第9話 ルームLV2って何?

 そのあと、桜に見せるために、ルームに行って、すぐに帰ってきた。


「わ!消えて現れた。ほんとだ。これって、なんか、別の部屋に行ってたんだよね?」


「うん、そう。めっちゃ豪華な部屋。」


「わー、いいな。私も行きたいなぁ。」


「それは無理。」


「おい!君は、やりもしないで、できないと決めつけてしまうのか?それでいいのか?」


「お前、何、上司みたいな事言ってんの!」


「えーー。それじゃ、1回だけ、手を繋いで行ってみてよ。お願い!」


「いいよ。それじゃ、手を繋いで!ルーム!」



 やっぱり、俺だけ、ルームに。で、戻る。



「ほらー、無理じゃん。」


「ムーーー、それじゃ、これで!本当に最後だから!ね!お願い!お兄ちゃん♡」


 桜が俺に抱きついている。ものすごい密着度!妹よ。成長したな。このやろう!

 さらに、ほっぺにキスまでしやがって。このやろう!


「わかったよ。これで絶対、最後だからな!ルーム!」



「「え?」」


「お兄ちゃん!行けたよ!ほらー!できたじゃん!やったー♪

 それにしても、すごい部屋だね!ちょっと、いろいろ見せてね!」


 わーすご〜い。これもすご〜い。と、はしゃいでいる桜。見ていて楽しい。


 ルーム。行けてしまってるやん!

 なんて融通の効くスキルなんでしょう?

 至れり尽くせりですわ。ほんまに。


 桜が飽きるまで、ソファでくつろいでおこう。ゴロゴロ〜。ゴロゴロ〜。


 む!リビングから、俺の装備一式のマネキンが消えてる!えーーーー!うっそーん!


 ショック!ぱない!


 いや、違うぞ。ここの上に2階が出来てる。

 ここから登れそうだぞ!



 その前に、ステータスオープン!


〈ステータス〉

 橘 颯 25歳 探索者LV60

 生命力:850

 魔法力:600

 戦闘力:300

 防御力:300

 瞬発力:300

〈スキル〉

 なし

〈隠しスキル〉

 マイ・ダンジョンLV2

  →ルームLV2

  →デイリー〈経験値〉LV1


 やっぱり、ルームのレベルが上がってるぞ!



「桜!新しく、2階が出来たみたいなんで、見てくるよ!」


「そうなの?私も行くよ!」


 リビングとダイニングの中間くらいで、登るイメージをすると、エアーエレベーター(見えないエレベーター)で2階に到着した。


「へー、個室が6部屋あるね!」


「うん、たぶん、この黄色マークの部屋が俺の部屋だと思う。」


 カチャ!


「おー!あった!俺の装備一式!良かった〜!」


「あっ!これ、メツベで見たことある。ちょっと……。 カッコいいね(笑)」


「いやいや、見た目はそうなんだけど、性能がすごいんだよ。右手で触ってみ!わかるから!」


「え?何これ?チートじゃん!こんなにすごかったんだ。」


「だろ!これがあったから、結構余裕で行けてたんだよね。」


 俺の部屋は確認できた。

 他の5部屋は何?客室?


「お兄ちゃん!私の部屋、ピンク色だ!」


「そうなの?たしかにそんな気がしてきた。」


「入っていい?」


「どーぞどーぞ!」


 カチャ!


「わー、全く同じ部屋だ。ちゃんとマネキンもいるね!」


「たぶん、所有者が決まってないと思うから、桜が触って確認してみて。」


「うん、ありがとう!楽しみ〜!」



〈ピンクトラックスーツ〉

 種別:防具

 効果:防御力+1000

 所有者:橘 桜


〈タイガーシューズ〉

 種別:靴

 効果:瞬発力+1000

 所有者:橘 桜


陸奥守吉行むつのかみよしゆき

 種別:武器

 効果:戦闘力+1000

 所有者:橘 桜



「わー、やったー!私もチートだ!お兄ちゃん!だいすき♡ムギュ!」


 妹よ。成長したな。


「探索に行くときは、これに着替えるんだぞ。」


「うん、わかったよ。楽しみだね!」


「他の部屋も見てみるか?」


「うん、そうしよう。」


 一旦部屋を出て、他の部屋を確認するが。


「あれ?他の部屋は開かないね!」


「たしかに。ということは……。 どういうこと?」


「あと4人誘えるってことかなぁ?」


「そうとも取れるな。でも、これは誰にも言えないから、もう増えないと思うけど。」


「そうだね。お兄ちゃんの信用できる人じゃないとね。静姉しずねえとか。」


「なぜ、静が出てくる?」


「お似合いだよ〜。」


「ちょっと、何言ってるかわからん。」


「まあ、いいよ。秘密だね。」


「あー、秘密だぞ!」


 それから、桜が気の済むまでルームを堪能してから、元の部屋に戻った。


 あと4人ね。なんか意味あるのかな?

 たしかに、一番候補なのは、静なのかなぁ?

 でもねえ……。


 このスキル自体、謎が多い。

 未だに落とした人が何も言って来ていないし、そういうニュースも出てない。


 まあ、そのときに考えよう!

 今は、このスキルを使って、強くなる!

 そうすれば、何かがわかるかも!

 うん、そうしよう!



 ◇◇◇◇◇



 防衛省・探索局の局長室にて。


「局長!最近、C級に上がったもので、異常な成長をしているものが確認されました。」


「異常とは?」


「ここ1ヶ月でレベルが、50以上上がっております。」


「何か上位スキルを獲得したのか?」


「いえ、過去も含め、未だにスキルなしです。」


「ほう、それは異常だな。どこの管轄だ。」


「はい、東日本・川崎支部です。」


「何か、問題は?」


「いえ、今のところはありません。」


「そうか。わかった。管轄に連絡して、常に情報を上げるようにしろ!ただし、まだ接触はするな!」


「はい、承知いたしました!失礼します!」



 ふふ、そうか……。

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