第29話 お嬢様竜崎麗奈

 ◇◇◇◇◇


「これで、桜と若葉もC級だな!」


「うん、チートすぎて、まだよくわからないけどね。」


「そう、D級って感じがしなかったよね。」


「でも、これで私たちと一緒に探索できるね。」


「そう、私たちも探索再開するからね〜。」


「そうだな。小田原も世田谷も5階層だからな。

 C級からは中級だから、気をつけていけよ!

 まあ、4人いれば、道中は大丈夫か!

 ボスに関しては、静たちが判断してね!」


「そうだね。まだ若葉たちのレベルを見てないから、その辺は確認しつつだね。そういう意味では、私たちも、同じだけどね。

 無理そうだったら、レベル上げをしていく感じかな。」


「ほんと、ボスだけは、逃げる選択肢がないから、道中ノーダメくらいでちょうどいいと思う。それくらい、コンサバでよろしく。」


「うん、そうするよ。私たちも、まだ、どれくらいなのか、わかってないからね!

 コンサバで行くよ。」


「じゃあ、お兄ちゃん!

 今日も外食行っちゃう?

 もちろん、お兄ちゃんの奢りで!」


「いいぞ。C級昇格祝いってことで!」


「やったね!どこにしようかな?」


「あ!なら、ここなんか、オススメですよ!」


「そこって、この前、早見さんが行きたいって言ってたところですよね?」


「バレちゃいました?テヘペロ!」


「うん、いいじゃん。」

「うん、ここにしよ!」


「じゃあ、そこにしよっか!」


「はい、予約入れますね!るんるん!」



 ◇◇◇◇◇



 次の日。


「じゃあ、お兄ちゃん!行って来るね!」


「おー!静!朱美!2人をよろしくね!」


「うん。行ってくる!」

「颯くん、行ってくるね!」


 今日は、竜崎さんが、お越しになるということで、俺だけ留守番してます。

 なぜ、家に来ることに?いえ、それは竜崎さんのリクエストですから。断れません。



 ◇◇◇◇◇



 竜崎さん、松崎さん、堀さんが、お越しになられました。粗相のないように。


「粗茶でございます。」


「さすが、いいところに住んでるわね!」


「滅相もございません。」


「なんなの。そのしゃべり方は?」


「いつもの通りでございます。」


「なんか、違和感があるんだけど。」


「お嬢様!今日はお礼に伺ったので。」


「そうだったわね。橘さん!この前は、危ないところを助けてもらって、助かったわ。」


「いえ、ただの通りすがりでございます。」


「もう!普通にしゃべりなさいよ!」


「すいません……。 そうですね。」


「そうよ。でね。これを受け取って!ほんの気持ちよ!ふふふ。」


 お嬢様のドヤ顔です。


「はい、これは何ですか?」


「そこに書いてある通りよ!

 結構、悩んだのよね。いろいろ調べたんだけど、橘さん、スキルはダメでしょ?

 装備もなんか違うしね。もう、すごく異次元だから。あと、お金も持ってるみたいだし。

 それでね。まあ、ちょっといい感じにそれになったってわけよ。」


「はい、使うタイミングがあるかは、わかりませんが、ありがとうございます!大切にします!」


「使いなさいよ!いつでもいいのよ。それくらい、感謝してるってこと。」


「はぁ。そうですか。でも、いいですよね。肩たたき券って、懐かしい感じがします。」


「え?ちょっと、それ見せて!」


『肩たたき券』


「ちょっと、それ返しなさい!」


「え?」


「間違えたわ。

 これ、母の日に準備してたやつ。

 もう!やり直しよ!こっちよ!」


「あ!こっちですか。」


『なんでも願いを叶えちゃう券』


「そうよ。肩たたき券をあなたにあげるわけないでしょ!恥ずかしい……。」


「母の日に肩たたき券渡すんですか?」


「そうよ。今、あれでしょ。いい歳して、肩たたき券って何?とか思ったでしょ!

 うちはね、大抵のものは持ってるのよ。だから、逆にこういうレトロなプレゼントが喜ばれるのよ。逆になの!」


「お嬢様。橘さんは、何も仰ってないですから。」


「そ、そうね。墓穴を掘ったわ。

 でね。願いはなんでもいいのよ。まあ、できる範囲でだけど、なんとかするわ。感謝の気持ちよ。どう?気に入った?」


「はい、嬉しいです。竜崎さんって、失礼かもしれないですけど、純粋な方なんですね。」


「そ、そ、そうよ。惚れちゃったの?

 もし、あなたが、その『なんでも願いを叶えちゃう券』で、私と結婚したい!っていうのなら、検討してあげなくもないわね。」


「お嬢様!橘さんは、そこまで仰ってないですから。」


「そ、そうね。墓穴を掘ったわ。」


「お気持ち受け取りました。

 ありがとうございます。大切にします。」


「そう。なら、良かったわ。

 じゃあ、まずは、友達登録しましょう。」


「え?ライムですか?」


「そうよ。スマホ出しなさい。」


「はぁ。」


「嫌なの⁉︎」


「いえ!ぜひ、お願いします!」


 登録♪登録♪登録♪ジャカジャカ♪


「あと、ここに同居している妹さん以外の方との関係は?」


 なんで、そこまで知ってるねん?


「同級生が2人と妹の親友です。

 ちょっと、複雑な事情がありまして。」


「彼女なの?」


「いえいえ、全然、そんなのじゃないですから!」


「ふむふむ、そうなのね。わかったわ。

 それじゃあ、橘さん、早見さん、ランチのお店を予約していますので、行きましょうか。」


 早見さんが目で合図している。


「はい!喜んで!」



 ランチ美味しゅうございました。

 さすが、竜崎さんの予約したお店でした。

 でも、すごく、気を使います。

 帰ってきて、ぐったり。



「橘さん。たぶん、ロックオンされてます。

 諦めてください。」


 えー!どういうこと?



 ◇◇◇◇◇



「お兄ちゃん!ただいま〜……。」

「ただいま〜……。」


「え?なぜ、どよーんとしてるの?」


「ごめんなさい。私たちのせいなの。」

「颯くーん。疲れた〜!」


「え?何があった?」


「12階までは、普通に余裕だったんだよ。」

「でも、13階からオークが出て来て、お姉ちゃんと朱美さんが、固まっちゃって。」


「あ!トラウマか?しまった!ごめん。

 でも、無事で良かった。」


「だから、ずっとね、私と若葉で狩ってたんだけど、なんか、静姉が急に『駆逐してやるー』って叫びながら、狩り出したんだよ。」


「うん、そしたら、朱美さんも同じように、『駆逐してやるー』って叫びながら、狩り出しちゃって……。

 16階まで、狩り尽くしたんじゃないかってくらい、ずっとオーク狩りだったんだよ。

 もう、暴走モード突入って感じで。」


「すごかったよ!

 たぶん、あれを地ならしって言うんだよ。」



「で、トラウマは、解消されたってこと?」


「うん、たぶんもう大丈夫だと思う。」

「うん、逆に見つけたら殲滅!」



「でね。ボスも討伐しちゃって帰ってきたってわけです。すごく疲れた。」


「え?すごいじゃん。それじゃ、みんな?」


「「「「そう、B級に昇格しました!」」」」


 パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!


「うおー!やったな!」


 たしかに、俺たちのチート武器と装備って、戦闘力、防御力、瞬発力のみだったら、たぶんトップランカーを超えてるはず。まあ、そうなるか。


 これって、俺以上に目立っちゃうんじゃない?やっぱり、進撃のキル○ルズ?

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