Re:第百七十壱話
信長「まずは、権六は前田利家、奥村永福、村井長頼、拝郷家嘉、毛受勝照を配下に加える。」
勝家「皆、ほとんど某の身内みたな者を配下として頂いた事を感謝致しまする。そして、大殿が申された通り配下には気を配りたいと思う次第でござる。」
「ほう。お前が言うと説得力がないのは気のせいか?」
その信長の発言に勝家は真剣な面持ちで
「大殿!某はあの阿呆の様に成らない為の決意でござる。冗談ではござらん!真剣にそう思い発言しましたので…」
「分かった分かった!皆まで申すな。ワシが悪かった!」
「いや、分かって頂ければ某の申す事はありませぬ。こちらこそ、ご無礼を…」
「次に長秀は佐々成政、溝口秀勝、村井友閑、生駒親正を配下に加えろ!」
「某に配下でございまするか?」
「当然だ!お前は織田家家老なのだぞ?もっと威厳を持て!そして、配下を上手く使いこなせ!良いな?」
長秀は真剣な面持ちで信長見て
「は、ははあぁぁぁぁ!この長秀、必ずや大殿の期待に応え新たに加わった配下に満遍なく仕事を与え育てて行きまする!」
「その勢だ!次に光秀は明智秀満、斉藤利三、溝尾庄兵衛は今まで通りで新たに坂井政尚を配下に致せ!」
光秀「新たにもう一人頂け、そこまで信頼して頂ていた事に必ず報いてみせまする!」
「うむ。しっかり精進致せ!次に叔父上は信包、池田恒興、加藤光泰、堀直政を配下に加えてやってくれ!」
「まだワシを必要としてくれるとは… ワシは嬉しい!ワシは死ぬまで大殿と共に戦場を駆けましょうぞ!」
「そう言ってくれると、ワシも助かる!頼りにしておるぞ!」
「はっ!身命を賭して忠義に励みまする!」
「次に信勝は河尻秀隆、佐久間盛重、蜂須賀正勝、水野信元を配下に加えろ!」
信勝は驚き
「え?某に配下でございまするか?」
「そうだ!不服か?」
「いえ!滅相もございませぬが… 某は大殿に対して謀反を起こした身で…」
「それはお前を担ぎ、利用しようとしていた林が招いた事だ。まぁ、お前の心にワシを亡きものにして織田家を乗っ取る事を思っていたのは分かっておるが…」
「いえ!そのような…」
「最後まで聞け!それはワシが『うつけ』だと思っておったからであろう?その事については悪いと今でも思っておる!それに、お前は心を入れ替えワシに尽くしてくれているのを嬉しく思う。」
信勝は信長の自分に対する思いを知り涙を流し
「兄上…」
「それに応えたいのだ!それに秀隆と盛重は父上の腹心を務めていた重鎮だ!分からない事があれば快く応えてくれるぞ!」
信長は秀隆と盛重の方を見ると秀隆が
「信勝様。某は林の様に貴方を見下したり致さん!堂々と某や盛重、それに他の配下の者に命令なさいませ!但し、間違った事を申した場合は反論致しまするが…」
「う、うむ。よろしく頼む!」
「次に武田信玄は山本勘助、真田幸隆、真田信綱、真田昌輝、真田昌幸、太田牛一を配下とせよ!」
「なんと!?このワシに、つい最近まで敵だった、このワシに… 旧家臣に加え新たな織田家に連なる家臣達を配下に頂けるとは… 感無量でございまる!」
「戦国の世の習いとは申せ、信玄の身内を殺してしまったにも関わらず。ワシの考えに応じてくれた礼だ。それに加え、領地も用意致す!」
これには、さすがの信玄も驚き
「領地を、某にでございまするか?」
「うむ。まだ、その領地は敵側にあるのだがな!まぁ、楽しみしておれ!」
「はっ!有り難き幸せ!この信玄入道、それに見合った働きをご覧に入れましょう!」
「おっと、言い忘れた。武田の旗と風林火山の旗を掲げるのを許可する!甲斐の虎と恐れられた軍略、楽しみにしておるぞ!わっはっはっは!」
信玄は信長の目を見て、そして静かに頭を垂れ思いを巡らせた。
(これが織田信長か!まさに山じゃな… これは勝てぬわい!半信半疑ではあったが、この男の天下統一を見て見たくなったわい!それにしても、この織田家に来てから体調もよくなっておるし… もう一度、武田の恐ろしさを家中にも界隈にも天下にも教えてよろうではないか!)
と、信玄は決意を新たにするのだった。
信長「最後に猿、浅野長吉、山内一豊、堀秀政、前田慶次、森可成はワシの直属と致す!」
猿「某を大殿直属にでございまするか?」
「そうだが、何か変か?」
「恐れながら、かなりおかしいかと!」
勝家は籐吉郎の言葉に激怒し
「猿の分際で大殿に対して無礼にも程がある!今すぐ、叩き斬ってやるわ!」
「ひえぇぇぇぇ!!」
信長は勝家を睨み付け
「よさぬか!権六!構わぬ!」
「はっ!申し訳ありませぬ。」
と、言いながら信長に分からない様に籐吉郎を睨み付けるのだった。
信長「話は反れたが、そうか!変か!何が変なのか申してみよ。」
籐吉郎は信長の問いかけよりも勝家に眼光が恐ろしくて萎縮していて声が出せないでいた。
信長「ん?(ワシがそんなに怖いの… 権六か!)権六!いい加減に致せ!ワシは今、猿と会話をしておるのだ!」
「いや、しかし… 相手は猿ですぞ?」
信長は再び勝家を睨み付け静かに話し出し
「二度目ないぞ、権六?それにワシ以外こやつを『猿』と呼ぶのを禁止する!」
さすがの勝家も猿を見るのやめたのだった。
信長「猿。もう一度聞くが何が変なのか申してみよ。」
「は、はっ!某は百姓の出でございますれば、織田家当主で有らせられる御方の直属にとか、どう考えてもおかしいかと…」
「あのな、猿。出生とか身分とか関係ない!織田家の家臣である以上、努力すれば一国一城の当主に成れるのだぞ?」
「某が一城一国の当主にでございまするか?」
「誰とは言わんが、毛嫌いしておる奴も居る。しかし、その者を見返してやるのも面白いと思わんか?」
「某がでございまするか?」
「ええい、面倒だ!猿。今日からワシの側に仕え、ワシのやり方を学べ!これは命令だ!先程も申したが、猿を猿呼ばわりして良いのはワシだけだ!今一度、皆に申すが他の者が『猿』を『猿』と呼べば減俸に処す!良いな!」
と、信長は三度勝家を睨んだのだった。
籐吉郎「(某をそこまで買って頂けるとは…)はっ!大殿の申す通りに致しまする!」
「うむ。諜報部隊は爺の配下として松永久秀は変わらず、新たに風魔小太郎を加える。おっと、風魔衆には一人当たり均一で禄高3貫と致す!以上だ。」
小太郎は物凄く驚き
「大殿!某の里の者まで禄高を貰えるとか、本当に宜しいのでございまするか?」
「風魔衆には戦場での活躍も期待しておるのでな!このくらい当然の報酬だ!少ないかの?」
「いえ!北条家に仕えていた時と比べると雲泥の差以上の報酬でございますれば…(半分冗談だと思っておったが、まさか本当に某が織田家の家臣となり、しかも侍大将として扱い禄高50貫も頂けるとは…)」
「そうか!では、頼んだぞ!そして、皆の者!来年の5月に伊勢志摩の津城へ侵攻致すゆえ、軍事訓練を怠らず精進致せ!」
こうして、信長の決めた人事移動が終わり伊勢志摩の北畠家への侵攻の日取りも決まったのであった。
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