第30話 特別B級指定

 ◇◇◇◇◇


 アメリカ合衆国・ペンタゴン・探索省にて。


「長官。ジャパンの様子はどうだ?」


「大統領。ミスターマツダがシブヤから入場したようです。まずは1ヶ月の調査になると。」


「そうか。資源より情報を優先したか。奴らも馬鹿じゃないということか。

 奴らの調査結果次第だが、こちらに取り込む準備もしておかないといけないな。

 まあ、帰ってこられればの話だが。

 それにしても、WSFランキング25位のジャパンが、引き当てるとはな。」


「はい、上位のインド、ブラジル、エジプトあたりだと思っていましたので。」


「そうだな。運だけとは考えにくい。

 ミスタータチバナの動向が気になるな。」


「はい、あの成長曲線は異常です。

 何か秘密があることは、間違いないかと。」


「そうだな。ただ、今は様子を見よう。

 引き継ぎ、調査を継続してくれ。」


「承知しました。」



◉WSFランキング(WSF加盟国193カ国)


 RANK1:🇺🇸アメリカ合衆国

 RANK2:🇨🇳中華人民共和国

 RANK3:🇷🇺ロシア連邦

 RANK4:🇮🇳インド共和国

 RANK5:🇫🇷フランス共和国

 RANK6:🇧🇷ブラジル連邦共和国

 RANK7:🇪🇬エジプト・アラブ共和国

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 RANK25:🇯🇵日本合衆国



◉探索者・世界ランキング


 RANK1:レベッカ・ロック(USA)

 RANK2:ハオラン・リー(CHN)

 RANK3:マクス・ロマノフ(RUS)

 RANK4:ソフィ・ヴェルヌ(FRA)

 RANK5:リュウサク・マツダ(JPN)

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 RANK234:ハヤテ・タチバナ(JPN)



 ◇◇◇◇◇



「橘さん!ニュースです!」


「どうしたんですか?」


「静さん、朱美さん、桜さん、若葉さんの4人で探索している動画や写真が、各種SNSでバズってまして、協会に問い合わせや依頼が殺到しているようです。

 それで、私に連絡があって、彼女たちをグループで特B級に変更する決定をしたらしいです。

 詳しくは、みなさんが戻られてから、説明しますけど、新しく専属担当が派遣されます。」


 最近は、4人は横浜ダンジョンでもっぱら、レベル上げのために、ほぼ毎日こもっている。

 頑張り屋さんなのだ。


 片や、俺の方は別行動で、たまに、千代田ダンジョンの日帰りくんをして、目立たないようにのんびり過ごしている。


「なんか、そんな気はしてたんですけどね。

 特B級ってなんですか?」


「はい、滅多に指定しないらしいので、現在はいないんですが、特別B級指定というのが、正式名称らしいです。なんらかの事情で、協会の管理が必要と判断された場合に、A級相当の保護と管理をするために指定するようです。」


「へえ。で、専属担当の方は、ここに来るんですか?」


「はい、来ます。いい子なんで大丈夫ですよ。」


「知ってる方なんですね?」


「そうなんです。今回は私が推薦した子に来てもらえることになったので。私の後輩です。とても優秀なんですよ。」


「それは良かった。やりやすいですもんね。」


「はい。それでですね。その子も私の部屋に一緒に住んでもらおうと思うんですけど、いいですか?」


「はい、もちろんいいですよ。」


「ありがとうございます!」


 ピンポーン!


「あ!早速来ましたね。」



 ◇◇◇◇◇



「はー、ただいま〜!」

「疲れた〜!」

「帰ったよ〜!」

「颯くーん!ハグして〜!」


「おかえり〜!」

「おかえりなさい!」


「初めまして!私、探索者協会から派遣されてきました、上杉 なつと申します。

 よろしくお願いします!」


「夏っちゃんは、私の後輩なんですよ。

 でですね。今日はみなさんに緊急のお知らせがあります。」


「え?何?何?」


「はい!では、ここからは、私、上杉夏が説明させていただきますね!

 みなさん、今日は横浜ダンジョンですよね。

 みなさんのギャラリー多くないですか?」


「そう。もう大変!」

「たしかに。すごくたくさんいるね。」

「最近はサインとかお願いされるんだよ。」

「サインなんかしたことないのに〜。」


「はい!はい!それです!

 協会にも、問い合わせ殺到!大殺到!

 というわけで、なんと!特別B級指定、通称、特B級が復活いたしました!

 そして、桂木静さん、坂本朱美さん、橘桜さん、桂木若葉さんは、グループとして特B級に指定されました。パチパチパチパチ!

 そして、ここからが目玉!なんと!私、上杉夏がグループの専属担当になります!よっ!」


「なんだか、早見さんの後輩って納得した。」

「ノリが同じだね。」


「ありがとうございます!咲夜さんは尊敬する先輩なので、嬉しいです!はい!

 今後は、グループとしての指定なので、団体行動にはなりますが、すべてのマネジメントは私が責任を持って引き受けますので、大船に乗っちゃってくださいね。」


「すごい自信だね。早見さんよりすごいかも?」


「はい!専属担当ですから!」


「それ!」


「みなさん、夏っちゃんをよろしくお願いします。」


「「「「こちらこそ!」」」」


「今後、探索以外のお仕事も入ってきますので、相談させてもらいながら、決めていきましょう!まずは、協会のポスターのモデルのお仕事になります。これは受けましょう!」


「うん、面白そうだね。」

「私もいいよ。」

「モデルだって!」

「みんなでならね。」


「良かった〜!じゃあ、撮影日が決まったら、お知らせしますね。衣装はいつもの探索時のスーツでということですので、お願いします。」


「決めてから、言うのね。そういうところも誰かに似てるね。ふふふ。」


「あと、次の探索からは、私が車で送迎しますので。それと特B級はA級同様の探索者保護が適用されますので、すべて私を通してからということになりますので、ご安心くださいね。」


 この4人にも、マネージャーがついて、

 なんだか、すごいことになりそうな予感。

 レベル上げが疎かにならないように、お願いします!



 ◇◇◇◇◇



「橘さん!竜崎さんから探索同行のお誘いが来てますが、どうしましょう?」


「受けないわけにはいかないですよね?

 まあ、日帰りならということで。

 なるべく、引き延ばしてもらえますか?

 日程はこちらから連絡するということで。

 お手数おかけします。」


「わかりました。粗相にならない、ギリギリを攻めてみます。」


 まあ、いい機会なんで、竜崎さんの戦い方でも見せてもらうか。基本、ソロなんで他の人がどうやってんのかわからないし。

 こういう経験も必要なのかも。

 でも、ちょっと不安……。

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