第11話 川崎ダンジョン②

 ◇◇◇◇◇


 ついに見つけたぞ!

 結構かかったけど、良かった。


「静!朱美!」


「颯!」「颯くーん!」


 2人とも、すでにボロボロになって、ほぼ全裸の状態で担がれてる。体は動かないみたいだけど、意識はハッキリしてるみたい。

 逆に言えば、相当怖かっただろう。泣きすぎたのか、相当、目が腫れている。


 くそー、めっちゃ腹が立ってきた!


「このやろー!」


 パシュ!


「颯!」


 落ちそうになった静を抱きしめる。

 ほぼ全裸の静を抱きしめる。


「あん♡」


 なんて声出すの〜!あっか〜ん!


 ちょっと待て!状況を考えろよ!俺!

 なぜ、俺の剣が総立ちでスタンディングオベーションしている!?全米が泣いた?


 バレたらまずいが、この状態では、戦えん。


 ルーム!


「静!あとで説明するから、とにかくここで待っててくれ!」


「。。。あ!うん、わかった♡」



 すぐさま、元のダンジョンに戻る。



「あ゛ーーん、颯くーん!どこ行ってたのよ〜!わーーーん!」


「悪い!待たせた!」


 パシュシュシュシュ!


 パシュ!


 落ちそうになった朱美を抱きしめる。

 ほぼ全裸の朱美を抱きしめる。


「あーん♡」


 お前もか〜!あっか〜ん!


 これは、すんごいボリュームだ。

 そう、これは仕方がない。

 次回作も総立ちでスタンディングオベーションしている!?全世界が泣いた?


 とにかく、ルーム!


「2人とも、生きてて良かった。」


「え?ここどこ?」


「だよね。2人とも、これから言うことは、絶対秘密だ!ここは、俺の隠しスキルのルームだ。

 詳しいことは、また話すけど、これを知られると俺がまずい。今回は2人のことを優先して、ここに連れてきたけど、本当は知られたくないことなんだ。だから、2人とも秘密にしておいてほしい。」


「颯!助けてくれてありがとう!もちろん秘密は守るよ。命の恩人だもん。」


「颯くーん!私も秘密は守るよ!もう、颯くんの言うことはなんでも聞きます。なんでもします。初めては颯くんに捧げます。」


 え、朱美って初めてなんだ。意外って言ったら、怒られるか。


「そっか。ありがとう。連れて来て良かった。」


「あれ?私の告白は無視?」


「あー、嬉しいよ。気持ちだけもらっとく。」


「いやです。私の初めては颯くんに決めたから。」


「ははは。それじゃ、機会があればね。」


「ウソ!颯!そんなのダメじゃない!

 朱美!そんなこと……。」


「わかってるよ。でも、本心だもん。だから、静の次でいいよ。」


「わ、わ、私は、そういうのは……。」


 ここまでのやり取り。

 普通に話してるけど、ずーっと、2人ともほぼ全裸なんだよね!

 冷静を装ってるけど、もう爆発しそうなんですけどー!


「まあ、2人とも、これ飲んで。

 今日はめっちゃ狩ったから、ちょうどヒールポーションをドロップしたのを拾えたんだ。

 1本しかないから、半分ずつ飲んでね。ちょっとは動けるようになるといいけど。」


「うん、動ける。」

「うん、私も。」


「良かった。じゃ、お風呂もあるから、入ってきて!そこにバスローブみたいなのがあったから、使っていいよ。キッチンも自由に使っていいから。

 俺は、残りの魔物を狩ってくるから、ここで待ってて!絶対に出ちゃダメだよ。わかった!」


「「はーい♡」」



 ◇◇◇◇◇



 地下2階入り口付近。


「佐久間さん!無事でしたか。」


「あ、藤堂局次長!お疲れ様です。

 はい、すでに鎮静化してます。

 残念ながら死者は多数出ましたが、生存者は、すでに、私以外全員、脱出しました。」


「そうですか。佐久間さんがいてくれて良かったです。こちらには、A級探索者が応援に来たんですか?」


「いえ、まだ来てません。要請してくれたんですね。ありがとうございます。

 でも、今回は不要だったようですね。」


「では、討伐は佐久間さんが?」


「いえいえ、私じゃ、食い止めるのがやっとでしたよ。

 突然やってきた、全身黄色の日本刀を持った青年が、ほとんど狩っていってくれました。すべて一撃瞬殺なんで、びっくりしましたよ!

 彼は何者なんですか?」


「そうですか。彼がここにいたんですね。

 混合オークを瞬殺ですか……。

 彼はどこに?」


「はい、知り合いの女性が攫われたようで、

 連れ去られたことを伝えると、単身で奥に突っ込んで行きました。

 それからは、オークもほとんど来なくなって、助かったと思いましたよ。」


「わかりました。では、こちらで待ちましょう。お疲れのところ、申し訳ないのですが、佐久間さんも残っていただいてよろしいですか?」


「もちろんですよ。私も彼には会って礼を言いたいですからね。」


「白石!」


「はい!」


「私はここに残るので、事態が鎮静化したことを局長に報告してくれ!それと探索者の応援要請も解除しておいてくれ!」


「はい!承知しました。では。」



〈彼は何者なんですか?〉

 それは私が知りたいわ。

 一体、何者なの?



 ◇◇◇◇◇



 ふー、これでだいたい狩り終わったと思う。

 瞬殺だから、余裕だけど、ちょっと多すぎない?お陰でレベル上がったけど、あんだけ狩って、1しか上がらないって、そりゃ、普通だと、ほとんど上がらないよね。



 ルーム!


「あ!颯、お疲れ様でした!」


「颯くーん!お疲れ様でした!肩揉む?」


「いや、だいじょぶです。」


「終わったの?」


「うん、たぶん、全部狩ったと思うよ。」


「颯くーん!やっぱり、カッコいい!」


「ふふふ。頑張っちゃったよ!」


「そうだね。改めてありがとうございました。

 もうダメかと諦めてたら、来てくれて。

 嬉しかった。」


「うん、ありがとうございました。

 私も今回は諦めてたんだよ。

 短い人生だったなぁって。

 もう、舌を噛む寸前だった。

 だから、颯くんに運命感じちゃった。」


「どういたしまして!

 俺も、2人が生きててくれて、嬉しかった。

 それじゃ、もう、このダンジョンを出て行くからね。

 その格好で申し訳ないけど、また、呼びにくるから、その時はルームから出てもらうから。」


「そうだね。突然、ダンジョン外にいたら、おかしいもんね。」


「わかった。このバスローブだったら、外に出てもいいよ。結構厚手でロングタイプだから、硬く締めとけば、大丈夫。」


「ありがとう。このルームのことは、今度説明するから。それじゃ、あとで。」



 俺は、ルームを出て、地下2階の出口に向かって、進んでいった。



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