

 ありがたいことです。はい!


 ちなみに、松田さんは打撃系のゴリゴリ物理系戦闘を得意としている。聞いた時は松田さんらしい戦闘スタイルだなと思ったな(笑)。




 うーん。楽しいけど効率が……。

 魔物を狩りながら、進むのだが多すぎて邪魔!ものすごく邪魔!魔心がたくさん取れるんでいいんですけど……。


 超低速移動ルンバでお掃除するも、このままじゃ、何年かかるの?って感じ。

 まあ、やるっきゃないけど……。


 今日はこれくらいにして、もうそろそろ魔法力を回復しないと!

 魔物がいないところまで戻ろう!


 。。。。。



 ただいま、ルームに入って休息中です。

 いやー、労働讃歌!働いた〜!

 これって、ちょっとは瘴気が減ってるのかなぁ?続けるしかないけども、よくわからん!

 とにかく、明日も頑張るぞー!



 ◇◇◇◇◇



 来る日も来る日もお掃除ロボットくん!

 今日も明日も明後日も!

 飽きてきた。やってる時は忙しすぎて忘れてるけど、飽きてきた!

 もう、精神的にダメージ大。

 

 狩る!吸う!狩る!吸う!狩る!吸う!


 本当にヤバい。



 ◇◇◇◇◇



 次の日も瘴気のところまでやってきたが、なぜか魔物がいないよ⁉︎今日に限ってWhy?


 まあ、お掃除チャンスなんで今日も瘴気バキュームをはじめましょう!今日は捗りそう!

 レディ!ゴー!ゴー!ゴー!


 すると遠くから声が聞こえた。


「こらこら、ちょっと、君。ストップ。」


「へ?」


「君のことよ。はい、ちょっとストップよ。

 待ってたわよ。わざわざ魔物を退散させておいたんだからね〜。

 お利口さんだから、一旦、瘴気を吸うのはやめようね。」


 瘴気の中から朧げに姿が見えてきた。

 女性の方です。黒を基調にものすごく露出の激しい格好をしてますよ。エロすぎ!

 そして、翼が生えてますね。黒に翼。

 はい、出た!!たぶん、あれだ!


 俺は素早く戦闘モードに入る!



「あらあら。その日本刀をしまいなさいね!

 今日は話をしにきただけだから〜。」


 俺は臨戦体制を崩さず、様子を伺っている。



「もう……まあいいわ。そのまま聞きなさい。

 私はグランデスピロ。第七位階悪魔よ。」


「出たな!悪魔め!怨霊退散!」


「もうめちゃくちゃね。

 君と戦うつもりなら、どうせなら強い魔物も一緒に連れてくるでしょ?

 今日は話をしたかったんだけど、無理みたいね。また、明日来るから、頭を冷やしなさい。

 明日はちゃんと話を聞くのよ。いいわね。

 それじゃ、また明日ね。バイバイ。」


 悪魔は瘴気の中に消えていった。




「くー!ビックリした〜!悪魔!出た!」


 なんか、独り言をぶつぶつ言ってる。

 ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ。



 はっ!いかん!心乱されてる!これが悪魔の所業か!恐るべし!

 (いや、違う。悪魔は何もしていない。)


 せっかくの魔物がいない状況を生かせず、消化不良で本日の作業終了!


 ぶつぶつ。なんなの?あの悪魔!



 ◇◇◇◇◇



 ただいま、ルームに戻って休息中です。

 熱いお風呂に入って、くつろぎつつ、今日の出来事をおさらい中。


 悪魔。エロ悪魔。露出。惑わせる。話しにきただけだから。話がある。話。エロい話……。

 違うな。わからん。危険。混ぜるな危険。

 ぶつぶつ、ぶつぶつ。


 無理!無理だー!考えるのやめ!

 お風呂でリラックス。もう何も考えない。


 あー!帰りたーい(泣)

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