第25話 S級探索者誕生!

 ◇◇◇◇◇


 番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。



 昨日、新しくS級探索者が誕生いたしました。

 世界で5人目のS級探索者となりました。


 先程、首相官邸にて、宗方むなかた総理大臣による緊急記者会見がありました。



 現地より中継で伝えていただきます。



 はい!こちら中継先です。

 先程、緊急記者会見が終わり、会見場は、ざわめきに包まれています。



 宗方総理から発表された内容として、


 この度、松田 龍作 防衛省・探索局局長が、新しくS級探索者として登録されたこと。

 そして、松田氏が、探索者に専念するため、探索局局長を辞任することが伝えられました。


 また、今回のS級探索者の誕生により、日本国が世界探索連盟本部の承認を経て、S級国家として昇格する見込みであることも発表がありました。


 これにより、防衛省・探索局は探索省として新たに新設され、初代探索大臣には、元探索局局次長兼局長秘書の藤堂 美咲氏が、副大臣には、同じく探索局局長秘書の白石 茉莉花まりか氏が就任する予定とのことです。


 以上、現地からお伝えいたしました。



 はい、非常に衝撃のニュースでした。

 さらに詳細については、後ほど特番を組んで、放送する予定です。


 S級国家としての発展に期待しましょう。


 これで、臨時ニュースを終わります。



 ◇◇◇◇◇



 記者会見の前日に時を戻そう。


 颯は、緊急の呼び出しを受けて、首相官邸に来ていた。


「橘 颯です!お呼びに従い、参上つかまつりまし、ました!」


 わー。噛んでしまった。

 首相官邸とか、もう吐きそう……。


「橘君!来てくれてありがとー!

 私がー!総理大臣!宗方銀次郎であーる!

 まあ、リーラックスしてくれよ!ははは!」


「こんなので、よく首相が務まるよなぁ。

 橘!緊張することないぞ!

 こいつは今は首相をやってるが、元探索者で俺の同期みたいなもんだ。探索者の頃は一緒にバカばっかやってたやつだ。」


「ははは。そうだな。いい思い出だ!」


「早く本題に入りなさいよ。銀ちゃん!」


 藤堂さんは、首相のことを銀ちゃんと呼べる間柄なのか?よくわからない立ち位置だ。


「ははは。美咲は、相変わらず、手厳しいな!

 それじゃあ!本題に移ろーか!」


 いちいち、声がでかいんですけど!

 ボリューム絞って欲しい……。



「松田と美咲から話は聞いている!

 よくやってくれた!感動した!

 これで、我が国もS級国家の仲間入りだ!

 そして、5番目のS級国家の代表!総理大臣がー!この宗方銀次郎であーる!ははは!


 橘君!我が国の発展のために、ぜひ!ぜひ!早めにS級探索者となってー!頑張ってくれよ!

 大いに期待しているぞ!

 君の待遇も期待しておいてくれ!満足するものを準備するからな!

 緊急記者会見が楽しみだぞ!日本国民が度肝を抜く姿が目に浮かぶわー!ははは!」


 確かに、ちょっと変わった感じの首相かも。



「あの〜、そのことなんですけど……。

 いろいろ、よく考えて出した答えです。

 松田さんに覚醒玉を譲ろうと思います。」



「「「え?」」」



「颯ちゃん。もう一度言ってくれる?」



「松田さんに覚醒玉を譲ります。」



「え?マジか?本当にいいのか?」


「はい。松田さんなら。」




「うおーーーー!俺は猛烈に感動している!

 橘!ありがとう!!ありがとう!!

 なんて日だ!なんて日なんだ!」


 この人、笑いながら、号泣してる。


「颯ちゃん。ほんとにいいのね?」



「はい。」



「そーか!これはめでたいな!松田!良かったな!この銀次郎も猛烈にー!感動している!」


 この人も笑いながら、号泣してる。



 藤堂さんもそうか。こういうのいいな。


 こんなに喜んでくれて、こっちも嬉しいよ。


「橘!俺にできることはなんでもする。これは男の約束だ!うおーーーー!」


「そうだな!橘君!君への対価は、日本国として相当のものを準備しよう!これは、日本の代表としての約束だ!うおーーーー!」


「ふふふ。昔を思い出すわね。」



 うん。これで良かったんだ!


 俺は、この決断が間違いでないと改めて、そう思った。


 なぜか、俺も笑いながら、涙が溢れてた。



 ◇◇◇◇◇



「桜蘭高等学校 第88期卒業生代表!橘 桜!」


「はい!」



 首相官邸での緊急記者会見の1週間後。

 俺は、専属担当の早見さんに同行してもらい、桜の卒業式に参加している。

 というか、早見さんが勝手について来ただけだったのだが、確かに来てもらって良かった。


 静と朱美も、来ているが離れた場所で、若葉の保護者として参加していた。


 なぜなら、俺は、桜蘭高校初のA級探索者として、一般席とは離れたVIP席を準備されて、そこから見ているのだが、逆に恥ずかしいわ!

 めっちゃ、写真撮られてるし……。


「桜さんと若葉さんも、もう卒業ですね。」


「ああ、やっぱり、嬉しいもんですね。

 兄妹2人で、頑張ってきたんで。」


「そうですよね。うんうん。」


 。。。。。



「それにしても、あれで良かったんですか?」


「ん?覚醒玉のこと?」


「そうですよ。本当は、橘さんがS級探索者になってるはずだったんですから。」


「そうだよね。

 でも、今でもいい決断だったと思ってるよ。

 これ以上、目立ちたくなかったってのもあるんだけど、よく考えたら、今の状況って、すごく充分というか、出来過ぎなんだよね。

 知ってると思うけど、俺って底辺だったじゃん。それを思うと、もう今って、お腹いっぱいなんだよね。

 それに、松田さんの方がふさわしいよ。

 首相と藤堂さんも喜んでたしね。」


「そうですね。いいと思います。そういうところも素敵です。この先もずっと専属マネージャーとしてサポートさせてもらいますよ。できるマネージャーでよかったでしょ!」


「うん、ありがとう!これからもよろしく!」



 ◇◇◇◇◇



 〜 Season1:底辺成り上がり編 完 〜



 ◇◇◇◇◇



 ここまで、読んでくださって本当にありがとうございます!


 また、みなさまから予想以上にたくさんの☆☆☆やフォローをいただけて、モチベーションが激上がりです!

 本当にありがとうございました!


 コメントくださった方には、本当に感謝です。

 また、設定面で不快にさせていろいろすいません。

 返信はしていませんが、指摘も含めて、やっぱり、すごく嬉しいものですね。ありがたいです。


 このあと、新しい展開で『Season2』に突入します!

 この先も、主人公の橘 颯を中心に物語は進んでいきます。

 果たして、第5のS級国家である日本合衆国は、世界で成り上がっていくことは出来るのか?


 これからも読んでいただけると幸せです。

 よろしくお願いします‼️

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る