第36話 探索省幹部会議〈雑談〉

 ◇◇◇◇◇


 今日、4人は州支社にて打ち合わせがあるらしく、専属担当の4人と朝早くに出かけて行った。

 まあ、たぶん、TV出演や取材の段取りなんだろうけど、特B級を経てA級になった彼女たちにしてみたら、今までの延長線のような感じでしょうね。俺の時とはかなり違う。


 新しい専属担当の人たちも、早見さん一族なだけあって、すでにみんなと打ち解けて、わいわいガヤガヤ、楽しそうです。

 ほんとにリスペクト!

 俺には、真似できません!



「早見さん!そう言えば、竜崎さんの専属担当の堀さんは、同期なんですよね?」


「そうですね。竜崎さんから聞いたんですか?」


「はい。まずかったですか?」


「いえ。全然まずくないですよ。

 千英ちえは、同じ大学の学科卒業、協会にも同期で入社した永遠のライバルってとこでしょうか。大学では、私が首席だったんですけどね。彼女の方が、ちょっと早く専属担当になってるんで、まあ、ジェラシーだったという感じですよ。過去形です。元々、仲は悪くないんですよ。」


「そうだったんですね。相性みたいなものかもしれないですね。堀さんは、竜崎さんに合ってるような気がしますし、俺は早見さんで良かったと思ってますしね。」


「ふふふ。大丈夫ですよ。気を使わなくても。

 私も橘さんで良かったと思ってます。

 それに、最近は、頻繁に千英とは連絡取ってますよ。また、それはお楽しみです。」


「そうなんですか。良かったです。」



「じゃあ、そろそろ行きますか?」


「今日は何なんでしょうね?」


「私も聞いてないです。あの人、要件を伝えずに、突然、呼び出すんで。」


「そうですよね。

 行かないわけには行きませんし。」


「はい、諦めて行きましょう……。」



 ◇◇◇◇◇



 探索省・大臣室にて


 部屋には、藤堂大臣と白石副大臣が。


「颯ちゃん、咲夜ちゃん、ご無沙汰。」


「今日は何の呼び出しですか?」


「ふふふ。たまには、探索省の幹部で集まってお茶でもしようかと思ってね。一応、名目は幹部会議ね。このケーキ美味しいからどーぞ。」


 出たー!この人怖い……。 何があるの?


「あなたたちも副大臣だからね。最近の世界の情勢とかを知っとかないとね。白石。説明してあげて。」


「はい、現在、多くの国で、ダンジョンのモンパレやスタンピードが発生してます。

 特に南半球にその傾向が顕著になってますね。B級ダンジョンからのスタンピードもかなり発生していて、国防軍と探索者協会によって、何とか収束していますが、国民にも被害が出ているようです。」


「ちょっと、今年に入って、どうも活発になっているみたいなのよ。日本はまだそれほどでもないけど、この前の川崎ダンジョンみたいなこともあるしね。もし、B級で発生したら、出動の要請も可能性もあるから、よろしくね。」


「はい、それは大丈夫です。」


「それにね、世界的には、最近、A級でも発生の可能性が騒がれててね。発生する国によっては、大災害に発展する恐れがあるわ。まあ、それは、知っておくだけでいいわ。

 はい、以上で終わりよ。」


「え?情報はありがたいですけど、以上って!

 これで終わりですか?」


「そうよ。終わりよ。次は雑談コーナー。」


 なんなの?怖い。



「そういえば、颯ちゃんの同居人さん。4人もA級になったわね。」


 出たー!こっちが本題か〜?


「はぁ、おかげさまで無事に昇格しまして。」


「それに、最近、竜崎令嬢も例のチート武器装備を使ってるじゃないの。どう言う基準かわからないけど、颯ちゃんの趣味で選んでるの?

 まあ、麗奈ちゃんもあの容姿だもの、わからなくもないけど、節操ないわね。」


「すいません。容姿とかで選んだわけじゃないんです。事故です。事故。」


「颯ちゃん!龍作ちゃんへの借りもあるから、今まで無理には聞かなかったけど、そろそろ、秘密いいかしら?」


「う!ここでっすか?」


「そ。白石は大丈夫よ。口は硬いから。

 もしかして、咲夜ちゃんも知らない?」


「はい、こちらからは聞かないんで、チート武器装備の話以外は知らないです。」


 うーん。この人たちなら大丈夫かな。

 謎の声のことは、俺しか知らないから、それ以外の話をしておこう。


 それから、隠しスキルの内容を話した。

 入手経緯は、桜以外には話してないから、これも伏せて、突然目覚めた設定にアレンジ。


 。。。。。



「なんとも、すごいスキルね。」

「はい、私も聞いたことないですね。」


「ダンジョンで消えたのは、そういうことだったんですね!すごい。」


「これを知ってるのは、あの5人だけなのね?」


「そうです。」


「ちょっと、スキル見せてくれる?」


「はぁ。ルームとストレージなら。」


 ルーム!

 ストレージ!


「はぁ。なんとも、ぶっ飛んでるわね。

 チートの詰め合わせって感じだわ。」


「それって、6人以外はルームに行けないんでしょうか?」


「そう言えば、試したことないですね。」


 というわけで、なぜかわからないが、立候補した早見さんと超密着!

 この人、全然恥ずかしがらないな。

 こっちは、めっちゃ恥ずかしいのに。

 では、ルーム!


「うーん、ダメでした……。」

「まあ、そうだろうね。

 颯ちゃんの役得で終わってしまったわね。」

「ちょっと!役得って!すいません……。」


「まあ、だいたいわかったわ。楽しかったわ。また、言えることがあったら、教えてちょうだいね。颯ちゃん!」


 ドキッ!どういうこと?

 まだ、秘密があると思われてる!怖い。この人。



「そ、そう言えば、松田さん、そろそろ1ヶ月になりますね。」


「そうね。たぶん、1ヶ月で帰ってこないと思ってるけどね。オタクだから。ふふふ。」



 ◇◇◇◇◇



「ただいま〜!って、まだ、誰も帰ってないか。ふう。早見さん、疲れましたね。」


「そうですね。藤堂さんって、心が読めるんじゃないですかね?」


「そうそう!俺も思ってました。怖い。」



「橘さん!最近、私、千英と連絡取ってるって言ってましたよね?」


「うん、堀さんね。」


「ここのみなさん、A級探索者に昇格したんで、近々、拠点を移しますからね。」


「え?そうなの?」


「はい、千代田方面に行きますからね〜。

 引っ越しは、全部任せてください!」


「はぁ。わかったけど、ここは良かったんだけどね。」


「いえいえ、もっといいところですよ。

 期待しておいてくださいね!」


 この人、仕事が早すぎる。

 前世は、止まったら死ぬ回遊魚かも(笑)


 いや〜、俺にはもったいないくらい感謝です。


 どこに行くのかな〜?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る