新しい行、新しい段落

 以前、滑舌の悪さが原因で音声入力による改行ができない、と書いた。


 ただし、完全に諦めたわけではなく、その後も時々執筆中に音声入力による改行を試みていた。


「あたらしい


 ―― 

 ――


 おお、何とかできた。


 意識して『ぎょう』の発音をはっきりすることで変換が可能となった。

 なぜか一旦、『新しい業』……新しい行ではなく……と変換されて、その直後に訂正されて改行が行われる。


 その後も、やや強く発音することで、安定して改行することができるようになった。


 音声入力に限らないが……仕事や勉強、スポーツなどで同じ動作を繰り返して行なっている時のこと。

 今までできなかったことが一度できると、その後はすんなりできるようになる。そんな経験はないだろうか。


 ゲーム的な表現をすると、経験値を稼いでレベルが上げ、新しいスキルを覚えるのと同じような感じだ。

 いや、実際には逆に、現実での経験がゲームにおける経験値システムとして反映されているのだろう。


 というわけで――。


 広瀬涼太はレベルがあがった!

 スキル『新しい行』をおぼえた!


 とはいえ、ゲームのスキルと違い自動化できるわけでもないので……。


「あたらしいぎょう」

 ―― 新しいよう ――


 あれ?


「あたらしいぎょう」

 ―― 新しいよ ――


 ううむ……。


「あたらしいだんらく」

 ―― 夏らしいサンダル ――


 えっ……?


 というわけで、ちょっと油断するとすぐにおかしなことになるのであった。

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音声入力のすすめ 広瀬涼太 @r_hirose

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