F117J 海夜鷹

 レーダー技術の発達は空戦の発達、広域化高速化を進め、レーダーの有無、性能能力によって左右されるに至った。

 遠距離、人間の視力を遙かに凌駕する数百キロ彼方の機体をレーダーで探知出来なければ空戦に勝利できない状態となる。

 だがこの状況は逆に、レーダーに映らなければ、認識されないという状況となった。

 それまではレーダーの限界、山陰や水平線の下、地球の影に隠れてレーダーを回避するという方法が主だった。

 だが、航空機がレーダーに映らない技術を開発すれば、ありとあらゆる空域へ侵入できると思い至る。

 ステルス機が生まれたのは、このような状況からだ。

 アメリカで開発が始まり、レーダーに映りにくい機体の開発が始まり誕生したのがF117ナイトホークだった。

 短冊状のパネルを組み合わせたような設計は、当時のコンピュータ技術では電波の反射方向、レーダー投影面が最小限になる機体形状を計算するのに曲線ではスペック不足だったため、計算しやすい平面の組み合わせで設計された。

 当初アメリカ単独で行われていた計画に日本が加わったのは、計算のためのコンピュータ半導体の提供と共に、ステルス機の機もとなる電波吸収塗料の提供をアメリカから求められてのことだった。

 七〇年代より半導体開発で世界をリードし始めた日本が協力するのは当然だった。

 電波吸収塗料に関しても日本の家電が大きく関わっていた。

 家電製品を開発する上で、重要となったのはノイズ対策、電波鑑賞にした製品が強いか否かだ。

 そのノイズが出ていないか確認する為には、電波不干渉、外から電波が入らず、内側、測定対象の製品の電波も吸着する素材で構成された部屋、電波暗室での試験が必要だった。

 日本では製品開発の為にこのような特殊な部屋と電波吸収材料の開発が行われていた。

 室内に対する優秀な材料が開発されていたが、当時の日本人は凝り性で一つのことをトコトン突き詰める人間が存在した。

 より薄く高性能な電波吸収材料を求めて研究を行った人間達がいたのだ。

 バブルで企業の業績がよく、研究費が豊富だったこともあり、彼らには豊富な研究費が投じられ、研究に邁進した。

 結果、数ミリの厚さであらゆる波長の電波を吸収する塗料が開発されてしまった。

 この成果は発表されたが、一般では過剰性能で製品化されても高額だったこともあり当初は売れなかった。

 だが塗料の存在を知ったアメリカ空軍は、開発中のステルス機に導入することを決定。

 日本と接触し、共同開発、日本のライセンス生産を条件に共同開発が行われた。

 完成した機体は、日本に導入され、配備される。

 アメリカ空軍の場合、海外へ展開できる基地があるが、日本の場合は、国土が狭いことから空母での運用を顧慮し艦載機として開発された。

 当初、アメリカ海軍も導入予定で艦載型が研究されていたこともあり、開発は順調だった。

 エンジンをF414に変更、バブルキャノピーの採用、尾翼追加、主翼の大型化、着艦装置および構造強化がされる。

 こうして、日本に艦載型F117ナイトホーク、F117J愛称<海夜鷹>が生まれた。

 想定される北日本との戦争において、北日本領土深くへ侵入し北日本指導部を爆砕する任務を負うことになっていた。

 だが、冷戦崩壊と湾岸危機により、最初の実戦投入は、湾岸戦争となった。


全長:19.4m

全幅:13.2m

全高:3.9m

最高速度:M0.85

航続距離:1,200km

エンジン:F414-GE-400 ターボファン×2基

空虚重量:13,380kg

最大離陸重量:23,625kg

ペイロード:2,000kg

乗員:1名


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https://kakuyomu.jp/works/16816927862106283813/episodes/16818093092225983427

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