第37話 宣戦布告!暴走!

 ◇◇◇◇◇


 最近忙しく色んな取材や撮影をこなしている女子4人。もう、引っ張りダコ状態です。


「みなさん!撮影お疲れ様でした!

 突然ですが、お引っ越ししますよ〜!

 今日は、このまま新しいマンションに行っちゃいます!」


「えー!どこどこ?」

「今のところでも全然いいんだけど〜。」


「いえ、みなさんがA級になったので、千代田方面に移りますよ〜!

 ダンジョンが近い方が何かと便利なんで。

 歩ける距離ですからね。ダンちか!

 マンションもグレードアップ!

 言うことなしの物件ですよ。」


「おー!都心じゃん!」

「行く行く。」


「橘さんと咲夜先輩は先に新居に行ってますから!月と紗もみなさんの荷物と一緒に先に行ってます。」


「なんかのドッキリ番組みたいね。ふふふ。」

「すご〜い。楽しみ〜。」


「じゃあ、車に乗ってくださいね!行きますよ!」



 ◇◇◇◇◇



「はーい、着きましたよ〜!」


「ここって、協会の本社じゃないの?」


「そうでーす!新居は、本社併設のタワマンでーす!こちらも国営の施設になりま〜す。」


「わー!すっごい!」

「前より大きいね!」


「じゃあ、中に入りますよ!」


 。。。。。



「あら!また、最上階なんだね!」


「はい、今度も最上階ペントハウスですよ〜!

 今回は2フロアぶち抜きなんで、超広いですから。すごいですよ。1人1部屋になりますからね。」


「へえ!それは、いいわね。ふふふ。」


 。。。。。



「「「「お邪魔しまーす!」」」」


「あら、いらっしゃい。早かったわね。」


「げ!竜崎さん。なんでいるのよ〜?」


「なんでって、ここは、私が元々住んでるからね。ふふふ。」


「えー!夏さん!どういうこと〜!?」



「お!来たな!」


「お兄ちゃん!なんか、よくわからないことになってるよ!」


「はいはいはいです!

 ここからは、私、咲夜チーフから説明いたしましょう!

 ここは、今まで竜崎さんと専属担当の千英が2人で住んでたんですけど、めちゃくちゃ広いじゃないですか!で、今後のことを考えて、千英と計画してたんですよ。

 ここだと、ちょうど、6人の個室がありますし、リビングもダイニングも広い!お風呂はでかいし、さらに千代田ダンジョンも近い!

 私たち、専属担当もこちらの低層階に部屋を借りていただきましたし、州支社も近くて、効率もバッチリ。もちろん、私たちの家賃は橘さん持ちです。

 専属担当も6人体制になったので、堀千英がチーフマネージャー、私、早見咲夜がチーフプロデューサーとしてサポート面も完璧ですよ。

 すでに、竜崎さんと橘さんには、合意頂いておりますですよ!」


 もう、早見さんのドヤ顔!


「えー!竜崎さんと一緒に住むの〜?

 颯くん!合意しちゃったの〜?」


「あ、うん。

 この話は、俺もここに来てから詳しく知ったんだけど、この先、6人で探索していくわけだし、ダンジョンも近くなるし、まあ、ありがたい提案なんで受けました。」


「うーん。そうなんだ〜!

 颯くんがいいなら、まあいっか〜。」


「そうだね。

 颯が決めたんなら、それでいいよ。」


「はい、ありがとうございます!

 では、今日から新体制でお願いしますね!

 各部屋の扉には各自の色マークをつけてありますので、確認しておいてくださいね!」


 。。。。。



「じゃあ、みなさん、よろしくね!

 探索者仲間として仲良くしましょう!」


「竜崎さん。仲良くするのは全然いいんだけど〜、颯くんは、私の初めての人だから、そこんところよろしくね〜!」


「な、なんですって!聞いてないわよ!」


「違う!誤解だ〜!

 朱美!言い方に気をつけてくれ!」


「えー、間違ってないけど〜。」


「朱美さん!颯さんに関しては、私も引くつもりはないですからね!宣戦布告しますわ。」


「ちょっと〜!麗奈さん!」


「竜崎さん!私もいるんだけど!」


「ちょっと〜!静まで!何やってるの?」


「お兄ちゃん……。 もう諦めなよ。」


「そんな〜……。」


 麗奈さんまでどうしたんですか!

 最近ちょっと、落ち着いてたのに。

 なんか、微妙に不安になってきたよ……。


 颯のモテ期到来?



 ◇◇◇◇◇



「颯さん!今日の夕飯は何がいい?」


「麗奈さん。今日は俺が作りますから、逆に何がいいですか?」


「颯さん、料理もできるんですの?」


「まあ、妹と二人暮らしだったんで、どっちかが作るって感じだったんですよ。桜よりは得意ではないですけどね。」


「まあ、素敵!颯さんに手料理がいただけるなんて感激ですわ。なんでも結構ですわ。」


「はい、じゃあ、待っててください。

 早見さん!手伝ってもらっていいですか?」


「はーい!喜んで!」


 リビングには、女子5人が待機中。

 先ほどの件があるので、ちょっと気まずい雰囲気です。


「朱美さん!さっきの話ですけど、颯さんとはその、まだなんですよね?」


「何が〜?」


「何が?って、さっき初めての人とか言ってたでしょ?」


「あ、それね。竜崎さんよりも進んでると思うけどね〜。」


「もう!はっきりしないわね。

 桜さん。お兄さんは、誰とも付き合ってないのよね?どうなの?」


「えーと、そうですね。兄はそういうのが、ちょっと苦手な体質というか。」


「でも、静が1番で、私が2番なんで〜。」


「はぁ。まあいいわ。とにかく、フェアに行きましょ。颯さんが誰を選んでも、恨みっこなしでね。」


「別にいいよ〜。」

「別に大丈夫よ。」



 ◇◇◇◇◇



 その夜、暴走モード発動!

 麗奈さんが、自分だけ一緒にお風呂に入ってないのはフェアじゃない!と言い出す。

 そして、麗奈さん、静、朱美の訳の分からない言い分の応酬の末、本日、俺の風呂に3人が乱入してきている。

 3人とも、なぜか水着なのが、一応の淑女協定というやつらしい。

 なんの折り合いつけてるの?

 ちょっとズレてませんか!


「颯さん!背中流しますから、こっちに来て下さる?」


「大丈夫ですよ。自分でやりますから。」


「来てくださいます!!」


 え?めっちゃ声大きいんですけど。


「はぁ。はい。」


 前を隠しながら、バスタブから上がる。

 いくら、水着とは言えど、目のやり場に困ります。なぜこうなる?

 これは、完全に以前の吊り橋効果だわ。どうしよう!?


 その夜、俺は部屋の鍵をかけて寝た。

 

 ただし、颯の事情に関係なく、この攻防は水面下で続いていく。


 こんな感じで平和な日本の裏で、世界では未曾有の事件が勃発していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る