神様ですが、乙女ゲームのバグ(ヒロイン)とこれからも戦います
え! 私がどれだけ考えてもわからなかったのに? ないない。そんなにすぐわかったらこんなに苦労してないって!
「多分違うと思うけどなんだと思うの?」
「主様の加護を過剰に受け取った魂が暴走した」
なんで?
「え? ハッピーエンドで終わったよ?」
「主様の加護って要は神力だろ?俺もいつも神力もらってるけど、神力をもらうと主様と深く繋がった感じになる」
そう。加護とは神力を分け与えてることを言う。加護を与えられた人は私の庇護を強く受けることになるから、私との繋がりも普通の人よりも強くなる。
「俺は元々ボロボロの状態だったから主様の神力をかなりもらってるんだよな?」
そう。スイの魂を修復するのに私の身体で言えば半身くらいの神力を注いでいる。
「うん」
「神力のおかげで俺は主様の考えがよくわかるし、何なら記憶の断片みたいなものも感じ取れる。だから足一本分の加護をもらったその魂が主様から加護を受けてることと、主様の作った別の物語があることを知ってても不思議じゃないと思う。主様の作った物語は王子や裕福な貴族が出るのが多い。それを知ったら自分の人生と比べてもおかしくはないし、なんなら主様に嫌がらせの一つでもしてやろうと思ってるかも」
・・・・・・・・・ん?
「それって、私が悪いってこと?」
「まだ推測だけど。一回その孫に看取られた魂がちゃんと転生できたか調べてみろよ」
そう言われたらすぐにでも調べるよね。身の潔白を証明するためにも。私はスイの腕の中から抜け出して、ディスプレイを呼び出すと魂を管理しているデータベースにアクセスした。
結論、黒でした。
「ごめんなさい」
私が加護を過剰に当てた魂は、転生してなかった。普通、転生できなかった魂は次第に存在が薄れて消滅するけど、私の過剰な加護のせいで消滅することなく神力と融合し、魂のまま漂っていたと。その魂は私の神力を強く感じる日本へと渡り、これまた私の神力と結びつきの強い乙女ゲームに入り込み、無理矢理ヒロインになってまわってると。見覚えのあるはずである。もとは私の加護を与えた魂なんだもん。神力と融合して若干変わったとはいえ、気づけよ! 自分!
あまりのいたたまれなさに、土下座で謝る。自業自得の尻ぬぐいをスイにしてもらってたなんて、笑い話にもならない。
「いーけどさ。これからどうするの? 正直、魂捕まえるのすげー大変だと思うけど」
「とりあえず今まで通り物語を片っ端から直しながらなんとか魂を捕まえる方向で行きたいと思います。手伝ってください」
正座したまま涙目でスイを見上げる。
「その顔はずるくない? まあ、バカな子ほど可愛いって言うのは心理だよね。手伝ってあげるからご褒美頂戴」
「神力ならいくらでも!」
すごく失礼なことを言われてるけど、残念過ぎることに今の私に反論できるすべはない。甘んじて受け入れよう。そして神力ならいくらでもあげるから見捨てないで。このただ白い空間に一人には戻りたくない。
「いくらでもはダメ。俺と主様で半分こずつ」
そう言って、私の頬を両手で包むと段々とスイの綺麗な顔が近づいてきた。目の前まで来たと思ったら唇に柔らかい感触を感じて、その柔らかいものが、何度も私の唇をついばむと、ゆっくりと離れていった。
「いっ…キッ…した!?」
「キスした。顔真っ赤で超可愛い。俺、頑張るから頑張った分だけご褒美頂戴。ね、主様?」
こんなの、私の神力がいくらあっても持たない気がする。絶対ヒロイン撲滅してやる!
神様ですが、乙女ゲームのバグ(ヒロイン)と戦ってます~ヒロイン撲滅計画~ かりん豆腐 @Karin_Touhu
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