第2話 緑の森でエンカウント

どうも。ノーパン制服、イチイリンです。

セーラー、革靴、ノーパン、ノーブラ、ノーソックス。

属性盛過ぎ、変態ホイホイかよ!

今わたしは、現状を把握しようと山を下りている。

記憶によれば今は未来で、科学技術がさらに発展しているはずだったのだが、施設跡から文明の痕跡は見当たらなかった。

人っ子1人見当たらない。

えっ?文明滅びた?これ、詰んだって感じである。

弟の宝物だったリュックサック(迷彩柄で本格仕様)に荷物のすべてを詰め込んで、説明書なしで始めたサバイバルだったが。

すでにおかしなところがあるんだよねぇ・・・

この森、異常に歩きやすいのだ。

獣道すらない未開の山を歩くわりには、背を屈める必要がない。

鬱蒼としているはずの木々がすべて高く、時折舞い散る桜の花びらまでが、手のひら大の大きさだった。

桜は断じて、そんな花じゃない。綺麗だけれど・・・風情が・・・

肩に舞い落ちた桜に重量感を感じる。例えるならひまわりだ。

いくらなんでも変過ぎる。

「こうなると、未来というより異世界転生かも。」

口にはしてみたものの、そちらの分野は詳しくない。

2022年に流行っていたのは知っている。でも、それだけだ。脳筋一族の宿命で、体を動かしているほうが好きだった。

って言うか、冷凍されて行く異世界って、つじつまが合わな過ぎる・・・

訳が分からぬまま歩き続け、1時間ほどたっただろうか?

急激にのどが渇いてきた。

当たり前だ。目覚めてから水も食料も口にしていない。研究所跡には何もなかった。水はやばい。早急に対処しないと命に係わる。

これほどの木々が生い茂っている以上、水がないことはないだろう。川を探すのが得策だ。空は晴れ渡っていて、雨水は期待できなかった。

研究所からとりあえずまっすぐ降りてきたわけだが、川はどこにあるだろうか・・・

考えてもわかるはずはなかったが、けれど瞬間閃いた。説明できない。予感というか、第六感だ。

「右、・・・か?」

右手のほうに流れがある気がして、導かれるように歩き出す。15分程度で川に着いた。なんだこれ?自分でも訳が分からない。

火事場の馬鹿力ってやつなのか?

森の中を流れる川は澄み切って、陽光を反射してきらめいていた。

見た目で判断するのは危険なのだが・・・

飲めそうに思う。根拠もなく確信する。

「うまっ。」

すくって飲んだ。体に染み入る感じがする。

家族からのプレゼントに水筒はない。コップはあったが持ち運びには実用的でないため、以降は川沿いを下ることとした。

もしここが未来で、人間が滅びていないのなら、集落は大概川の近くだ。生きていくには水は必要だ。

とにかく人を見つけよう。

情報と下着が、今のわたしには圧倒的に足りない。さっきからいろいろとスースーするよぉ。

川沿いを歩いてしばらく、見たことのある葉っぱを見つけた。

「これって、大葉?」

摘んでみると匂いも大葉だ。ただしサイズ感は全く違う。この大葉、A4サイズくらいあるよ。

「やっぱり異世界?」

おかしなことが多過ぎる。あと、独り言増えた。ちょっとやばい。

大葉を裏にしたり表にしたり、少し齧ったり(味も大葉だ)して、首を捻る。

異世界としても、未来世界としても納得できない。

しかし、次の瞬間目の前の茂みが揺れ、更なる『納得できない』が姿を現すのだ。

いっそゴブリンとかオークの方が良かった。ここは異世界、で確定できたから。

しかし、そこに現れたのは。

鶏(トサカがあるから雄鶏だ)だったのだ。

ただし象くらい大きい・・・







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