第6話柳真理とか言う中二病

数分前

放課後、教室の前の廊下で、俺と薙と真理さんが集まっていた。


「なんで俺はこんな所に連れてこられているんですか?真理さん」

「真理さんはやめてくれ、それは表の名前、裏の名前は闇の王バハムート、貴様にはそっちの名で呼ぶことを許可する、なぜなら貴様は我の同士だからな!ふははは!」

不敵な笑みを浮かべた真理さんがブレザーを外し肩にかける。


えー、真理さんってこういうタイプだったんだー。ガチの中二ってやつか。まぁ可愛いからなんでもいいんだけどね!可愛いは絶対さ!それに中二っぽいこと嫌いじゃないし。


「今から何をするんですか?」

と薙が聞く。くっ!こいつがいなければ真理さんと2人きりっだったのに。

「フッ、よくぞ聞いてくれたモブよ」

「モブ!?」「ぶふ!」

すまんな薙よ、俺は笑う気はなかったんだ。ぶふ!


「この教室で今日、ある儀式が行われる」

「儀式?」

「あぁ、あのかの有名な幽霊、コックリさんを呼び出す儀式さ、そんな噂を小耳に挟んだんだ、今日やることはそのコックリさんの討伐さ」

「!、もしかしてバハムートって幽霊が見えるのか?」

「あぁ、貴様もだろう?アルティメットマスターよ」

俺、これからアルティメットマスターって呼ばれんのか。俺が幽霊見えることをを知ってるつーことは、花子と話しているところ見られちまったのか。いや、今はそれより


「おい、ちょっともう一回考えてみろバハムートよ、相手はあのコックリさんだぞ、本当に倒せるのか?逃げるのも一つの手だと思うが⋯⋯」

俺はコックリさんの怖さを知っている、ここは中二ごっこに乗ったふりをして真理を止めた方がいい。本当にコックリさんはやばい。

「!、ああ確かにあいつは強い、だが私の方が強いのさ」

「いや、だから本当にやばいんだって」

「おいおいどうしたんだ?我が同胞よ、ビビっているのか?」

にやにやしてこちらを煽って来るバハムート。ふぅ、もうしーらね。

「⋯⋯⋯⋯ふっ、貴様がそこまで言うのなら仕方あるまい」

「ふっ、ようやく覚悟ができたようだな。では作戦を説明するぞ!」

すると意気揚々と作戦とやらを話し始めた。


「まず、我が能力を発動させる、そしてコックリさんに奇襲をしかける。そこで我に集中しているコックリさんにアルティメットマスター、貴様がとどめを刺すのだ、わかったな」

「ふっ、もちろん分かっている、バハムートよ、大任は俺に任せておけ」

「あぁ、後は任せたぞ」

「おう」

(⋯⋯こいつら何言ってんの?)

薙を全くのモブ扱いとして進む会話に、その薙自身がついていけるはずがなかった。


⋯⋯ふぅ俺はバハムート改め、真理がコックリさんに突撃した瞬間に逃げようと思う。だってこいつ全然話聞いてくれねぇんだもん、しゃあないわ。コックリさんにだけは手を出しちゃダメだ。

それは俺が身をもって経験済みなんだ。昔、悪ふざけで呼び出したコックリさんにタコ殴りされてしまった。いや、あれは本当に命の危機だったね。しばらく歩くことさえできなかったもん。


いくら真理が美人だからって、命には替えられねーわ、それに幽霊にあんま手を出したくないしな。ごめんね!多分死なないから!⋯⋯多分。うん、ほんとに多分。


つーか、本当に人が違うな。昼の時はあんなに清楚な感じだったのに今は中二病丸出しだ。色んな人がいるもんだな。


そんな思考をしていると、ついに儀式が始まったようだ。儀式が一通り終わると女子高生の中心から俺が見知った狐の耳を持った少年のような幽霊、通称コックリさんが現れた。


ひぃ、トラウマが蘇る!


「ふっ、では行ってくるぞ」

「あぁ、任せたぞ」にやっ

「我が闇の右手よ!ごにょごにょごにょ」

なんか変な合言葉とともに、真理の右手から黒い何かが溢れ出てきた。それと同時に、真理は教室のドアを思い切りよく開け、突撃して言った。

うわ、なにあれ強そう。


まぁそれはさておき

「おいモブ、おいってば!」

薙の体を揺らすがまるで動じない。いや、動じないと言うよりこの状況を理解出来ていないという感じだ。


「なぁ徹、ありゃ一体なんなんだ?」

「幽霊だ、逃げるぞ」

「いや、ちょ、まじで状況が理解出来て⋯⋯それに真理さんがまだ」

"トゴォオォオオォォォォン!


逃げることに億劫になっていた薙のそばの教室のドアが破壊された。真理が吹き飛ばされたことによって⋯⋯。


「痛ぁぁあ!アルティメットマスター、頼む一回変わって⋯⋯っていねぇぇぇぇっ!」


すまんなバハムートよ、許してくれ。またいつか会おう。俺は腰が抜けた薙を肩に抱え、昇降口へと向かう廊下を爆走する。

「許さない許さない許さない、神である俺に逆らうなんて⋯⋯絶対に許さない」

背中からでもビンビン感じるこの霊気、うはっやべぇ。ありゃ人間に勝てる存在じゃねぇわ。

「ひいっ、ちょっ、ごめんなさい!謝るから!徹君ー!徹さんー!徹さまー!お願いたすげでぇー」

無視だ無視。




「☆$♡@&♪$?#℃@♪&@☆$¥$♡☆?」

「ひぃ」

怖い、怖い、怖い。

あぁ思えば、いつもこうだった。調子に乗って、問題を起こして、いつも痛い目を見る。


アニメが好きだった。特に、謎の言葉を残していく強そうなキャラが⋯⋯。


そしてある時気づいた。私には幽霊が見え、右手が黒くなる力を持っていることを。嬉しかった、ただただ嬉しかった。私もアニメの主人公みたいになれるんだって思った。


それでその嬉しさの余り、周りの人間に言ってしまった。"我は闇の力の持ち主なんだ"奇っ怪な存在だって見えるんだぞ"って、だけど誰も信じてくれなかった。それどころか気味悪がられてしまった。悔しかったから闇の右手を見せたくれるまてなんかいもなんかいじでた。信じてくれるまで何回も何回もその力を見せた。だけど、その度に友達は減っていった。ついには家族までも私から距離を取るようになった。


だから私は心を閉ざした。本心を隠して上辺だけの顔を作った。私が考える人当たりがよさそうな人格を創造した。


⋯⋯つまらなかった。自分の本当の姿を受け入れてくれる人がいないことが。ずっと作り笑いしかできないことが。


けど、その日常が変わる気配がした。入学式の日にまるで物語の主人公のように遅刻をしてきて、私と同じように幽霊が見える少年によって。

















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