　駅の待合ボックス。男は雑誌を読み終わり時間を持て余していた。ふと周りを見渡すと、スマホのストラップに目が止まる。

「クマのぬいぐるみか。定番のやつだな。でも、昔よりだいぶ小さめになったかも。じゃらじゃらつけてる人も減ったなあ。最近は男子が鞄につけてるイメージだけど……ああ、スーツの男性もスマホにつけてるな。あれ？　よく見ると皆つけてるぞ。バースデーベアとか言うやつかな。流行ってるのだろうか？」

　と心の声で呟いていると、都合よく皆の電話が鳴った。

「はい、もしもし」

「え」

　男はおもわず声が出た。それもそうだ。皆、クマのぬいぐるみを耳に当てて会話しているのだから。

「え！？　スマホの方がストラップなの！？　じゃあクマがスマホ？　クマホ？」

　男の頭が混乱していると自分の携帯が鳴った。すると隣の女性、今まで喋っていた男の頭を掴んで。

「はい、もしもし」

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい