第80話
「『煉獄』を維持しながらこの威力。流石ね、ステラ」
10発の大火球を魔力障壁で受け止めたルキアは、そう言って薄く笑みを浮かべた。
一撃でも当たれば死ねる威力だが、殺意も無ければ敵意も無い、号砲代わりの攻撃だ。空間隔離魔術という聖痕者の処理能力すら食い潰す大魔術と同時並行で、これだけの威力の魔術を、小手調べ代わりに撃ってくる。
やはり、強い。
本気で戦おうと言い出したのはルキアだが、実のところ、二人の戦績は五分五分より若干ルキアが負けている。
魔力総量は互角。回復速度も互角。演算能力も互角。戦闘経験ではルキアが僅かに勝り、しかし天性の戦闘センスではステラが勝る。総じて、互角。
ではどこで勝敗が決まるのか。フィジカルの性能が対等なら、決定的な差異を産むのはメンタル──性格だ。
ルキアが美しさを重んじるのに対し、ステラは合理性を重んじる。
それは日常生活に於いては単なる性格の不一致だが、戦場に於いては有利・不利を決定づけてしまう。
美しさに拘った装飾華美な儀礼剣と、敵を殺すことを目的とした軍隊剣術。どちらが強いかという議論がされないのは、あまりにも明確なことだからだ。昼と夜のどちらが明るいか、炎と氷のどちらが冷たいか。そんな、いちいち考えるまでも無い当たり前のことだ。
戦闘に際しても美しさに拘り、その上で世界最強の地位にいるルキアの才能には驚嘆するほかないが──彼女と同格の才能を持ち、戦闘センスでは上回り、その思考と判断が極端なほど戦闘に最適化されたステラが相手では分が悪い。『原初』の闇属性と『最初』の光属性という、火属性を含む自然四属性に対して有利な魔術に長けているから、辛うじて拮抗しているだけだ。
勿論、殺そうと思えば、殺せる。
『明けの明星』を撃ち込めば一撃だ。
だが、それでは確実に殺してしまう。
魔力障壁という手軽で堅牢な防護はあるが、あんなもの、ガラスのように砕けてしまう。
町の一角、ダンジョン一つ、軍隊一個、城塞一つ、区別することなく貫き通す光の槍。神罰請願・代理執行権の行使である『粛清の光』とは全く違う、純エネルギー型、純粋な物理火力による攻撃。かつて神を裏切った天使の長が簒奪した、夜闇を割く星の光。
単純なエネルギー量で言えば地殻変動や火山活動といった惑星最大級の熱量にも勝る、神話の一撃だ。
以前にはダンジョン一つを跡形も無く吹き飛ばし、その一月ほど前には仮にも地球圏外生命体であるシュブ=ニグラスの落とし子を瀕死にまで追い込んだ、ルキアが最も信頼する魔術。
撃てば殺せる、殺す以外の結果を齎さない必殺の魔術。殺し合いならぬ模擬戦で使っていい攻撃ではない。
そしてステラもまた、同等の攻撃を持っているはずだ。
一撃で相手を死に至らしめ、回避も防御も許さない絶対の一撃を。
だからお互いに、先に撃った方が勝つそれだけは使わないとして──それ以外の、「絶対に防げない攻撃」以外の、あらゆる致死性の魔術を使う。
目くらまし代わりのちょっとした魔術も、相手の心臓を狙った一撃も、相手の攻撃を潰すためのカウンターさえ、人一人を殺すのに十分な威力を秘めている。
人間としては最上級の存在が放つ、同格の人間を殺すための攻撃。
時に大胆に、時に繊細に、相手を殺せることを大前提に、幾多の魔術が積み上げられていく。
ステラの放った火球は闇の帳によって狙いを妨げられ、ルキアの降らせた雷は陽炎が作り出した幻を撃つ。
ガラスのカーペット上を溶岩が舐め、ルキアの足元で超重力によって押し固められ、ところどころに宝石の埋まった岩盤へと変わる。
「──魅せてくれるじゃないか!」
きぃん! と、ステラのヒールが甲高い音を立てる。
カーペットも床の板材も、全ては凝縮された重力子だ。ヒールが刺さるはずもないが、と、耳障りな音に眉根を寄せたルキアは、泡立つ地面に瞠目した。
天体内部級の重力で押し固めた溶岩が──今や宝石の混じる岩盤が、更なる熱で溶解し、泡立っている。
ぼこぼこと、溶岩が泡立ち──超重力で無理矢理押し留めていた水分と空気が一斉に膨張し、爆発する。
「──綺麗でしょう?」
熱と爆風を魔力障壁で防ぎ、
爆炎と聖堂を巻く煉獄の炎を受け、多種多様な光を空間へ投げかける無数の宝石。
虹色の光を浴び、銀色の髪と紅い瞳を妖しく煌めかせ、その全身を飾るように浮かべた宝石の一つを取り上げる。
掌大の原石を光に透かし、そっと口づけた。
意図の不明な行動にステラが首を傾げ──無数に浮遊した宝石一つ一つが乱数的に瞬く。
「ッ!!」
咄嗟に展開した魔力障壁にレーザーが当たり、甲高い音を立てる。
「視線誘導まで絵になるな、お前は!」
大元のレーザーを反射させる鏡代わりに配置された宝石を爆破し、攻撃を止める。
複雑なカッティングがされる前の原石とはいえ、構造の把握は極めて困難だ。どこにどう光を当てれば最小の減衰で狙った場所に反射するのかを正確に認識し、最適な位置で空間に固定するなど、人間業ではない。
いや──だが、検証したとしたら、どうだ?
手近な宝石を取り上げ、光に透かす動作。あれがただの次の攻撃を悟らせないための視線誘導ではなく、光の射出位置や方向を確認するための試行も兼ねていたとしたら。周囲に浮かべた宝石の煌めきに目を奪われ、艶めかしい口元に視線を誘導され、宝石ならぬ、砲石の向きや角度の微調整を誤魔化していたのなら──人間にも実行可能なトリックだ。ギリギリだが。
「相変わらずの天才ぶりだ、惚れ惚れするよ」
宝石屑の粉塵が立ち込めるなか、先程と同じように爆風を凌いだルキアが柔らかに笑う。
照れ混じりの親愛が籠った笑顔は、この燃え落ちる黒い教会には不似合いだが──ルキアの風貌や装いのせいか、不思議なほどに映えて見えた。
「あら、ありがとう。言われ慣れた称賛でも、貴女に言われると嬉しいわね」
ルキアの手元で弄ばれる翠色の宝石──綺麗なオーバル・カットに加工されたグリーン・スピネルに目を留め、ステラは「冗談のような奴だ」と呆れ笑いを浮かべる。
先程の攻撃に使った熱線。あれを使って加工したのだろうが、細工師泣かせの凄まじい精密さだった。
その行為に意味が、合理性と戦略的優位性があるのかと問い質したいところだが、そんな気分でも無くなった。
「……全く、興が削がれた。それに、そろそろお父様が止めに入る頃だぞ? 殆どノンストップで、相手を殺せる魔術だけを延々と撃ち合っていたんだ」
「確かに。……なら、決着を付けましょうか」
二人は少しの間、虚空に目を泳がせて考え込む。
決着をつけると一口に言っても、まさか相手を殺してしまうわけにもいかないし──相手を確実に殺せる一撃以外では、やはり冗長な撃ち合いが続いてしまう。
ではどうするか。
一瞬で、かつ明快に勝敗が決まり、絶対の死ではなく抵抗可能な攻撃手段となると、彼女たちの手札を以てしてもそう多くは無い。
「……これを使うか?」
ステラはこつこつとヒールで床を叩きながら呟き、思索を続ける。
その案を一通り検討して、ルキアは軽く頷いた。
「いいんじゃないかしら。万が一の時にも、観客席に被害が及ぶことは無いでしょうし……それで行きましょうか。防ぎ切れたら、貴女の勝ちよ」
観客席に、と言いつつ、ルキアが気にしているのは貴賓席だけだ。より正確に言うなら、貴賓席で無心の笑顔──魔術講義中によく見る顔、目に入る景色や耳に届く言葉が全く理解できない時に浮かべる、困惑を通り越して放心と無理解しか残っていないときの顔──を浮かべているフィリップ一人だけだ。
だが、まぁ。そうは言っても、魔術をしくじって観客に怪我をさせるというのは、美しいとは言えないだろう。
自分のミスでも、ステラが自分以上に強かったからという理由でも。
だから観客席に向けた心配も、あながち言葉の上だけと言い切ることはできない。
そんなルキアの心情を汲み取り、ステラは獰猛な笑顔を僅かに歪めた。
「あぁ、全く、気になるじゃあないか。一体何が、誰が、どうやって、お前を変革したんだ? 我が美しき好敵手!」
◇
燃え盛る半透明の教会越しに──投影された映像越しに、フィリップは人間としては最上位に君臨する魔術師同士の戦闘を見ていた。
……見ては、いた。
何が起こっているんだろう、これは。と、使うどころか理解すらできないレベルで高度な魔術の数々に、感心も困惑も通り越して、もはや放心していたのだけれど。
眼下、解説席から聞こえる『今のはこれこれこういう魔術で、こういう狙いで』という説明は、もはや言葉ではなく音として処理されている。実況席からの『今のはすごい魔術ですね!』という感嘆には、辛うじて同意できているが、これはニーナの語彙というか、表現レベルが普段のフィリップに近しいところまで落ちているからだろう。
攻撃、防御、攻撃、防御。起こっている現象としては、その繰り返しだ。いっそ単調にも感じられるほど、代わり映えのしない安定感がある。
ルキアの攻撃は相手に防がれ、相手の攻撃はルキアが完全に防ぐ。これこそが台本通りの演武だと言われても信じられる。手に汗握る紙一重の攻防など、この十数分の間に一度も無かった。
実力が拮抗した者同士の戦闘としてはありきたりな展開だったが、当人たちの実力は人類最高峰だ。攻撃に使われる魔術も、防御に使われる魔術も、フィリップが100年訓練しても使えないレベルのものばかり。見た目も華やかで、見ていて退屈することは無かった。
「すごい」とか「かっこいい」とか、漠然とした感想の中に「強い」という感想が入らなかったのは今更言うまでもないが、それでも存分に楽しめる見世物だった。
人外領域の攻防に空隙が生まれ、二人が何事か会話を交わしている。
魔術の余波を遮断するためと思しきガラスの教会──もとい、二重に施された空間隔離魔術は音を遮ってはいるが、中の様子は鮮明に見える。何を話しているのかは流石に分からないが、戦っているかどうかは判別可能だ。
ルキアが一瞬、こちらを見る。しかし手を振ろうかと思う間もなく、視線は対戦相手へと戻された。
また少しの会話が交わされ──二人同時に手を掲げる。
今度はどんな魔術を見せてくれるのかと、観客の約半数が期待に胸を膨らませ。
今度はどんな非常識を見せつけられるのかと、残る半数が慄く。
現代魔術に明るくないフィリップは前者、サークリス公爵一家を含め貴賓席にいる残りの観客は全員、後者だった。
みしり、と。聞いたことも無いような、何かが軋む不快な音が響く。
それが眼前の教会──炎に巻かれた黒いガラスの大聖堂からだとは、すぐには思い至らない。それはこの十数分の攻防で爆発や落雷を何度受けても一度も揺らがず、同格にして同質の魔術である炎に巻かれてもなおびくりともしない、ルキアの魔術への信頼あってこそだ。
以前に聞いた世界の軋む音。
シュブ=ニグラスの真体が降臨しようとしたとき、次元の違うモノを押し込められようとした三次元世界が上げた悲鳴。あれよりは幾分マシだが、それでもかなり恐怖を掻き立てる大音響だ。
『な、なんですか、この音……!』
実況席からニーナの慄く声が届く。
観客ほぼ全員の感想を代弁したそれに、これまでと同じくヘレナが答える。
『せめぎ合ってるのよ。サークリスさんの超質量の結界と、王女殿下の燃焼の概念が──天体級の攻撃力と、理論上の絶対防御がね』
攻撃を捨てた見映え重視の術式かと思いきや、殺傷力のオン・オフ切り替え機能があるとは。
内部に取り込んだ敵対者を押し潰す重力の塊と、それを焼き尽くさんと燃え盛る空間。
火属性に対して有利な闇属性が、つまりルキアが有利である──とは、一概に言い切れない。単なる炎ならばいざ知らず、ステラが使っているのは概念の炎。燃えるものも燃えないものも、果ては観測できないものさえ燃やし尽くす、燃焼という現象の極致。
光も闇も、エネルギーも重力も、あの炎に触れればたちどころに炎上してしまう。
『だから、結果は──』
ガラスの砕けるような音を立てて、黒く眩い教会が崩れる。
全体が内側に向けて崩壊するような倒壊、普通では有り得ない物理法則を無視した建材の動きに目を引かれ、その内側にあった炎の幕に呑まれて消える。
火の粉に混じり、光を発さず反射もしない真っ暗な粒子が微かに舞う。
破片となった教会が炎に巻かれ、地面に落ちる前に燃え朽ちて消える。赤と黒、紅炎と漆黒が互いを引き立たせて煌めく、これが戦闘の残滓だと忘れてしまいそうなほど幻想的な光景だ。
ぱち、ぱち、ぱち、と。ゆっくりとした拍手がフィールドから響く。
つられるように観客数人が拍手するが、まだ誰も勝敗を明確に認識してはいなかった。
フィールド上で拍手しているのはルキアだが、柔らかな微笑を浮かべて立っている彼女に対して、ステラは片膝を突いて息を荒げている。
ルキアの拍手が勝者への称賛なのか、敗者の健闘を讃えてのものか、それとも単なる煽りなのか判然としない。
どっちの勝ちだ? サークリス様だろ、いやいや王女殿下だろ。観客の意見は概ね半々に分かれる。
隔離魔術の衝突、拮抗の結果としては、ステラの概念の炎がルキアの超質量の崩落を燃やし尽くしたはずだ。
だが、戦闘としては。
ステラは膝を突いて大きな隙を晒しており、対するルキアは未だ健在で、ステラに止めを刺す余力を残しているように見える。勿論、そう見えるだけで、実際はどちらも演技──苦境を演じ油断を誘い、余裕を演じ優位性を確保しようとしている、という可能性もある。
観客総員をルキアのファンとステラのファンに二分しての議論、もとい怒鳴り合いになりそうな雰囲気もあったが、すぐに静まる。
それはこの場の全員の意識を急速冷却し、正しい振る舞いを──起立し、貴賓席のさらに上、玉座に向けて頭を下げるという行為を思い出させる声によってだ。
「それまで。これ以上の戦闘を余は認めぬ。最後の攻防の結果を以て、今年度の御前試合は我が娘ステラの勝利で幕引きとする。──異論はあるか」
観客席では誰一人──貴賓席でサークリス一家に倣うように慌てて頭を下げたフィリップも含めて、誰一人として頭を上げない。それを肯定と見做し、彼、アヴェロワーニュ王国第67代国王、アウグストス2世は確認するように眼下を一瞥する。
巨大な闘技場に詰めた数千の人間の中で、頭を上げているのは三人だけ。
フィールド上の二人と、解説席のヘレナ。社会的地位に縛られない特権階級、聖痕者の三人だ。
『ございません、陛下。最後の攻防に至るまでのあらゆる魔術、全ての戦闘は完全に拮抗しておりました。であれば、属性的不利をものともせず、サークリスさんの神域級の魔術を打ち破ってみせた王女殿下が、この場の勝者には相応しいかと』
拡声器越しに、ヘレナがそう肯定して頭を下げる。
国王は首肯して受け止め、フィールド上へ視線を向けた。
「我が娘よ、異論はあるか」
「……いいえ、父上」
「……ルキフェリア聖下、構いませんな?」
「えぇ。元より、そのつもりでしたから」
国王が伺いを立てるように問いかけ、ルキアは慇懃ながら適当に答える。
え? と。思わず困惑を漏らして顔を上げそうになったフィリップの脇腹を、ガブリエラとアレクサンドルが両側から小突いて止める。
おかげで「おふ」と変な息が零れたものの、数千人の中で一人だけ顔を上げるという最悪の目立ち方は避けられた。
「あとで説明してあげるから」
「お、お願いします……」
痛みこそ無かったものの、気恥ずかしさでどもる。
なんでルキアだけ扱いがちょっと丁寧なんだろう、という内心の疑問は顔に出ていたようで、ガブリエラの言葉には無駄が全くなかった。
「では、御前試合の決着を以て、今年度の建国祭はこれにて閉幕とする」
国王の宣言が終わっても誰も動かず、たっぷり十秒は頭を下げたまま硬直して、それからゆっくりと、誰からともなく頭を上げ動き始めた。
祭りの名残を惜しむように。
◇
あるいは、演技を止めてなおも冗長だった、実力の拮抗した二人の魔術戦の比喩のように。
「疲労困憊、といった感じね、ステラ?」
「設置型空間隔離魔術なんて……馬鹿げた代物でもなければ……普通は……こうなるだろうッ……!」
ステラは呼吸を整えながら、ルキアの揶揄に応じる。
設置型魔術は空間座標を魔術式に含む、高難易度の魔術だ。機雷のように仕掛けておいて、相手が効果圏内に入ったら自動起爆するように仕掛けておくとか、そう見せかけておいて実は任意起爆で、「ここは安全だ」と相手が油断したところを狙うとか──とにかく、直接攻撃よりも搦め手として使われることが多い。
そして強いか弱いかという二元で論じるなら、弱い。
魔力感知に長けた魔術師なら設置場所を看破でき、魔力操作が得意な魔術師なら支配して操作権を奪うことも可能。設置時点で魔術としては完結するため、任意起爆型の起動処理と解除を除き、設置後の調整──威力の調整や設置位置の変更など──は術者本人でも不可能。完全に布石や陽動目的の魔術系統だ。
長所と言えば、設置時点で魔術としては完結するため、効果が発揮されている間であっても魔力を消費しないということくらい。それもルキアやステラのような、魔力総量と回復力の優れた魔術師にとっては、大した恩恵ではない。
だが──空間隔離レベルの大魔術ともなれば話は別だ。
本来は大儀式による天使降臨とその補助を前提とした神域級魔術は、難易度もさることながら、魔力消費もかなりのもの。というか、人類が単独で行使するには過ぎたものとすら言える。
魔術式の演算と魔力の清算が一瞬で終わる──一瞬で終わること自体が目を剥くほどの才能なのだが、それはさておき──『粛清の光』や『明けの明星』とは違い、空間隔離魔術は継続発動型、あるいは常駐型と呼ばれる部類だ。
術者は一秒以下で定期的に魔術式を更新し、演算し、術式維持に必要な魔力を消費しなければならない。
いくらルキアやステラの魔力量や回復力が人間離れしていると言っても、普通は神域魔術と並行して上級魔術や最上級魔術を魔術戦レベルでポコポコ連射できるはずはない。
ないのだが──
「えぇ。貴女は私のことを天才だと言ってくれたけど、貴女こそ、その言葉に相応しい才能の持ち主よ」
「黙ってろ天才……今は……息が……」
未だ膝を突いている
神域魔術を見映え重視のものに改造するどころか、設置型に改良するという離れ業で問題を解決した天才その2はまぁ、いいとして。
自前の魔力と演算能力だけで問題を解決した、天才その1。 脳だけでなく魔力が循環する全身を酷使したことで極度の疲労を感じているようだが、驚いたことに、魔力欠乏一歩手前で止まっている。本当に人間か? と。ヘレナは解説席でそんな懐疑と驚愕の視線を向けていた。
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キャンペーンシナリオ『なんか一人だけ世界観が違う』
ボーナスシナリオ『夏休み』 ノーマルエンド
技能成長:なし
SAN値回復:通常1d10+3のSAN値を回復する
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