『なまくら冷衛の剣難録』第一章第五話までの感想
『なまくら冷衛の剣難録』
作者 小語
https://kakuyomu.jp/works/16816927863238741872
紫光小竜は幼馴染である諸士検見役として城に仕えていた武官・真人を殺されたので、仇討ちの助けを口入れ屋に依頼。過去に失態を犯して武官を除名され、現在は安い手間賃で食い扶持を稼でいる冷衛が依頼を引き受ける話。
前回『クルシェは殺すことにした』を読んだから、という理由ではなく、料理コンテスト受賞作品を読み終えたので一次選考、二次選考突破、あるいはそれ以上の作品を読んで感想を書こうと検索したところ、一番上にありましたので本作を読むことにしました。
掲載されていく頻度はわからないので、その場合は他作品を読んで感想を書くかもしれません。ご容赦願います。
読んだ印象は、前作品よりもうまくなってると感じた。
どういうところで、何が起き、どんな姿をした誰がどうしているのかがわかりやすく書かれている。
目の不自由な人にも起きていることが端的にわかるような書き方をしている。映像に浮かびやすい。そんな印象を覚えたのは、私が作品を読むとき、フリーソフト「棒読みちゃん」を利用しているからかしらん。
一時間の時代劇で例えると、序章のあとにサブタイトルが入り、口入れ屋から仕事をもらった主人公は依頼人に会ってお願いされるまで、賞味八分くらいの内容といったところと推測する。
三人称で神視点、各キャラ視点で書かれた文体。状況を説明的描写されている。やや説明的ではあるものの、世界観を描くにはある程度の説明は必要。なのだけれども、行動描写で説明できそうなところがある気がする。
赤藪茶が出てきたところで、前作品と何処かつながっているかもしれないと邪推する。口入れ屋店内に机や椅子が出てくるので、幕末や明治時代の和洋混在しつつある頃の日本をイメージした異世界かしらん。あるいは銀魂的な世界観ということもあり得る。
主要人物紹介から察するに本作は、メロドラマと同じ中心軌道で書かれているのでは、と推測する。
冷衛は、刀を折られた不名誉から武官を辞めることになっており、いずれ折った相手を倒したいと思っているだろう。が、一人では探し出すこともできず、口入れ屋である鯉貴屋から仕事をもらって食いつないでいる。
小竜は幼馴染もを殺され仇討ちを考えるも、一人では敵わない相手だから、ほうぼうの口入れ屋に依頼している。
個々、もしくは二人の障害を克服できるキャラが登場し、クリアする度にサブキャラは退場。クリアすることでそれぞれが成長し、前に進んでいくように書かれるだろう。
でなければ、女性神話の中心軌道かしらん。
本作の四話までの内容は、時代劇ドラマなどでもみられる冒頭のつかみであり、読者を作品世界へとスムーズに誘っているように書かれている。
半月が浮かぶ夜の中、腰に刀を差す二十歳ほどの精悍な若者が石畳でできた住宅街の道を歩いている。
「夜も更けているため、明かりを点けている家屋はほとんどない」
「両側を木造の建築物に挟まれた歩道を進んでいた真人は、そのまま片方を川に面した通りに出」、「昼間であれば人通りも多いが、この時刻では真人以外の人影は見えない」とある。すでに店も閉まり人通りもない夜更けであるのに、序章の終わりでは「ある半月の晩のできごとだった」とある。晩ではなく夜だろう。
晩とは人が起きている時間までなので、夜型が浸透している現実世界でも、だいたい午後九時まで。
問題は、作品内ではどうか。
電気がなさそうなので、日没と同時に多くの人たちは就寝する世界だと思う。たとえ蝋燭などの灯りがあったとしても、長屋住まいや農民など多くの人は、日の出とともに起きて日没とともに寝る習慣になっているはず。夜に起きている理由でもない限り、蝋燭などの灯りの費用がもったいない。蝋燭も油も湯水のように、しかも無料で使えるなら話は別だけど。
なので、本作の晩は夕方を指すと思われる。
序章は桜も終わった初夏の出来事、つまり四月中旬から五月上旬頃(暦など現実世界と同じと仮定する)なので、日没は午後六時頃。半月が南の上空に来るのは夕方であり、深夜には西の空に沈む。
通りは常夜灯の蝋燭の明かりだけで、店舗はどこも店じまいしている。飲み屋などはやっていても良さそうだけれども、その様子もない。通りに飲み屋はないのだろうか。
それらから考えると、真人が黒衣の人物と出会ったのは、日没後から一、二時間くらいの間だと推測する。真人は提灯などの灯りを持っていないので、やや帰りが遅くなったのだろう。
おそらく、普段はもう少し早い時間に帰るのに、この日に限って何かしら用事を申し付けられたのかもしれない。あるいは帰り際に誰かに引き止められ、長話をしたのか。
いずれにしても、帰り道に彼を襲わせた人物が、遅らせる足止めをしたのではと考える。
でなければ、黒衣の人物が襲う相手は、真人でなくても誰でも良かったことになる。
警察が下手人を辻斬りだとするのは、自然かもしれない。
どちらにしろ、同じような事件が過去に起きていないか、主人公は調べる必要があるだろう。
「通りの水路沿いには等間隔で街路樹が植えられている。その幹の陰から黒い人型の輪郭が現れ、真人の行く手を塞ぐように立ち止まったのだった」「闇に慣れていた真人の目にも、人影はただの黒い塊としか判別できない。恐らく、黒衣を纏っているのだろうと真人は推測した」
黒衣の人物の登場と見せ方がいい。
このあとで、「黒衣の人物が小柄であることと、手にしているものが近くの木から取ったらしい花しかなかったため、真人はそのまま横を通り過ぎた」「近づいてみると頭部まで黒い布で隠していた」と続く。
近づいて通り過ぎても、相手はどこまでも黒い布で姿を隠している。しかも手には花しか持っていなかったのに、「黒衣の人物を見やると、どこから出したのかその手には抜き身の刀が握られていた」のである。
「高貴な人物が素性を隠すために変装しているようにも見えた」とある。きっと黒衣の人物はそれなりに高貴な人物、あるいは高貴な人物とは密接な間柄なのだろう。
「真人の頬を一筋の汗が滴った。暑いのでなく、むしろ背筋が冷えそうな不快感を伴っている」この表現が良い。窮地に陥った人物に汗が流れる漫画の一コマが、ふと浮かんでくる。
主人公の冷衛が登場して広場を抜けて表通りに抜けてから、「三方を長屋に囲まれ、中央に井戸が設置された広場がある造りをしていた」とある。長屋の彼の住まいから出てくる辺りから状況がわかると、どこにいるのかがわかって、広場を通って表通りへ出て行きたいのがわかる気がする。
「特に公国の首都でもあるこの邑咲は大陸三位の雄大な河川が郊外を流れ、その支流から作られた運河が蜘蛛の巣のように街を縦横無尽に走っている。水の都市として有名であった」とある。
江戸時代とおなじように、物流の主流が運河であり船で運搬されていることがわかる。つまり、鉄道や車などがまだ発達していないと思われる。
「〈鯉貴屋〉の内部は店に入ると広い土間があり、その一角に沙岩専用の机がある」「土間の中央には応接用の机と椅子が設けられている」という。
ついこの前まで江戸時代のような生活様式だったのだろう。外国との異文化交流がはじまり、文物という形から他国の文化が流入して来ているのだ。
「どうだ。いい仕事はあるかな」と聞かれて、「ええ。幾つか仕入れてありますよ」と答えて紹介するのが「迷子の捜索」しかも猫のである。
笑いを取るところだろう。
同時に、沙岩という口入れ屋の性格を現している。
元武官とはいえ、あなたのような人には迷子のペット探しがお似合いですよと端的に言い表しているのだ。
「冷衛さんにつまらん仕事をさせたら、右に出る者はおりませんのでな」毒づきながら、睨まれても顔色一つ変えない。
彼の本音なのだろう。
冷衛がどうとかではなく、武官に対して日ごろ言えない鬱憤を、元武官である彼を通して嫌味をいっている感じに思える。
お金のない彼が仕事を求めて来ているのがわかっているので、少々の嫌味を言っても大丈夫、と足元を見ているのだ。
ちなみにここまでが前フリ。
「もう少し実入りのいい仕事はないものか」
当然、べつの仕事を求めてくるのも沙岩は読んでいる。
「あることには、ありますが。さて、冷衛さんにお任せできるものかどうか」
口入れ屋として、小竜の持ってきた仇討は厄介な仕事なのだろう。
依頼を持ってこられても引き受けるものがいなければ、口入れ屋の儲けにもならない。
誰かに仕事をしてもらいたいのだけれど、値段は安い上に仕事内容はきつく、見合っていない。
それなりに腕が立って、お金に困っていて飛びつきそうな、世情にも疎い人はどこかに……と思っていたところにやってきたのが冷衛だったのだ。
沙岩から勧められた「迷子の捜索」は猫探しだった。それに対して顔をしかめる冷衛が「嫌だ。この前は犬だったではないか。その前は安い手間賃で落し物を探させられたし、つまらん仕事には飽きている」と答えている。
長屋の女性が、「この前、うちの子を探してもらって助かりましたよ。もしも、また迷子になったら、お願いしますね」と話していた「うちの子」とは犬だったのかもしれない。
仇討ち依頼の話を聞いた冷衛は、「確かに危険な依頼ではありそうだ。仕事には仇討ちだけでなく、殺人犯を捜すことまで含まれている。それに加え、警察と競合する状況になる恐れもある」が、「危険なだけにその報酬は大きいものだろう」と考えた。
それを「冷衛の浅はかな打算を、沙岩は敏感に読みとった」とある。このあと、五十万だと値段を明かす。
だけれども、沙岩は冷衛の浅はかな打算を見抜くほど、長年口入れ屋をやってきている。だから、五十万というのは嘘だろう。実際は百万、あるいは八十万くらいだと想像する。
そこから口入れ屋の手数料を差っ引いて、五十万なのだろう。
「この条件では、請け負う人はいますまいな」というほど、相場の値段として持ち込まれた依頼料自体、安かったのも事実に違いない。
そこで沙岩は考えた。
どうすれば、この依頼を引き受けてもらえるか。
元武官なら、それなりにプライドはあるはず。
高収入を期待したものの、安いとなれば普通は諦める。
沙岩としては、断られてもとくに損失はない。もっと割の良い仕事依頼が持ち込まれてくれば、それでいいのだ。
だが冷衛は金に困っている。
「確かに、口入れ屋の相場どころか常識として命がけの仕事で五十万は安い。このような依頼に手を出すなど、よほど金に困っているか、ただの愚か者か、そのどちらかだろう」というのは、沙岩の意見。
冷衛がこの値段で引き受けるかどうか、試しているのだ。
沙岩という男、食えない男である。
安く値切って元武官を働かせ、世の中を動かしているのは武官やお役人ではなくお金であり、お金を扱う商人である自分たちこそ動かしているのだと知らしめたい気持ちがあるように感じる。
なぜなら、最初にペット探しの依頼を仕入れてあると言い、「冷衛さんにつまらん仕事をさせたら、右に出る者はおりませんのでな」と煽っては冷静さを奪わせところで、仇討ちの助けの依頼を話しているから。
ペット探しの報酬は、五十万より安いに違いない。
金に困っている冷衛に、ペット探しと仇討ちの手助け、どちらがいいですかと選択肢という人参をぶら下げる。
すると、「いーや、必ずやり遂げてみせる。それに、どうせ請け負う人間もいないのだろう」と思惑どおり、引き受けてくれたのだ。
これほどまでに、自分の思惑どおりに引っかかってくれた冷衛をみながら、よほどお金に困っているのだろうと思いながら、まさか愚か者ではないかしらと、今後の付き合い方を見定めているにちがいない。
うまくいったら手数料分儲かるし、今後も同じ手を仕えば、安いお金で冷衛を使えるだろう。失敗したら、彼の代わりになるペット探しをしてくれそうな人を探さなくてはいけない。
このくらい計算高くなければ、口入れ屋家業は務まらないに違いない。
喫茶店にて、小竜より依頼を直々に聞く冷衛。
仇討ちとは、身内の人が殺されたときにするものなのだけれども、小竜は真人のことを「私の知人」という。警察に訪ねたとき、「ただの知人には伝えられない」と言われたとも話している。
なのに五話で、あとから「幼馴染、だったんです」と明かしている。
はじめから幼馴染と応えればいいものを、なぜ彼女は秘密を打ち明けるように話したのかしらん。
ただ知人、幼馴染という間柄ではないのだろう。
彼女が取り出した鉄砲について、「以前、護身のためと言われて真人にもらったんです」「私は武官の娘だから大丈夫なんです」と答えているのもモヤッとする。
彼女の言葉が正しいなら、彼女の親も武官であり、幼馴染の真人も武官。親からもらうならともかく、幼馴染からもらったのが引っかかる。
その辺りで冷衛も、「武官の家族でも鉄砲を所持してよい規則だったか」引っかかっている。
たとえば、拳銃を携帯する警察が家族や幼馴染に護身用だとあげるだろうか。そういう世界だとするなら、そうかもしれない。
私物ならともかく、支給品なら普通はありえない。
ということは、彼女は嘘をついている可能性がある。が、口に出した言葉というのは、本人が頭の中で一度は思ったことなのだから、事実のはず。
なので、「私と真人は子どもの頃からよく遊んでいたんです。蛇に噛まれて泣いていた私を、真人が背負って病院まで連れて行ってくれました」というのは本当であり、知人なのも正しく、幼馴染だったのも、彼女がそう思っているからだ。
そんな彼女が「仇討ち」という。せめて兄妹(腹違いでもいい)か親戚、あるいは仕えている主君なら仇討ちという言葉は気にならない。だから、モヤッとしてしまう。
小竜は真人よりも位が高い、武官を束ねているような偉い人の娘かもしれない。広いくくりで、武官の仲間が命を落としたので仇を取ろうとしているのでは、と推測する。
序章の辻斬りは「四日前に鈴鳴街で起きた事件」だとわかる。
二十歳くらいの真人は、二年前の御前試合で上位十人まで勝ち残るほど剣に優れ、諸士検見役として城に仕える武官だった。官僚の汚職や犯罪についてとり調べる監察官であり、腕利きもよく、公正で職務に忠実な人柄だっと想像される。
警察は、下手人が辻斬りと考えている。また、一太刀で斬られており、刀が真っ二つに折られていたことが告げられている。
「刀を折られていた……」冷衛の面に一瞬の激情が閃いた。
覚えがあるからである。
作品を楽しむために、前情報を入れずに読むことにしているのだけれども、冒頭に登場する主要人物の紹介があったので読む前に見てしまった。
読んだからといって、作品の良し悪しが変わるわけではないので気にしない。
気にしないのだけれども、「激情が閃いた」とはどういうところをみて、そういえたのかしらん。目、口元、視線など何かしらの変化があったのだろうと想像する。
「〈鯉貴屋〉の言うとおり、俺は過去に失態を犯して武官を除名されている。あんたは依頼主だから、一応このことだけは伝えておく。それでも俺を雇うかどうかは小竜さん次第だ。ただし俺は、自分では小竜さんの役に立てると考えている」と冷衛はいう。
こう言わないと、雇ってもらえないと思ったのかもしれない。
断られたら仕事がない=お金がもらえないからだ。
「私がお願いするのは危険な仕事なのに、お支払いできる報酬はあれが精一杯なんです」彼女は金額を言わない。
きっと沙岩は、手数料をとっていると思われる。
取らないと口入れ屋として商売にならないので、取るのは問題ではない。いくら取ってるのかしらん。無事解決したとき、金額が明かされることを期待する。
それより彼女は〈鯉貴屋〉の沙岩から、「見た目は二十代中盤で、如何にもうだつの上がらない剣士」「一通りの依頼には対応できる能力を有している」「ただ、剣士としての腕前は保証しかねる」「元武官で口入れ屋に出入りしているような男なのだから、いわくつきなのはお分かりになるでしょう」と聞き、本人にも会って、「だけど、私は真人の無念を晴らしたい。私が頼れるのは冷衛さんだけなんです。お願いします。私に協力してください」と彼に決めたのはなぜだろう。
彼女は会ったとき、「あの、依頼の受諾って、説明を最後まで聞いてから判断されるんですよね?」と尋ねている。
その言い方から冷衛は「直接雇い主から内容を聞いて、理由があれば断っても咎めを受けることはない。小竜は、そのことを知っていて」「辞退するのではないかと不安らしい」と読み取っている。
そのあとで、「私がお願いするのは危険な仕事なのに、お支払いできる報酬はあれが精一杯なんです。幾つかの口入れ屋さんにお話ししたんですが、お返事してくれたのは冷衛さんだけで」と話は流れていく。
果たして本当に、彼女の依頼に乗ってくるような人物はいないから、すがる思いで頼んでいるのかしらん。
四日前に殺され、周囲の人間がだれも詳しく調べようともせず、有耶無耶にされそうだったので、それから口入れ屋に頼んだのだろう。だとすると、依頼までに数日かかってるとはず。
なので、「幾つかの口入れ屋さんにお話ししたんですが、お返事してくれたのは冷衛さんだけで」というのはむしろ、依頼をしてから一番最初に連絡をくれたのが〈鯉貴屋〉だったと思われる。
手を尽くして誰にも相手にされず、困り果てたところに冷衛が引き受けたというより、依頼したら最初に返事が来たから、とにかくこの人にお願いしようと、急いでいるような必死さを感じる。
それ以前に、仇討ち相手は、御前試合で上位十人まで勝ち残るほど剣に優れた真人を一太刀で倒しているのだ。口入れ屋からは「剣士としての腕前は保証しかねる」と言われているにも関わらずに、なぜ彼にお願いするのだろう。まだ腕前を確かめてもいないのに。
ひょっとしたら、最初から冷衛を巻き込ませようと策略が張り巡らされているかもしれない。
事件から一週間や十日以上過ぎているなら、こんなにあれこれ考えなかったかもしれない。
小竜は「はいはーい。その点については大丈夫です。これがあるんです」拳銃を取り出して、冷衛に見せている。
非常に軽い感じがする。
四日前に、幼馴染を殺されたとは思えない。
なので、小竜にはなにか企みが潜んでいるのではと想像する。
すべては冷衛を、今回の事件に関わらせるため。
鉄砲について、「禁制というわけじゃないが、武官しか所持できないはずでは?」と彼女に聞きながら、「鉄砲という飛び道具について知識はあっても冷衛が見るのは初めてだった」とある。
彼は元武官である。
ならば、彼も所持していたはず。なのに、どうして見るのが初めてだったのだろう。武官内でも役職によって所持する者としない者に別れているのかもしれない。
たとえば、事務職なら所持しないかもしれない。
彼はそうだったのだろうか。
「私闘の末に刀を折られた不名誉のために武官を退職」と、登場人物の説明にあった。私闘での出来事であって職務中ではないのだから、事務職であった可能性も捨てきれない。
武官でも位が上なら携帯するのだろうか。
下の者は携帯しないのでは。
だとすると、冷衛は武官でも下位の人物だったのかもしれない。
お金について。おそらく、この世界で流通している通貨単位や貨幣の形状を決めていないのではと推測する。だから「五十万」といった数字だけで語られているのではないかしらん。
「懐具合の寒い冷衛はまだ注文をしておらず、ただ居座るだけの冷衛に女性の店員が煙たそうな視線を幾度も突き刺していた」とあるけれど、口入れ屋のやり取りからお金が乏しいことが読者にわかったので、改めて「懐具合の寒い冷衛」と説明しなくてもいいのではと考える。
女性定員の幾度となく突き刺してくる煙たそうな視線に耐える冷衛の姿を書き、どこかにあるメニュー表の値段をチラチラ見て、一番安かったほうじ茶を注文する姿を書くでもいいのではと考えてみる。
勘定も払わずに飛び出したり、人目のある店内で鉄砲を見せるなど、浮世に疎いように書かれている。また、真人の剣の腕を褒めた冷衛に礼を言う小竜は、「なぜか自分が誉められたように嬉しそうだった」とある。なので、彼のことが好きだったお姫様的なキャラクターかもしれない。
はたして……。
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