番外編『蓮弥の〇〇大作戦』 5話



それから、4人はファミレスを出る。



「みんな、本当にありがとう。」



蓮弥が改めてお礼を言う。



「いえいえ!こちらこそ、ごちそうさまでした!」



駿太がにこやかに返した。



「頑張ってくださいね。」



絢香が言う。



「うん。じゃあ、また。」



蓮弥が3人に背を向けた。



「…有賀さん。」



洸の声に蓮弥は反応し、振り返る。



「…絶対成功させて、絶対幸せにしてやらないと、許さないから。」



「…うん。約束する。」



「ん。じゃあ、また。」



「うん。ありがとう。」



蓮弥は再び歩き始めた。

3人は蓮弥を見送りながら会話をする。



「良かったぁ。力になれたね!」



「本番はこれからだけどな。」



「絶対成功するって!なっちゃん、有賀さんのこと大好きだもん!」



「…そういうこと言えちゃうの、ほんとすごいわ。」



「え、そう?じゃあ、俺も帰るよ。またね!」



駿太は満足そうな笑顔で帰って行った。



「…まったく、人騒がせなお人好しだこと。」



洸は頭を掻いた。



「…洸。最後の何よ。」



絢香はニヤニヤと洸に尋ねる。



「何が?」



「有賀さんに言ったこと。なんか、菜子に未練があるみたいじゃん。」



「ばっ…ちげーよ。駿太のため。」



「ふぅん。…でも、菜子が結婚かぁ。絶対私のが先だと思ってたのになぁ。」



「…彼氏とはどうなの。」



「んー?まぁ、彼氏年下だからね。まだまだ先な感じかな。」



「年下!?まじか…意外すぎ。」



「別にいーじゃんか。好きになった人が、たまたま年下だっただけ。」



「…はぁ。」



洸は溜め息をついて、絢香から目を逸らす。



「何その溜め息。」



「惚気なんか聞きたくねーっつの。」



「惚気じゃねーわ!てか、洸が最初に振ったんでしょーに!」



「そうでしたねすみません。」



「ムカつくなぁ。…てか、アンタも早く彼女作んないと、乗り遅れるよ。」



「…俺は別にいーの。」



「なんで?結婚願望ないの?」



「……」



洸は横目で絢香を見る。



「…?何。」



「…俺は、お前らが幸せであれば、なんでもいーわ。」



「ふっ、なんだそれ。…洸ってさ、いい奴だよね。」



「知ってる。」



「なんで彼女できないんだろ。」



「それは黙れ。」



2人はいつもの調子で会話をしながら帰って行った。






一方、蓮弥は菜子が待つ家へと帰宅する。



「ただいまー。」



「あ、おかえりなさい!」



菜子がぱたぱたと玄関までやってくる。

彼女の顔を見るのが、今はなんとなく恥ずかしい。



「お友達とランチ、楽しかったですか?」



「あ、うん、楽しかったよ。…とっても優しくて、いい人達。」



「ふふ、そうなんですね。良かったです!」



––全然疑わない。



「…心配すぎる。」



「え?」



「菜子、なんでもすぐに俺に相談してね。」



「はい!」



「……」



蓮弥は、ニコニコとしている菜子の頬を、むぎゅっと掴んだ。



「んぅ?」



「…ふふ、可愛いね。」



「んぁ!?」



頬を染めながら困った顔をした菜子に、蓮弥はキスをする。

そしてぎゅっと抱きしめ、頭を撫でた。



「れ、蓮弥君…?どうしたの…?」



「ん、なんでもないよ。好きだなぁって思っただけ。」



「!…私も、すき!」



お互いの心臓が、トクンと跳ねる。



「…も少し、待っててね。」



蓮弥は小さく呟いた。



「ん?何?」



「んーん、なんでも。…ね、春になったら、また夜桜見に行こうね。」



「はい!春が楽しみです!」



菜子と蓮弥は、未来に想いを馳せて笑い合った。



春はもうすぐやってくる。






–−−–−



最後までお読みいただき、

本当に本当にありがとうございました!



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夜の音 いと @shima-i

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