第24話



「…ん…」



菜子は目を覚ました。

目を擦りながら、上体を起こす。

菜子と蓮弥は、いつの間にか寝てしまったらしい。

隣を見ると、蓮弥はまだ眠っている。



「…かわいい。」



菜子は蓮弥の頬をツンと軽くつついた。

そして、部屋が薄暗くなっているのに気付き、スマホを見る。6時を少し過ぎている。



「……あれ…菜子…」



蓮弥が目を擦りながら菜子を見る。



「あっ、ごめんなさい、起こしちゃいました…?」



「……ん、刺激が強いね。起きた。」



「…?」



蓮弥も上体を起こした。

細身の上半身が露わになっている。

菜子は驚き、同時に自分も下着姿であることにようやく気付いた。



「ぎゃっ!」



菜子は慌てて布団の中に潜った。



「その天然は俺の前だけにしてね。」



蓮弥は布団の上から菜子を撫でる。



「ほ、他はありえないですっ!」



菜子は布団に潜ったまま叫ぶ。



「それは良かった。…身体、大丈夫?」



「だ、大丈夫です!…ほら!」



菜子は床に落ちた服を拾い、布団の中で器用に着る。そして、バッと布団から出て、元気アピールをする。



「ははっ、良かった。…今日映画見るつもりだったのに、ごめん。」



「いえ!映画はいつでも見られますし!」



「…ありがと。」



蓮弥は服を着て、ベッドから降りる。



「じゃあ、今日は帰るね。また明日、来てもいい?」



「……」



「…菜子?」



菜子は蓮弥に静かに抱きついた。



「!…な、菜子?」



「…蓮君、この後予定ありますか。」



「な、ないけど…」



「…今日はずっと一緒にいたいです。夜も。」



「!………ん、嬉しい…」



蓮弥は顔を真っ赤にして、ぎゅうっと菜子を抱きしめる。

蓮弥の鼓動の速さが伝わり、菜子はくすぐったくも嬉しくなる。



「私も嬉しいですっ。…じゃあ8時まわる前に、買い物行っちゃいましょ!」



「うん。」






そして2人は外へ出た。

夕飯と、蓮弥が泊まるのに必要なものを買い揃える。



「なんとか間に合いそうですね。」



現在7時40分。

あと10分ほどで菜子の家に着く。



「…菜子。」



「はいっ。」



「…夜の街、歩いてみたい。」



「…え…?」



「菜子となら、歩ける気がするんだ。」



「…!うんっ、歩きましょう!」



菜子は満面の笑みを見せた。

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