第2章「Mr.テディは一体何処へ?」

特A事案「Mr.テディは一体何処へ?」①

(2017.07.27 11:12:24 インタビュー開始)


(自己紹介等を行うが、省略)


--始めに、娘さんの能力に気付いたのはいつのことでしょうか。


山井「気づいたのは、5年……いえ、6年前くらいでした。私と家内が、おかしな夢を見るようになったんです」


--どんなものでしょうか?


山井「夜中にふと目覚めると、寝ている私を見下ろす誰かがいるんです。何だ? 不審者か?ってよくよく見てみるとね……私なんです。私自身なんですよ。それで、起きあがろうとすると、体が変な感じなんです。手とか足とか、小さいんです。それで、近くにあった姿見を覗くと、当時7歳だった娘の姿でした」


--娘さんになってしまう夢、ですね。


山井「それで、目の前の私がニヤニヤ笑ってるんです。布団に座ったままの私は、その姿をただただ見ている。そして、その私が……ああもう、ややこしいですね。目の前でニヤニヤしている私が、娘になった私の両手を掴む。そこでフッと気を失い……」


--目が覚めた、というわけですね。


山井「はい。妙に生々しい夢でした」


--お聞きする限り、妙な感じはしないのですが……。


山井「……そうですよね。でもね、そのあと不思議なことが起こるんです」


陽子「2日後、私が全く同じ夢を見たんです」


--奥様も、同じ夢を……?


陽子「夢を見た次の朝、主人に報告したんです。『夜中にね、加奈になっちゃう夢みたのよ』って。そしたら夫がポカンとしてるんです。それで、『どんな夢だ?』ってしつこく聴くんです。詳しい話をしたら、『それ、俺も見たぞ』って」


--なるほど。


山井「そこから、定期的に似たような夢を見るようになったんです。目の前に私自身がいて、私は娘になっていて……」


陽子「それで2人で相談して、ある事を確認してみよう、という流れになりました」


--ひょっとして、娘さんにも夢の話をしてみる、ということでしょうか。


山井「その通りです。会話の自然な流れで、『最近、パパとママ、変な夢を見るんだ』って」


陽子「そしたらね、加奈、ニヤッて笑うんです。『どんな夢?』って」


山井「そう。夢の中に現れる、私たち自身と同じ笑い方」


陽子「それで、詳しく夢の内容を話しました。すると、ますます笑顔になるんです」


山井「いたずらっ子そのものって感じでしたね。これは、何か知ってるなって思ったんです」


陽子「そして、娘を問い詰めて分かったんです」


山井「娘は、『自分と他人の体を入れ替える能力』があるんだって」

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