第41話 S級国家裏会談
◇◇◇◇◇
松田の持ち帰ったデータの分析が進み、研究所の分析班から、その結果報告があった。
現状でわかったこととして、
地上世界型ダンジョンの内部は、地球と同様に球体になっており、その球体の大きさは、おおよそ地球の10分の1。外周が4000km程度。松田の証言より地球と比較して重力が小さい。
地球と類似した成分構成になっているが、地形は水で覆われた海の部分はかなり少ない。確認できた範囲では、全てが陸続きになっている。
松田が入場した位置は、緯度経度が日本と一致していた。
南方に黒い闇の部分が広がっているが、詳細不明。南方に行くにつれて、魔物の大きさが大きくなっていき、一部の魔物は
「なるほどな。そういうところに行ってたわけだな。まさに別世界だな。」
「そうだろ。すげーぜ。ゴブリンズですら、かなり凶暴になってるからな。やりがいがあるぞ。知らない世界で楽しくってしょうがない。」
「ダンジョンオタクにはピッタリね。ふふふ。」
「このあと、アメリカ合衆国との会談があるから、それに参加してから、行ってくれ!」
「わかった。」
「龍作ちゃんは行きたくてしょうがないのね。本当にオタクだわ。」
「お前たちも行けばわかるぞ。浪漫が溢れてるからな。次は南を攻める予定だ。あれが何なのか?知りたいだろ?」
「そうね。移動が大変だと思うけど、気をつけてね。」
「そんなのはいつものことだ。ははは。」
やっぱり、この人に譲って正解だったね。
こっちも嬉しくなっちゃいます。
◇◇◇◇◇
「改めて、アメリカ合衆国大統領のジョン・ダッシュだ。ダンジョン内のデータは受け取った。感謝する。
こちらからも情報を提供する予定だが、その前に伝えておくことがある。
南半球に広がる
松田が闇と言っていたものを
この内側にいる魔物は、この瘴気を吸って凶暴化状態になるとのこと。ただし、内部を確認したことはなく、内部の様子は未だ不明。
それは、この瘴気の内部に入ると心身ともに制御出来ない状態となるためである。
世界ランキング1位のレベッカ・ロックが一度確認しようとして断念した経緯がある。
この瘴気が広がる範囲が徐々に北に広がっている傾向が見られ、南極にあたるポイントから発生しているのではないかと推測されている。
「ということだ。気をつけろ!
あと、提供できる情報は、我々アメリカ合衆国とフランスのものになる。S級国家も一枚岩ではない。
我々はレッドとブルーという呼び方で分離している。レッドチーム国家からの情報はない。
日本合衆国がブルーチームとなるなら、情報提供しよう。それでいいか?」
「日本国総理大臣のー!宗方銀次郎だ!
もちろん、そのつもりだ。よろしく頼む!」
「ああ、よろしく頼む。
今日は、お互いのS級探索者がいるので、紹介しておこう。レベッカ・ロックだ。」
「ハーイ!レベッカよ。よろしく。」
「マツダだ!よろしく!」
「そこにハヤテもいるのね。私、君に興味があるのよね。ブルーで良かったわ。よろしく。」
「お前、レベッカと知り合いなのか?」
「はい。ちょっと、オーストラリアで。」
「我々アメリカ合衆国もハヤテには興味を持っている。」
「横から失礼。探索大臣の藤堂美咲よ。大統領、颯ちゃんの引き抜きはダメよ。」
「ふふ。わかっている。協力していこう。」
「そうね。よろしく。」
その後、諸々の質疑や相談の後、会談は無事終了した。いろいろ複雑です。
◇◇◇◇◇
次の日、早くも松田は、S級ダンジョン(アメリカ合衆国曰く、裏世界『ハーデス』)に突入していったのであった。よっぽど、気に入ったんだろうな。松田さんがいう浪漫ってやつ。たしかにオタクかもしれん。
また、この日は竜崎宗一郎さんに呼び出されていて、竜崎邸に麗奈さんと一緒に行くことに。特に用件は聞かされてない。
早速、早見さんの運転で竜崎邸に向かう。麗奈さんと堀さんも同乗してます。
遅刻とかしたら、えらいことになりそう。なんで、早めに出発しましたよ。
「麗奈さん。今日の用件って何かお父さんから聞いてます?」
「え?き、聞いてないわよ。」
「そうですか。不安なんですけど。」
「大丈夫よ。悪いことではないわ。」
「そうですか。ならいいんですけど。」
◇◇◇◇◇
程なくして、竜崎邸に到着。
「やっぱり大きいですね。こんな一等地にこれだけの広さは圧巻です。」
「そうね。昔から住んでるからよくわからないけど。たしかにそうかもね。」
今さらながら、麗奈さんは日本の頂点のお嬢様なんだなぁ。こんな人と一緒に住んでるとか、昔だったら想像もつかないだろうな。
あのスキル玉を拾ってから、人生が変わったな。首相や大臣と普通に話してるし、これから、ドラゴングループ創始者と面談だし、本当に感謝です。ふふふ。なんか笑える。
それから、竜崎邸のメイドさんに案内されて、4人で応接室で待つことに。
本物のメイドさん!すごくいい!
昔、一度だけ、秋葉原のメイド喫茶に入りたくて、店の前まで行ったけど、勇気がなくて結局入れなかった苦い思い出がある。
「あら、颯さんはメイドに興味があるの?」
「興味というか、男子の憧れですよ。萌え〜ってやつです。」
「へぇ。そうなのね。意外だわ。じゃあ、今度メイドやってあげるわね。いいこと聞いたわ。ふふふ。」
「いや、麗奈さんにメイドはダメです。怒られますよ。」
「嫌なの?」
「嫌じゃないですけど……。」
「なら、いいじゃない?楽しみだわ。早速、衣装を作らせなきゃね。」
うわー、ノリノリノリ子さんだ。
じゃあ、お言葉に甘えちゃお。
ちょっと、楽しみかも。うほっ!
◇◇◇◇◇
時間になり、ドラゴングループ会長であり、麗奈さんのお父さんである竜崎宗一郎さんが応接室にいらっしゃった。
「うむ、揃ってるな。よく来てくれた。」
なんとも言えない威厳がある。
緊張する〜!さて、何のお話なんでしょうか?
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