第32話 修羅場ラバンバ!

 ◇◇◇◇◇


「橘さん!気がついた?」


「あ!竜崎さん!すいません。」


「いいのよ。急に倒れて心配したわ。」


 俺は、キル○ルスーツに身を包んだ竜崎さんに膝枕されていた。


「一体どうしたの?大丈夫なの?」


「急に武器と装備が光って、そしたら気を失っちゃって……。でも、大丈夫です。」


「そうね。良かった。私も着替え終わったら、急に光出したんでビックリしたけど、そういうもんじゃないの?」


「はい、今まではそんなことは、なかったんですけど。」



 気を失って、俺は遠くの方から別の声を聞いていた。その声は、途切れ途切れで、聞き取りにくかったが、間違いなく俺に話しかけていた。あれは、一体誰だったんだろう?



「そうなのね。でも良かったわ。」


「あ!すいません。起きますね。

 それと、確認したいことがあるので、ちょっと待っててください。」


 ステータスオープン!


〈ステータス〉

 橘 颯 25歳 探索者LV94

 生命力:1780

 魔法力:940

 戦闘力:470(+2000)

 防御力:470(+2000)

 瞬発力:470(+2000)

〈スキル〉

 なし

〈隠しスキル〉

 マイ・ダンジョンLV2

  →ルームLV3

  →デイリー〈経験値〉LV1


 やっぱり、ルームのレベルが上がってる!

 それに、武器と装備の効果も2倍になってる。


「竜崎さん!武器と装備の効果が2倍になってませんか?」


「そうなのよ。光った後に確認したから。

 それに、若干、見た目も変化したわね。」


 そう言えば、スーツの外観が若干変わってる。


 あと、ルームLV3の確認もしたいが、これは家に帰ってから、確認しよう。

 そろそろ、引き上げないと。


「それじゃあ、お待たせしました。ダンジョンに戻りましょう。来る時と違って念じれば戻れます。武器装備がチートなんで、竜崎さんが前衛で行ってみてください。」


「うん、そうするわ。すごく楽しみ。ふふふ。」


(なんだか、違う結果になったけど、秘密も共有して、チート武器装備ももらっちゃって、最高じゃないの!橘さんとも、さらに仲良くなれた気がするわ。これは大成功ね。)



 俺たちは、ダンジョンに戻って、引き返すがてら、魔物を狩って行った。


「橘さん!すごいわ!すべて瞬殺だわ!」


「はい、俺の方も2倍になったのを実感してます。凄すぎです。」


「行き詰まってたレベル上げも、これならいけるかも!ふふふ。爽快!これ、もらっちゃっていいの?」


「うん、そうですね。もう、所有権は、竜崎さんなんで、もらってください!

 じゃあ、急いで戻りましょう!」



 ◇◇◇◇◇



 ダンジョンを出て、竜崎さんも一緒に家に来てもらった。

 今日の出来事を4人にも説明するためである。

 なので、早見さん、上杉さん、堀さんには、席を外してもらった。

 リビングには、4対2の構図。

 挨拶もそこそこに本題に。



「みんな、今日、竜崎さんと千代田ダンジョンに行って来たんだけど、ちょっと、ハプニングがありまして。」


「うん。だいたい想像は付くわよ!お兄ちゃん!」


 なんだか、4人の目が怖い……。


「ははは。そうだよね。ちょっとだけ、言い訳を聞いてくれる?」


「そうね。聞いてあげましょうか。」


「竜崎さんが、足を挫いちゃって、おんぶしました。それで、最近ルームに行ってないなあって考えたら、行っちゃってたんです……。」


「それで、竜崎さんが、それを着ているわけね。」


「はい、その通りでございます。」


「はぁ。お兄ちゃんらしいけど、ドジだね。」


「そういうことでして……。 まあ、竜崎さんで良かったかなって思ってるんだけど。竜崎さんにも、このことは秘密にしてもらうことになってるんで大丈夫。」


「はぁ。お兄ちゃん。わかってないね。」


「へ?ダメ?もう、竜崎さんも青色の部屋に入っちゃったし。埋まっちゃったけど……。」


「颯くん!もう!

 竜崎さん!颯くんをどう思ってるの?」


「朱美!ちょっと待って!

 竜崎さんは、あのドラゴングループの創業者のご令嬢だから。」


「当然、知ってるわよ。

 探索者で知らない人いないでしょ?」


 え?知らなかったの俺だけなの?


「で、竜崎さん。どうなの?

 静と私は、颯くんのほぼ彼女みたいなものなんだけど〜。」


「坂本さん。橘さんに彼女はいないって聞いてるけど。」


「今はそうだけど、静と私は、颯くんと一緒にお風呂に入る間柄なのよ。ね?静。」

「うん、まあ、そうね。」


「え?橘さん!そうなの?」


「え、いや。まあ、そういうこともあったかも。ははは……。」


「う。まあ、いいわ。一緒にお風呂に入ったくらい。それで、付き合ってないってことは、何も進展がないってことよね?」


「うう。颯くん!もう付き合おうよ!」


「ちょっと待って!なんでこんな感じになってるの?竜崎さんは、そんなんじゃないから。

 みんな、仲良くお願いします。」


「はぁ。お兄ちゃん……。

 静姉、朱美さん。今日はこれくらいにしとこうよ。お兄ちゃんがこんなんだから。」


「そうね。」

「うん、そうだね。」


「竜崎さん!お兄ちゃんはこんなんだから、苦労しますよ。」


「そうみたいね。」


「ふう。良かった〜。

 もう一つ言うことがあったんだよね。

 どうも、竜崎さんが着替えた時、装備が光ったんだけど、そっちはどうだった?」


「うん、急に光り出して、ちょっと変化したんだよね。」


「やっぱりか。効果も上がってるよね?」


「そうなのよ。全然違う。」


「そうか。これで、だいぶ楽になるな。

 そろそろ、B級をクリアするタイミングかもしれない。みんなで、A級でレベル上げする方がいいかなと思って。」


「うん、わかった。今日も言ってたんだよね。

 もう行けるんじゃないって。」


「そっか。なら、大丈夫そうだな。それまでは、俺は千代田ダンジョンで、竜崎さんのレベル上げを手伝っておくから。」


「「「「え?」」」」


「なんで、そうなるのよ〜!」


「いや、帰りに約束したんで。ただな。これには、訳があるんだ。お前たちも、A級でレベル上げの手伝いするから、早く来てくれ。

 俺もよくわかってはいないんだけど、6人全員でレベルを上げる必要がある。」


「うーん。よくわかんないけど、わかったよ。」

「じゃあ、次でクリアしないとね〜。竜崎さん!抜け駆けしちゃダメだからね〜!」



 たぶん、隠しスキルで揃った6人には、なんらかの意味がある。あの声は、『これで仲間が揃いました。』と言っていた。


 どう言う意味かはまったくわからないが、みんなのレベルを上げておかないと危険だ。本能的にそんな気がした。



 それにしても、朱美と竜崎さんはなんで、こんな感じなんだろ?

 ちゃんと話せばわかるのに……。


(わかってないのはお前だよ!)

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