第23話 千代田ダンジョン②
◇◇◇◇◇
今日は昼からだったことと、1階層にかかる時間がさらに延びたため、地下73階で終了。
もうちょっと、がんばれば行けそうだけど、このまま、ボス部屋はヤバい。
無理せず、ここでルーム!
「風呂!今日はちょっとぬるめで長めに入っちゃう。最高だ〜!とろける〜!」
やっぱり、1人でのんびり〜!グー!
「次飯!またまた冷食!まぜそば!間違いないクオリティ!昼はたこ焼き!毎度おおきに!」
今日も、日が変わったらデイリーやって、明日は早起き!目覚ましセット!ボスまで一直線!おー!
◇◇◇◇◇
「早見さん!」
「あ!局次長。お疲れ様です。」
「今日は、彼はどこまで?」
「地下73階で消えました。たぶん、そこで休憩しているのではないかと思います。」
「そう。明日にはボス部屋に到達するわね。」
「そうですね。A級ダンジョンが3日で。局次長の記録を超えますね。」
「そうね。比較にならないけどね。
彼のことで何かあったら、私に連絡してね。誰にも言ってはダメよ。」
「はい、もちろんです。」
「じゃあ、よろしくね。」
◇◇◇◇◇
「お嬢様。ここまで来れば、一安心でございます。今回は、少し危なかったです。申し訳ございません。」
「いいえ、松崎は悪くないわ。それにしても、すごかったわね。あの強さはちょっと見たことないわ。」
「そうでございますね。藤堂様の上を行くかと。いえ、そのレベルを遥かに超えていますね。」
「そうね。同感よ。松崎!帰ったら、彼のことを詳しく調べてちょうだい。」
「かしこまりました。」
◇◇◇◇◇
地下81階。ボス部屋到達!
「やっぱり、俺ってチートだよね。」
ここまで、ほぼノーダメージで来ている。
「ほんじゃ、メインイベント行きますか!」
扉が閉まって、魔物が現れる。
地獄の番犬 ケルベロス。
3つの首から、ブレス攻撃があるらしい。
でも、紅いぞ!上位種じゃないの?
聞いてないよ〜!
「わー!」
ケルベロスの威圧で颯の体が吹っ飛ぶ。
「今までのようにはいかないってことね。」
ケルベロスが、瞬間で間を詰めて、凶暴な爪で攻撃しようとしている。それを間一髪避けて、カウンターの連続攻撃!
「はい!1つ目!」
間髪入れずに、近距離でブレス攻撃!
避けたつもりが、髪の毛が焦げた。
おー、ブレスは避け方を注意しなきゃ。
いちいち、動きが速い。休む暇なし。
颯も壁を使って、うまく避けてるが、たまにくるブレスに距離感を掴めなくなってきた。
「ちょっとは休憩してよー!」
こういうとき、スキルなしはきつい。
颯の場合、ガチンコ勝負しかできないので、小細工なしのまさに真剣勝負。
なるほど、これが俺の弱点か。
って考えてる場合じゃないよ!
怒涛の攻撃を躱しながら、徐々にケルベロスにダメージを与えていく。が、あと、2つの首を取らないとこいつは倒れない。
「はぁ。はぁ。体力が持つかな……。」
ようやく、ケルベロスの右前足のダメージが蓄積し、動きが若干鈍くなった。
「あー、やっとだわ。」
ケルベロスは、動きが遅くなった分、ブレスを多用してきている。
もう、こっちも体力的に限界が近いんだけど〜!
「とりあえず、右前足をいっとくか。」
攻撃を右前足に集中して、ついに足1本を胴体から切り離す。
バランスを崩した瞬間、颯の連続攻撃!
「はい!2つ目!」
ここまで来れば、ずっと俺のターン!
怒涛の連続攻撃!
「はい!3つ目!」
バサッ!ドカーン!
「やったー!ケルベロス狩ったどー!
めっちゃ疲れた〜!やっば〜!」
見た目以上に紙一重の勝負だったな。
体力が切れてたら、間違いなくやられてた。
ケルベロスの身体が消えていくと、大きな魔心と共に、ドロップアイテムが!ナニコレ?
スキル玉に似ている。
でも超でかい。野球ボールくらいはある。
スキル玉は色の違いはあれど、大きさはピンポン球くらいなので、明らかに大きさが違う。
その野球ボールを右手で掴む。
ずっしり重い!
〈覚醒玉〉
効果:第二覚醒
所有者:橘 颯
もうわからん。これ聞いたことないやつ。
とにかく、帰って調べよ。
デカ魔心も拾ってから、ボス部屋を出た。
◇◇◇◇◇
州支社A級探索者専用ルームにて。
「橘さん。とにかくお疲れ様でした。無事で良かったです。どうでしたか?」
「最後のボスはやっぱり強かったです。」
「でも、ほぼ無傷で帰ってくるなんて、優秀というか。異常ですよ。」
コンコン!
「入ってます!」
ガチャ!
「あ!局次長!」
「早見さん!そこは、どーぞでしょう!来るといっておいたのだから。」
「そうでした。でへぺろ!
橘さん、局次長も話を聞きたいということで、同席すると言われてたんでした。
伝え忘れてすいません。」
「全然、いいですよ。ちょっと聞きたいこともあったので、ちょうど良かったです。」
「その前に、今回の魔心をマジックトレイに置いてもらえますか?精算してしまいますので。」
ザラザラザラザラ!
コロコロコロコロ!
ゴロン!
マジックトレイが、買取金額を表示する。
「はい、買取金額は……。 え?
305,580,000円?3億〜⁉︎
ちょっと、待ってください。
この大きいのを除いて。
5,580,000円。これは普通ですね。
ということは、これが3億?
たしかに見たことない大きさですね。
局次長はこの大きさは見たことありますか?」
「ないわね。初めて見たわ。」
「とりあえず、これはちょっと保留でいいですか?そのほかで精算してしまいます!
口座に振り込みますので、右手をIDセンサーに乗せてください。」
カチャカチャ
「はい、とりあえず、完了しました。
それで、これって、ボスの魔心ですよね?」
「うん、そう。
でも、たぶん上位種なんじゃないかな?」
「上位種?」
「はい、ボスはケルベロスだったんですけど、全身が紅い種類だったんです。」
「え?レッドケルベロス?倒したの?」
「はい、時間はかかりましたけど、なんとか倒しましたよ。」
「そうなの!ほんと君ヤバいわね。
目撃例は公表されてないのよ。
私も、あくまで、資料上で知っているだけ。
私たちにとっては、未知の魔物よ。
だから、この大きさなのね。
まったく、呆れるわね。
まあ、いいわ。ちょっと調べてみるわね。
それと、なんか、さっき、聞きたいことがあるって言ってたかしら?」
「はい、実はこれなんですけど。」
「なんなの。このデカいスキル玉は?」
「あ、いえ。覚醒玉ですよ。」
「え?触ってもいいかしら?」
「はい、所有者登録はしているので、どーぞ。」
!!!!!
「あなたたち2人、それ持って、私について来て!!」
「あの〜、どちらに?」
「いいから、ついて来なさい!!」
訳もわからず、早見さんと2人、藤堂さんについて行くことに。
行き先だけ教えてくれ〜!
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