『クルシェは殺すことにした』二十三話までの感想

クルシェは殺すことにした

作者 小語

https://kakuyomu.jp/works/16816927861985775367


 翌朝〈白鴉屋〉に集ったクルシェたちは、新聞からリヒャルトたち〈巡回裁判所〉がクオンたちに夜襲されたと知る。そのリヒャルトが来店し、ハチロウと九紫美の二人に襲われたと告げ、九紫美の情報も教える。クルシェはフリードを殺した相手かもしれないと思い、あらためて相手の強さを知るのだった。


 本作は男性神話を元にしたストーリーだと思います。

 養父フリードに影響を受けているクルシェは、ある日彼を殺害され、スカイエの下で才能を伸ばしている。なので、この先の展開を考えると彼女には乗り越えるべき試練が待っているのではないかと、楽しみにしています。


 期せずして、クルシェたちはリヒャルトから九紫美の情報を得ます。ゆえに、養父フリードを殺したのは彼女かもしれない、とクルシェは思います。

 でも前回の断章で、フリードは肉体が物体を透過するような魔力の持ち主による銃弾に倒れたことが語られているため、(同じ能力者が二人存在しているのなら話は別ですが)おそらく九紫美が仇だと読者は連想しますので「そうだよね」という印象になっています。

 人物のアクションに対するリアクションは時間差をおくと良いので、断章は序章に持っていったほうが良かったのではないかしらんと考えてしまいます。

 仇は九紫美と思わせといて「実は……」となるなら、読者は驚くかもしれません。そういう展開なのかもしれないし、違うかも。果たしてどうなるのでしょう。

 

 部下を殺されたリヒャルトは、クルシェ達に共闘を持ちかけるかと思いきや、どうやらクオンたちにぶつけ、弱った所に乗り出し目的を達しようとする腹づもりみたい。はたして、魔女狩りである彼の目的は九紫美なのか他にあるのか、気になるところです。

 リヒャルトは夜通し逃げていたのでしょうか。〈白鴉屋〉について酒場で聞きまわりながら、飲み食いしたり、体を休めたりしていたかもしれません。


 ソウイチが赤藪茶を出すのを読んで、やはり日中は喫茶店か定食屋をしているのではと思えてきました。(以前、ソウイチは牛乳割りを「へい、お待ち」と出してクルシェに「定食みたいに置くのね」と言われているから)お酒一辺倒の店ではなく、それぞれの時間と客層のニーズに合わせた商売をし、少しでも利益を出そうとソウイチは考えているのかもしれません。

 きっとそんなことはなくて、飲み過ぎたあとにはお茶を出しているだけなのかも。


 九紫美は二十代半ばくらい、とリヒャルトは言っている。

 けれど、相手は影だから実年齢はわかりくいのではないかしらん。それとも、影だからといって真っ黒ではなく、立体映像みたいに見た目は普通の人だけど、触ると体がすり抜けてしまうのかしらん。

 十五年前、十歳ぐらいに〈悪魔の降りた一夜〉を起こした後、それからしばらくは鳴りを潜め、ここ一年辺りでクオンのもとで活動しているという。

 その間、彼女は何処でなにをしていたのだろう。

 かつてフリードがクルシェを殺害する依頼を受けたのは、なにか関係があるのではと考えてみる。魔女は十歳くらいになると自身の力を制御できずに暴走してしまうのかもしれない。

 あるいは九紫美を殺す依頼が来ていたが、どんな見た目なのかわからなかったため、魔女であるというだけで次々と少女を殺していたのかもしれない。

 それとも、クルシェと九紫美には、なにか深い繋がりがあるのでは。たとえば姉妹、もしくは双子、あるいは親子など。

 あれやこれやと考えてみたくなります。

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