第2話 さよなら終わらせて
さよならの準備って何かな。うちは元気だけどおばあちゃんの病気が悪くなって、お見舞いに行くお母さんも元気がなくなっていく。飼ってる犬猫まで体調が悪い。ああそっか、春だね、さよならの季節だ。
さよならの季節なんて誰が言い始めたんだろうね。いつの季節だろうと人は死ぬのに。死ぬ場所や季節を選びたいなあ。終活のことを考え始める、自分が終わる時を想像する。それはまるでいつかの中二病の自分のようで。さよならしたはずの自分で。もう終らせたい黒歴史だというのに。人は繰り返すんだなあと思う。春なのに、春ならば、春らしく。あったかくていいにおいがして、ふわふわな春の陽気の中で、こんな暗い気持ちを終らせたい。
散歩をすると、春を全身で浴びる。どれだけ普段室内にいるか分かる、紫外線が強くなってきたなあ。春のことを考えていたのに、いつの間にか頭は夏のことでいっぱいで、日焼けをしたくないなあと思う。衣替えしなくちゃ、青色のお気に入りのワンピースが頭をよぎる。
夏にはさよならが終ってるかもしれない。家族の形がかわる、でもそれはいたって普通。人が集まっている。誰かと誰か、そこには関係があって名前がある。犬猫も金魚も、虫だって。こちらからつながりを求めればいい。名前がかわったり、減ったり増えたりしながら生き物は生きていく。考えて複雑にしているたけで、簡単で自然なことだ。だから今は何も考えず、重たい頭をふりながら音楽を聴く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます