『紺頼真帆』

「えっと、それじゃあ星野さん他のメンバーも紹介してもらっていいかな?」

「わかりました! あ、私のことは亜夢ちゃんって呼んでください!」

「あはは、じゃあ亜夢ちゃんよろしくお願いします」

「はい!」


うん。

元気でいい子だな。

明るいし、アイドル向きの性格をしていると思う。

マネージャーにも協力的で優しい振る舞い。

それにリーダーか。

ミライズの歩美ちゃんのような感じではないけど、どっちかっていうとセンターのオーラーを感じる。

見せてもらった映像でも彼女がセンターだったし、きっと凄く期待されてるんだ。

確かにあの五人の中では動けてるほうだもんね。


「ここがFスタジオです! 名前名簿に真帆ちゃんが載っていたので、もういると思うんですが。 あ! やっぱり! 鈴村さん、こちらが真帆ちゃんです!」


スタジオの端っこで音楽をかけながらダンスの練習を始めている女の子に向かって大声で話しかける。

流石の大声に気づいたのかこちらを向く。

短くサラっと揺れる黒髪は綺麗なストレートボブ。

目は深海のような深い青。


「初めまして、Res◎lのマネージャーに就任しました鈴村有射と申します」

「ぇ、マネージャー…? 紺頼真帆こんらいまほです。 Res◎lの青色担当です。 よろしくお願い致します」


深々と俺に頭を下げる。

亜夢ちゃんと比べると自己紹介慣れしてない。

というか亜夢ちゃんが異常なのか!? 全員オーディション受かったばっかって聞いてたし。 きっと彼女は日が浅いんだろう。


「もう! 真帆ちゃん! 私が紹介してあげたのにどーしてあの挨拶しないの!」

「だってあの挨拶はちょっと頭が悪すぎる」

「っな! この私が真帆ちゃんのために考えたっていうのに!?」

「それは感謝してるけど、海の宝石だとか、夢の船だとか、ちょっと私の口からは…」

「ぐぬぬぬ」

「そうやって威嚇しても言わないよ」

「言って!」

「嫌」

「言いなさい!」

「無理」

「言え!!」

「…はぁ。 は、はーい。 う、海の宝石。 眩しい笑顔で皆さんを夢の船へと、ご、ご招待します。 紺頼真帆です。 真帆船長と呼んでください…」

「よっし! 妥協点!」

「恥を忍んでやって妥協点…。 やらなきゃよかった…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る