第二章 賢者は精霊と共に

間幕 賢者の書(一)

 記念すべき一ページ目、とりあえずこの世界のことをまとめようと思う。

 前の賢者である月斗さんはほとんど日記みたいになってたし、多分私もそんな感じになるかな。まとめのページと日記のページが混在するかも。こういうときリングノートがあれば便利なのにって思う。そんなものこの世界にないけど。



 この世界と元の世界の共通点

 ・季節

 ・月の満ち欠け

 ・月日や時間の数え方とその流れ

 ・植物 ←似ているだけのものもあれば全く同じものもある


 この世界と元の世界の相違点

 ・魔法が世界に溢れてる

 ・国が五つしかない

 ・人間も少し魔力を持っている

 ・ネットとか電気がない

 ・月守と戦う

 ・私が太陽の賢者で瑠輝が月の賢者

 ・魔法使い、魔法生物、月守、妖精、精霊(人間と動物以外の生物)



 共通点のわりに相違点ありすぎでは?

 まだまだわからないことしかないが、とりあえず頑張るしかないし、頑張ろう。

 魔法使いのことも書いておかないとね。これから少しずつ賢者の魔法使いたちにインタビューしてまとめていくつもりだけど、その前に魔法使いのことをまとめたい。



 魔法使いとは

 ・人間から生まれる突然変異みたいな存在 ←魔力が高い状態で生まれてくると魔

  法使いと呼ばれる(赤ちゃんの時から魔法を使える人のこと?)

 ・今では魔法使いの出生率は1%もないらしい

 ・人間よりもはるかに長寿(魔法舎一長生きのルイは二千年以上)

 ・魔力が一番高い時に肉体の成長が止まる

 ・魔法使いの寿命は魔力の寿命を指す←魔力が弱まったり体からなくなれば死んで

  しまう(魔法を使うことによる魔力の減少では死なないらしい)

 ・使った魔力は休めば戻る←戻るのは魔法を使ったときの魔力

 ・魔力のピークと寿命の長さは個人差がある

 ・自分の死期を悟るらしい

 ・大地の魔力を妖精から借りて、自分の魔力と合わせることで魔法を使う。自分の

  魔力だけでは不安定な魔法になる(妖精並みに魔力が高ければ借りずともそれ

  なりの魔法が使える)

 ・巷では国によって魔法使いの強さが変わるとされている

〈強い順〉

  北→中央→西→東→南

 実際は個々人の資質による。まあ北の魔法使いは厳しい環境で鍛えられているのと、弱肉強食な世界という認識があるおかげで争いに慣れているから強い、らしい。

 他の国でも魔力が高く、高度な魔法を使える魔法使いが存在していると聞く。

 つまり、国は多少関係あるがほとんど魔法使いたちの資質とか努力による。

 賢者の魔法使いとして魔法舎にいる彼らは国なんて関係なくみんな強い気がするし頼りになる。


 賢者の魔法使いは各国二人ずつランダムに太陽によって選ばれる。太陽にってどういうことだろう………

 その証に体のどこかに黒い桔梗の紋章が浮かび上がる。(例えばアランは右手の甲)

 一番最初の賢者が魔法使いに黒桔梗の紋章を与え、それ以降新しく賢者の魔法使いを示すものとして体に現れるようになったらしい。

 ちなみに最初の賢者様はこの世界の聖者で、彼が異界から新しく賢者を召喚しはじめたらしい。

 どれも古い文献にあった記述だと、アランが教えてくれた。

 これらが記されたのと同じ文献に賢者の召喚方法に関するものもあったと聞いている。それは、この世界と元の世界を繋ぐ扉は別の空間にあり、扉を使うには月の魔力が必要だった、というものだ。今でも賢者を召喚するときは月が一番接近して月の魔力が地上にも及ぶ時なのだそう。これが月守との戦いの日らしい。私が来たのもこの日だ。玄関をくぐったら知らない場所で、空には見たことないくらい大きな月があって、戦いを終えたばかりのグレイとラピスが目の前に現れた。

 私が来た日のことはとりあえず置いておいて、元の世界に帰る方法は未だよくわからないがとにかく月が関係しているらしい。瑠輝のことがなかったとしても結局は月のことをもっと知らなくてはいけない。月のことを調べれば瑠輝を助ける方法が見つかるかもしれない上に帰る方法もわかるかもしれない。何にしても、月がいろいろなことに関係しているということは理解した。

 アランが調べてくれているし、サンも天体の研究をしているから月のことも調べてくれるらしい。他のみんなも手伝ってくれるという。それ自体はとても嬉しい。けれど、どこか私は安心して待っていればいいと言われている気もする。

 私のことでもあるのだから、何か力になりたい。ただ守られて、待っているだけなのは、もう嫌。異端者の私がこの世界でできることを見つけたい。私を受け入れてくれたみんなのためにも。

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