別れたあとの話

私はそんなに恋愛経験が豊富ではない。

好きになってもその恋が実らないことも多かったし、つきあっても数日しか続かなかったということもあった。


仲間内で付き合ったり別れたりするリスクというのも、友達を見ていてわかっているつもりでいたけれど、いざ自分がその立場になると、わからなくなるもんだ。


そして、実感したのは、付き合っているときはいいけれど、別れてからが厄介だということ。

もう会いたくないと思っても、会う機会は普通にあるし、その後も元恋人が何をしているかということもこちらから聞かずとも誰かが教えてくれる。

お互いその友人関係に近づかないようにするのは簡単なようで難しい。

だって共通の友達が多いから。


ただ、別れてから2人で会うこともなくなったとしても、元の友人関係にも戻れない。

不思議なものだ。

一時期でも心と体を重ね合う仲になれば、ただの友達と言うより、わずかに恋愛感情を残した家族のような存在になってしまう。


仲間のみんなで会っているときは多少は意識するがまだいい。問題はSNSだ。

ブロックすればいいとかフォローしなければいいのだろうが、仲間内でつながっているからそれも不自然でできなかったりする。

でも、いいねやコメントは正直しづらい。

純粋な気持ちでいいねを押しても、こちらがまだ未練があるように思われそうで嫌だ。

仲間たちからもそういう目で見られたくない。

自意識過剰なのかもしれないが、もう元の関係には戻れないのだから、その辺の感覚も元にはもどせない。しかたないのである。


そして、お互いフリーのままならばまだいいが、相手に恋人ができたら最悪だ。

SNSに恋人のことを投稿されるたびに

「あぁ、なんで別れることになったのだろう」

と卑屈になるし、

ましてやそこが2人で訪れたことのある場所やお店だったりすると

「あのときあんなことがあったな。先にそこに訪れたのは私だし、なんなら私が彼に紹介したんだし!」

などと、思いたくもないが思ってしまう。

SNSに投稿するのは元恋人の自由だし、口を出す余地なんて微塵もない。

私は過去で恋人が今なのだから。


恋人でできた傷は新しい恋人でしか治せない。

私も早く傷を治したい。

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