第18話

うぐみがミア・フォルトナーに転生してから、一度目はフルーツポンチに入っていた毒で死亡。二度目は貴族の令嬢を(一人は重体、もう一人は死亡させた罪)で斬首刑。

悪役令嬢のミアは、とにもかくにもこのゲームの世界では死亡させられるようだ。


「甦る度に殺される、なんてあり得ないっ!」


私は怒りのあまり、心が震えた。

しかし、もう甦って三度目。なんとかして今後の対策をたて、死亡ルートを回避しなければならない。誰だって死ぬのは嫌だ。それもまだ若いみそらで!決意を新たに私はこれからどうすれば良いのか? を考えた。


まず、悪役令嬢という立場はゲームの中なので変えることが出来ない。私を殺したいほど憎んでいる、または、邪魔な存在だと思っている人物は誰だろう?


ミアの両親、父のフォルトナー伯爵は他人のうぐみからみても、悪い人物ではなかった。曾祖父がエリザベス一世のころ(このゲームは近世イギリスがベースのようだ。)に海運業で大儲けしてからというもの、資産は増えるばかり。ちまたでペストが流行ろうが何が起きようがこれまでフォルトナー家が傾いた歴史はなかった。

四代目の父はというと、金髪碧眼のなかなかにハンサムな顔立ち。性格も穏やかでたまにお坊ちゃんらしさが残るものの、それも彼の味となっていて、四十半ばの今もいまだに社交界の女性たちの視線を受けている。

かといって、それで火遊びもしないので、育ちの良さなのか、根っからの真面目人間なのか愛人の噂さえ聞いたことごない。

対して母も、貴族らしく家と家との結婚だったにも関わらず、父を深く愛しており(話しに聞くところ、はじめて父を見た時から好きになったそうで。)病気がちではあるが、父と家を取り仕切っている。

見た目はミアにそっくりで、たおやかで美しく、中身は自分を曲げない芯の通った性格。

でも、怒ったところはこれまで見たこともないので、やはりこちらも良い母親といえた。

二人に問題があるとすれば、娘のミアを小さい頃から溺愛しすぎて、ワガママに育てたことだろうか。

ミアには年が五つ離れた兄がいたが、彼は貴族の子息ばかりが通うスクール(よくある寮生活でめったに家に帰らず。)を卒業して、社交界で出会った女性と早々と結婚してしまった。

それもお相手が王族の血筋で彼を気に入っていたため、我が家としては玉の輿のようなかたちになっている。

そんな訳で、両親も兄も、兄嫁も私を殺すような人物ではないと断言できた。

だとすれば、身内ではない人物ということになる。

私はまたミアの周りに登場する人物たちに頭をめぐらした。










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