番外編『蓮弥の〇〇大作戦』 2話
後日、とあるファミレスにて。
「それで…悩みっていうのは?」
駿太は前のめりで蓮弥に問う。
同じテーブル席には、駿太と蓮弥だけである。
蓮弥の後ろの席で、絢香と洸が聞き耳を立てている。
「…その…菜子と…結婚を考えていて…」
「やっぱり!!で、で、プロポーズは…!?」
「いや、まだ…全然…。…指輪のサイズもわからなくて。でも聞くって言うのも…。何よりいろいろ自信がなくて…」
「…あー、こりゃこのままだとプロポーズに10年かかるね。」
蓮弥の後ろから声が聞こえる。
「え?」
蓮弥が振り向くと、絢香と洸が身を乗り出してこちらを向いていた。
「どうも。菜子ちゃんお助け隊です。」
2人は駿太を奥に追いやり、蓮弥の向かいに座る。3対1の構図である。
「えと…」
蓮弥は戸惑っている。
「冴木です。菜子は高校の時からの親友。」
「…瀬戸内です。同じく、高校の友達っす。」
「…有賀です。えと、菜子がお世話になってます…」
「…旦那かよ。」
洸は口元を隠して蓮弥に聞こえないようボソッと呟く。
絢香は表情を変えずに洸の足を勢いよく踏んだ。
「ってぇ!!!」
洸はぷるぷると震えた。
「え?えと…?」
蓮弥は慌てている。
「気にしないでください。コイツ、痔なんで。」
絢香はニコニコと言う。
「テキトー言うな!!」
洸は涙目で叫ぶ。
蓮弥を見ると、お気の毒に…と言わんばかりの表情をしている。
「違うから!違うから!」
「洸、他のお客さんの迷惑だよ。」
駿太は保護者のように洸を叱る。
周囲を見ると、他の客がじろじろとこちらを見ている。
洸は顔を真っ赤にして悔しそうに黙り込んだ。
それから、改めて蓮弥は悩みを打ち明け、絢香がまとめた。
「つまり、有賀さんの悩みは…1、指輪のサイズがわからない。2、プロポーズの良い言葉が見つからない。それと、1番の問題が…自信がないこと。以上です?」
「はい…」
「よーし!じゃあ1個ずつ解決していきましょう!なっちゃんのためにも!」
「ごめんね…こんな話…」
「いえいえ!有賀さんは、もう俺の友達ですから!」
「友達…」
蓮弥は嬉しさで心がくすぐったくなる。
「じゃあ、まずは一つめの指輪問題から!」
「それなら私に任せて。今度一緒に買い物行く予定だから。それとなく探ってみる。」
「アヤちゃん!お願いね!」
「ん。…有賀さん、ミッション達成したらパフェ奢ってね。」
「もちろん…!すみません、ありがとうございます…」
こうして、蓮弥のプロポーズ大作戦が始まった。
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